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最初に好きになったのは・・・

 ずっと自分はメンクイなのだと思ってた。

 今まで好きになった人も、付き合った彼氏も顔がよかった。

 でも、今回は違った。

 職場の先輩で顔は私のタイプじゃないのに、なんだか気になる人がいる。

 背は高いけど、顔だけ見ればぜんぜんかっこよくなんかない。

 でも、なんでだろう?

 時々、すごくかっこよく見えることがある。

 私の目は幻でも見ているのだろうか?

「伊藤さん、これよろしく」

と伝票持ってきた先輩に声をかけられただけでドキドキする。

 先輩は仕事が出来る人だった。

 仕事出来る男はかっこいいとは世間一般的には言うけれども・・・

 でも、私のタイプではなかったはず。

 納得のいかない日々は続いた。

 そんなある日、私は辞表を出した。

 とうとう寝たきりになってしまったばあちゃんの介護に、実家に戻らなければならなくなったからである。

 実家は小さいけれども会社やってて、両親は共働き。

 田舎はヘルパーの派遣会社の事業所さえも採算取れずに逃げだすほどさびれた町で、自宅介護は家族でやるしかなかった。

 親に、

「こづかいやるから、家事手伝いとヘルパーしに帰って来い」

と言われた。

 介護を引き受ければ、たぶん、今の会社でOLしてるよりも大変な目にあうのはわかっている。

 親戚のおばさんが介護疲れして、すっかりやつれてしまったのを見ていたから。

 それでも、かわいがってくれたばあちゃん施設に入れたりするのは嫌だったから、私は会社辞めて実家に帰ることにした。

 家族が自宅介護出来ないのであれば、施設に入れるしかないのが実情だった。

 介護福祉もまだまだ地域格差は大きい。

 便利になるのは都会ばかりで、田舎はおいてけぼりのまま。 

 昔に比べて身内の人手が減ってる分だけ、同居する家族に負担は重くのしかかる。

 会社辞める前に送別会があった。

 一応、主賓だから、たまの飲み会で二次会や三次会まで行きたがっている人たちに付き合って、遅くまで飲み歩いた。

 旦那持ちの女子社員は、こういう時でもなければおおっぴらに飲み歩く機会がないものだから、ここぞとばかりに羽を伸ばす。

 そういう時に、主賓が早々と「帰る」なんて言ったらしらけるし、

「気が利かない」

と陰で言われるに決まっている。

「もう辞めるんだから関係ない」

とわりきってしまえればいいのだけれども、そういうところは、案外気にしーだったりする私。

 帰りたい・・・
 
 さっきから中身の減らないグラスをぼんやりとながめながら、どのタイミングでおいとましようかと考えていた時だった。  

「伊藤さん、大丈夫?」

 耳元でそう言われてゾクリときた。

 気がついたら、いつのまにか先輩が左隣に座っていた。

 ああ、私、この声が好きだったんだ。

 今頃になって気がついても遅いけど・・・

 会社辞めるから、もうこの声ともさよなら。

 そういえば、今まで好きになった人も、付き合った彼氏もいい声していた。

 顔にばかり目がいってて気がつかなかったけど、どうやら私はメンクイではなくて、声フェチのほうだったみたい。(Fin)

最初に好きになったのは声

圏外(T_T)
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Theme : ショートショート * Genre : 小説・文学 * Category : ショートストーリー(性と心の悩み、SM、BL、ML、JUNE)
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