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「俺とつきあって」

と彼に言われた時、私は周りをぐるっと見回してしまった。

私のそばには他に女子はいなかった。

「なにキョロキョロしてるの?」

と言われて、

「それ私に言ってる?」

と訊き返してしまった。

「うん」

と彼はうなずいた。

「からかってる?それとも、友達となにか賭けてるとか?何かの罰ゲームとか?」

 今までモテたことのない私は、告られるなんて絶対ありえないと思っていた。

 目の前に立っている彼は私よりも10センチくらい背が低かった。

 彼が小さいのではなくて、私の方がでかすぎるのだ。

 184センチなんて女としては規格外の高身長の私に男がマジで告ってくるわけがない。

「なにそれ?俺、マジでつきあって欲しいんだけど」

 彼はちょっと怒った口調でそう言った。

 私は彼の目を見て、

「あの、私なんかでよければ…」

と言ってしまった。

 彼の目は嘘をついているようには見えなかった。

 彼がどういうつもりで私なんかとつきあおうと思ったのかは、私にはまったくわからなかった。

 けれども、とりあえずつきあってみようと思った。

 彼は、わりと私の好みのタイプだったし……。

 私は、18にして初彼氏が出来た。

 デッサンの途中で、

「また、昨日帰る途中に地下鉄で女子高生に触られちゃったよ~」

とムカつきながら私が言ったら、

「それで、どっちって言われた?」

と彼はニヤニヤしながら訊いてきた。

「男!」

「上と下とどっちの方触られた?」

「上っ!!」

 彼は私の答えを聞いてゲラゲラ笑った。

 私はむっとしながら、

「どうせ、どっちが前か後ろかわからないような身体してて、顔だって男か女かはっきりしないような顔つきしてるわよ!」

と怒鳴った。

「脱げば区別つくぞ」

 彼はケロっとした顔してそう言ったけど、私の胸は服の上からじゃ所在があやしいような微乳だ。

 私は微乳じゃなくて、ほどよい大きさの美乳の方が欲しかった。

 身長ばかり伸びて子供の頃から大きくて、普通の女の子よりもいつも頭一つ分くらい抜きん出ていた。

 中学高校の頃は、バレー部やバスケ部がしつこく勧誘に来た。

 私はまるっきりの見かけ倒しで、運動神経などは持ち合わせていなかったので、運動部の勧誘は全部お断りして美術部に入部した。

 ウドの大木とは、まさしく私のことだ。

 ほとんどの男子を見下ろすような身長に到達した頃には、彼氏などは出来ないものとあきらめモードに入っていた。

 実際、子供の頃から見た目で、

「男女」

と呼ばれていた私はまともに女の子扱いされたことがない。

 大学に入ってからは、ジーンズはいて登校することが多いせいか地下鉄の車内で、

「ねえ、あの人、男かな?女かな?」

というひそひそと話す声が聞こえてくる。

 友達とそう言いあっていた女子高生は、地下鉄降りる際に出入り口付近に立っている私の身体を確かめるように触って行くことがある。

 触り逃げされた挙句に、

「男だった」

とか言う声が聞こえてきたりするともう最悪。

「私は、女だー!」

と声を大にして叫びたくなるのだけれども、地下鉄車内でそんなこと恥ずかしくて出来ないし、違う場であってもそんなこと出来ない。

 見た目はでかくても私は小心者だったりする。

 自分に自信なっしんぐだし……。

 大学だって、好きな絵を描いていたくて美大に入ったものの、私の描く作品は小さく小奇麗にまとまってしまって、

「もっと自由に伸び伸びと描きなさい」

と教授に言われてしまう。

 向いていないのかな~?

 最近、転科を考えている。

 このまま油絵描いていても、これで食べていけるような才能のない私は、就職に有利な科に転科した方がいいような気がしていた。

 私は彼の絵を見てしまってからは、油絵描く気が失せてしまっていた。

 彼の絵を見て本当に才能のある人の絵とはこういう絵だと思った。

 けれど、才能があるはずの彼はなぜか女性美とはかけ離れたところにいるであろう私をモデルにしている。

「ジーンズ早く脱いじゃって」

と次のデッサンのために彼に言われるままに私はジーンズと靴下だけ脱いだ。

 彼は、私の足ばかり描く。

「おまえ、化粧してスカート履けよ。そしたら、男と間違われることなくなるから」

と彼に言われても、

「今度はおかまと間違われたりしたらどうするのよ?」

と私は自信なさげにそう言ってしまう。

 本当におかまと間違われたりした日には、もう立ち直れないかもしれない。

「スーパーモデルみたいにカッコよくなるから大丈夫だって!」

と言う彼の言葉はとてもじゃないけれども信じられない。

 だけど、彼が描いた私の足はきれいだとは思う。

 不思議。

「おまえは、確かに乳はないが、百年に一人現れるかどうかというくらいの美脚を持っている!マレーネ・ディートリッヒ級の美脚なんて日本人の女ではありえないが、おまえの足は膝下の長さもあるし太股にかけてのラインも理想的曲線を描いている。ただ細いだけの足が美しいとは限らない。本当に美しい女の足とはおまえのような足のことを言うんだ。自信持て!」

 彼はいつもそう熱く語る。

 ほめすぎだとは思うのだけれども、何度も繰り返しそう言われているとちょっとばかしその気になってきたりもする。

 深めのスリットの入ったロングのタイトスカートを履いて行ってみたら、

「すごくいい!」

と彼にほめられたけれども、

「化粧したらもっとよくなる」

とも言われた。

 私は今まで興味なかったから化粧の仕方がわからなくて、友達の中で化粧の上手い子に教えてもらった。

 初めて友達に化粧してもらった顔は、私の顔じゃないようだった。

 ちゃんと女に見える顔になっていた。

「化けたね~。キレイ、キレイ!ちゃんと教えた手順で毎日化粧しておいでよ」

と友達に言われた。

 うれしくなってさっそく彼に見せに行ったら、彼はびっくりした顔していた。

「女は化けるっていうけど、ここまで化けるとは思わなかった。マジでスーパーモデルみたいだ」

 そう言った彼は「キレイ」とは言わなかったけど、たぶん、ほめてくれたんだとは鈍感な私でも感じ取った。

 彼はなぜかそのまま私を靴屋に連れて行った。

 そして、私が履くのを躊躇するような高いヒールのハイヒールを買ってくれた。

 私は身長のわりに靴のサイズは大きくはなくて24センチだったので、服探しには困るけど、靴探しには困らない。

 でも、ただでさえも人よりも飛びぬけている身長をこれ以上高く見せるようなハイヒールを履くのはためらわれて、いつもローヒールの靴ばかり履いていた。

 12センチのピンヒール履かされても立っているのがせいいっぱいで歩けやしなかった。

 彼の頭は約20センチ下にあった。

 とりあえず7センチヒール履いて歩く練習するように言われた。

 なぜか12センチヒールの方も彼は買っていたけれど……。

 化粧してスカート履いてハイヒール履いているだけなのに、周囲の反応は大変わりだった。

 以前とは違った意味で人が振り返るようになった。

 なんだかいい気分になった。

 7センチヒール履いて歩く私の身長は190センチ越えてしまっていて、男でも女でも私よりも大きい人なんかはそう滅多にいない状態。

 でも、

「うわっ!でけぇ~!!」

と言われてもあまり気にならなくなっている。

 高いヒールのせいにしてしまう。

「うわ~!あの人、スーパーモデルみたい。カッコイイ!!」

と女の子に言われるとなんだかすごく気分がいい。

 もう、

「あの人、男かな?女かな?」

と女子高生にひそひそ話されることもなくなった。

 そして、彼は最近は、私に12センチヒールのハイヒールを履かせて絵を描いている。

 椅子に座っているポーズもけっこうキツイし、立っている時もキツくて細かく休憩入れてもらっている。

 まだまだ私は女としての修業が足りないようだ。

 こんなヒールの靴履いて平気で歩ける女の人がいるのなら尊敬しちゃう。

 靴屋であたりまえに売っているのだから、これ履いてあたりまえに歩けてしまえる人もいるのだろうけど私には無理。

 休憩中、ふと思いついて、

「なんで私とつきあおうと思ったの?」

と彼に訊いてみたら、

「大学の受験日に時間ギリギリに駆け込んできたおまえの足に一目惚れした」

と言われた。

 高校の制服の短くしていたスカートの裾が乱れるのも気にもせずに、ギリギリセーフで受験会場に駆け込んだ私は、受験に間に合っただけではなくて、どうやら彼のハートもこの『美脚』で射止めていたらしい。

 それ聞いたらなんだか微妙な感じだったけど、彼が私の足に一目惚れしてくれなかったら、私は彼とつきあうことはなかったと思うし、いろんな意味で彼に『女』にしてもらうこともなかったと思うから、それでもいいやと私は思った。

 彼は私に欠けていた、

『女としての自信』

をつけてくれた。

 人から「おとこおんな」と呼ばれるようなコンプレックスだらけの私はもういない。(Fin)

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