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『鬼畜の戯言』菊池乱☆出版社の倒産により現在電子書籍配信ストップ中

秘密クラブからレンタルされる豊胸女装美少年レンタルドールシリーズ(SF/SM/BL/ML/JUNE/GID/女装/TS/etcな小説)言論と表現の自由を守ろう!不当なネット規制反対!不適切な規制は解除すべきです!!
 

やっかいなドM

昔、合法ドラッグなんてものがあった。

実際のところは、規制する法がないから取り締まれなかっただけの脱法ドラッグだったわけで、合法なんかじゃなかった。

使用者は、売り手側がつけた「合法」なんて言葉に騙されていただけだった。

後に違法ドラッグとして販売業者は摘発され、「合法ドラッグ」と呼ばれたそれは表向きは消えた。

しかし、裏ではまだ密かに流通しているかもしれない。

規制摘発後に、ラッシュ吸引してくらっとして倒れてクラブの階段から落ち、救急車で運ばれたなんて友人がいる。

「もう、やめろって言っただろ?」

と俺が言っても、

「ポン中だから仕方がないって~」

と笑っていたヤツが今どこで何をしているかは俺は知らない。

覚醒剤はやめていたはずだった。

アルコール依存症なんてかわいいもんじゃなくて、昔ながらのアル中と言いたくなるような酒量で、肝臓やられていたのに昼間からポン酒飲んでたりするようなヤツだった。

きれいなヤツだったんだけどな……

今、生きてるだろうか?

酒やドラッグに溺れ依存するくらいなら、俺に依存すればよかったのに…と思ったりすることもあったが、あれはかなりやっかいなタイプのドMだ。

残念ながら、調教師の俺の手にはおえないタイプのMだった。

普段は奔放に女王様しているくせして、惚れて惚れて惚れぬいた男一人にしか自分のMな部分をさらけ出すことはない。

享楽的でありながら、自ら生きずらく自分を締め付けてしまうほど一途。

まわりのやつらには気ままに生きているように見えただろう。

ところが、実は不自由で不器用な生き方をしているヤツだった。

俺の調教では、心を縛っているなにかから解き放って飛ばしてやることができないタイプの男だった。

なぜなら、ヤツは俺に惚れてはいなかったから……。

単なる親しい友人の一人。

通常の調教には、恋愛感情は必用ない。

だが、やっかいなタイプのドMのヤツは自分が惚れこんだ相手でなければ、調教されることすら許しはしないだろう。

「惚れて惚れて惚れ抜いて、命すら預けても構わないと思えるくらいの男じゃなきゃ、ひざまずいてなんかやらない。私は『たった一人の私の旦那様』にしか調教されてやらないんだから」

と冗談混じりに笑って言っていたあの言葉はおそらくヤツの本音だろう。

生きていたら……

まだ、奔放で窮屈な生き方をしているのだろうか?

それとも、ヤツはみつけたのだろうか?

「たった一人の私の旦那様」

とかいう唯一無二の存在を。

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Theme : 自作小説 * Genre : 小説・文学 * Category : ショートストーリー(風刺小説)
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