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 僕が落としたホテルのカードキーをさっと素早く拾い上げた直人は、今度は僕の右の手首を引っつかんで歩き出した。
 つかまれた右手首もさっき強くつかまれた右肩も痛い。
「ちょっ、待て!どこ行くんだよ?」
「薫さん連れてオレの部屋に帰ります!」
「手、離せ!カードキーも返せ!!」
「離しません!」
「バカ!痛いんだよ!今すぐ手離せっ!!」
とキレた僕が怒鳴ったら、振り返りもせずにエレベーターホール目指して強引に僕を引っ張ってずんずん歩いていた直人は、やっと振り向いて僕の顔を見た。
 あからさまに不機嫌そうな顔をしている。
 それでも、僕の右手首をしっかりとつかんでいた手をようやく離してくれた。
 僕が左手で痛む手首をさすっていたら、
「そんなに痛かったですか?」
と直人は僕の右手を自分の手に取って見た。
「赤くなってる…ごめんなさい」
「謝るくらいなら手荒に扱うな!こっちはおまえと基本構造違うんだから、見た目ほど丈夫じゃないんだからな!!」
「ごめんなさい」
「カードキー寄こせ!部屋で手首冷やすから。このままじゃ手首におまえの手形の跡が残る」
「カードキーは返しません!」
「じゃあ、おまえも一緒に部屋までくればいい。おまえが勝手に妄想してるような浮気相手なんかいないからな!」
と啖呵を切った僕は部屋へ向かって足早に戻り始めた。
 ホテルの廊下で痴話喧嘩なんて恥ずかし過ぎる。
 きっと「ゲイの痴話喧嘩か!?」とでも思って、興味津々聞き耳立てて客室のドア前あたりで立ち聞きしているヤツもいるはずだ。
 出来ればカードキー奪い取って直人は追い返したいところだったのだが、あきらめて部屋に入れてやることにした。
 居もしない浮気相手のせいでこんなところで痴話喧嘩し続けられるほどこっちは無神経じゃないし、力づくで直人からカードキーを奪い返せるのなら最初からそうしている。
 だけど…悔しいけれども身長はたいして変わらなくても天然ものの男の直人には力では敵わないのだ。
 骨格も筋肉の付き方も普通の男とは異なる僕は、生まれた時から健康な男の体で育ってきたヤツには力技では敵わない。
 クラブの専属ダンス教師をしている都合上、必要な筋肉と柔軟性のバランスを考えて、余計な硬い筋肉が付き過ぎないようにトレーニングしたりしているから、筋力は男性の平均値を少し下回っている。
 元が女の体のFtMでも鍛えれば筋肉も付くし、もっと筋力アップ出来るのはわかっている。
 格闘家のような筋肉もウェイトリフティングをやっている連中のようなごつい筋肉もダンスには不向きだし、そこまで求めてはいないから現状維持しているけど、やっぱりこういう時は悔しい。 
 部屋に入ったら荷物を適当に置いて、僕は袖をまくって洗面台で右の手首を流しっぱなしの冷水で冷やし始めた。
 袖をまくった時に手首に付けたオードトワレの香りが香ったけれども、それはやっぱり僕の求める匂いには変化してはくれていなくてなぜか泣きたいような気分になった。
 まがいものの男の僕じゃダメなんだろうか?
 同じオードトワレを身に付けてみても僕はあの人と同じ匂いにはなれない。
 最悪な気分で流水で冷やしている右の手首をしばらくの間みつめていた。
 はっきりと直人の手形が赤く残っていてしばらく跡が残りそうだ。
 皮膚が薄く、毛細血管が脆い僕の体にはちょっとしたことですぐに打撲傷などがつきやすく、赤紫やら青色に変化するその跡は二週間も消えないこともある。
 一緒に部屋に入って来た直人はツインの部屋を見て、
「キングサイズのでかいベッドじゃないんだ…」
とつぶやいていた。
 ドール時代に客にシティホテルに呼ばれた時には、そういう部屋でプレイしていたからそんな言葉が出てくるのだろうが、ここの部屋はツインでもベッドはセミダブルだし部屋も広めな方だ。
 仕事で贅沢慣れしているから、そのへんの価値観がずれてしまっているのが直人の問題有りなところだったりする。
 それは、元ドールたちが共通して抱える問題点なのかもしれないが……。
「今夜、ここに泊まるのは僕一人だけだ。わかったら、さっさと帰れ!」
 冷水につけた小タオルを絞って右手首に当てながら、ベッドに腰かけていた直人にドアの方をあごで指し示して追い返してしまおうとしたのに、
「オレもここに泊まる!」
と直人は言いだした。
「帰れ!」
と言っても、
「やだ!オレも泊まる!」
と言ってベッドの上でごろごろ転がって駄々をこねる。
 やっぱりこいつは甘ったれのわんこだ。
 一年に一度のイベントがこれじゃ台無しだ。
 だけど、妙なところで頑固な年下の彼氏はこの様子では帰りそうにない。
 僕はためいきつきつつもやけくそになって、
「好きにしろ!でも、絶対に僕の邪魔はするなよ!!」
と釘を刺すだけ刺しておいて、後は野となれ山となれと腹をくくった。
 僕の奇行を見て引くなら引けばいい。
 こうなったら、直人がいようがいまいが出来るだけいつも通りあの人の誕生日を祝うまでだ!(続く)



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