レンタルドールKEI 11
ドールとしての初仕事前に、僕は寮内で毎日エステの施術やレッスンや講義を受けた。
どうやら、この寮の実質的な責任者は橘さんのようで、店長はたまにしかやって来ない。
「あなたには体操のレッスンは必要ないので、その分ダンスレッスンを受けて下さい」
という橘さんの指示に疑問を感じて、
「どうして体操はやらなくていいんですか?」
と僕が尋ねると、
「体操の先生から『必要ありません』と報告がありました。全体的に身体能力に優れていますし、柔軟性も申し分ない状態です。体操の時間を省いてお仕事に必要な他のレッスンを受けた方があなたのためになります」
と橘さんは答えた。
ドールとして体を売る以外にも仕事があるとかで、僕の場合はダンスレッスン多めな時間割りを渡されていた。
他のドールと出食わすことがないものだから、僕のレッスンスケジュールが何を意味しているのかなんてことはこの時の僕には知る由もなかったから、僕はただ橘さんの指示に従うだけだったのである。
二回目のダンスレッスンの時、
「圭ちゃんは上達早いですね!すごい、すごい!今日からダンスレッスン始めましょうか?」
とダンスの先生に言われ、
「お願いします」
と僕は答えた。
さっきまでハイヒールを履いて歩く練習をしたり、女らしい立ち居振る舞いの練習を繰り返していた。
クラブが推奨することは身につけておいた方が仕事のためになるはずだと思い、黙って言われた通りにしていただけだったのに……ほめられたら、ちょっとうれしくなった。
ところが、ダンスレッスンのために180センチ超えた長身の先生にホールドされた僕は、なぜか体の震えが止まらなくなり、恐怖感から逃げ出したくなった。
今にも叫び出したい気分でどうしたらいいかわからない。
息ができない。
すっと先生の体が僕の体から離れていった。
「離れたから深呼吸しなさい」
という先生の声が静かに響いて僕は何度も深呼吸をした。
「圭ちゃん、男怖い?」
という問いに反射的にうなずいてしまった。
「そう…それは困ったね。ドールのお相手は、ほとんど男性のお客様なのに」
どうしよう?やつらに犯された時の恐怖感が男の先生に抱きしめられただけで……。
「でもね、僕は男じゃないんですよ」
「え!?」
驚いた僕に、
「僕が本当は男じゃない証拠を見せてあげましょう」
と先生は言ってベストを脱ぎ、シャツのボタンを外し始めた。(続く)
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と橘さんは答えた。
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二回目のダンスレッスンの時、
「圭ちゃんは上達早いですね!すごい、すごい!今日からダンスレッスン始めましょうか?」
とダンスの先生に言われ、
「お願いします」
と僕は答えた。
さっきまでハイヒールを履いて歩く練習をしたり、女らしい立ち居振る舞いの練習を繰り返していた。
クラブが推奨することは身につけておいた方が仕事のためになるはずだと思い、黙って言われた通りにしていただけだったのに……ほめられたら、ちょっとうれしくなった。
ところが、ダンスレッスンのために180センチ超えた長身の先生にホールドされた僕は、なぜか体の震えが止まらなくなり、恐怖感から逃げ出したくなった。
今にも叫び出したい気分でどうしたらいいかわからない。
息ができない。
すっと先生の体が僕の体から離れていった。
「離れたから深呼吸しなさい」
という先生の声が静かに響いて僕は何度も深呼吸をした。
「圭ちゃん、男怖い?」
という問いに反射的にうなずいてしまった。
「そう…それは困ったね。ドールのお相手は、ほとんど男性のお客様なのに」
どうしよう?やつらに犯された時の恐怖感が男の先生に抱きしめられただけで……。
「でもね、僕は男じゃないんですよ」
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