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『鬼畜の戯言』菊池乱☆出版社の倒産により現在電子書籍配信ストップ中

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殺意あります

 あなたは、殺したいほど誰かを憎んだことがありますか?

 私はあります。

 一番最初に本気で殺してやりたいと思ったのは、小学生の時でした。

 殺してやりたいと思うほど憎んだ相手は妹。

 両親に愛され、甘やかされ、姉の私に対しては生意気な口をきくように育った二つ下の妹が憎くて仕方がありませんでした。

 私は親にさえも自分から甘えることができないような不器用な子供でしたから、

「お姉ちゃんは、大人だから」

「お姉ちゃんは、お利口さんで手がかからなくて助かるわ~」

と母に言われていた私は、両親の前では物分りのよい大人びた「良い子」を演じていました。

 私が歪んだ子供に育っていたことには、両親も学校の先生も気がつきませんでした。

「良い子」

と大人に言われる子供が抱える心の闇には誰も気づいてはくれませんでした。

 私は、子供部屋で妹が眠ってしまった後も眠れずに、豆電球一つついた薄暗闇の中、妹のベッドの枕もとに立って首を締めて縊り殺してやろうと何度も思いました。

 けれども、実行にはいたりませんでした。

 憎いと思っていても、同時にかわいくもあり、愛憎入り乱れる気持ちに揺れながらも、泣きながら私は妹の首に伸ばしかけていた手を引っこめました。

 自分の中の殺意に揺れながら、小学校を卒業しました。

 私が中学に入ってからは、私と妹はそれぞれ自分の部屋を与えられました。

 中学に入って最初の学力テストでクラスでトップの成績を取ってしまい、そのポジションを譲り渡すまいと必死で深夜まで勉強していた私のために両親は部屋を分けてくれたのでした。

 おかげで、深夜に隣のベッドで眠っている妹に対する殺意に悩まされることはなくなりました。

 妹とは部屋は別だし、私は一生懸命勉強して良い成績を取ることに集中するようになっていましたから、もう妹のことなどたいして気にはならなくなっていたのです。

 私は、勉強ができるという点においてのみ、

「自慢の娘」

として両親の関心を引くことしかできないような不器用な娘でした。

 無口でおとなしく読書と勉強に励む私よりも、活発でおしゃべりな妹の方が食卓の主役で、私が両親にほめられるのは勉強ができることとお行儀が良いことくらいでした。

 妹の独壇場に長居しても気分は良くはなかったので、早々と食事を済ませると私は自分の部屋にこもって勉強するか読書するかしていました。

 けれども、高校までそういう生活を続けた私も大学に入ってからは、少しは変わりました。

 第一志望に落ちてランクの低いすべり止めの大学に入ったので、もう必死になって勉強しなくても余裕でそれなりの成績が取れるようになりました。

 たまに周囲の学力レベルの低さに落胆したり、いらついたりすることはありましたが・・・。

 サークル活動してみたり、バイトしてみたりしているうちに、ちょっとは社交性とやらがついてきて、友達に誘われて行った合コンでようやく彼氏ができました。

 就職活動でこけてしまった私は、なんとか永久就職の方で落ち着いたものの、疑惑の種をみつけてしまいました。

 表向きはおとなしい奥さんして見せていても、私は、頭の回転はいい方だし想像力もある方なものだから、スーツのポケットの中の物やお財布の中の物を夫が眠った後にチェックしてあやしいものがないか調べたりしていました。

 最初に異変に気づいたのは香水の香りでした。

 夫が帰って来た時に女物の香水の香りがかすかに香ったのです。

 そのうち、ほのかにボディソープの香りがするようになり、私は夫の携帯をチェックしました。

 残業帰りや飲んで帰って来た人から、シャワー浴びたてみたいなボディーソープの香りが香ったりするわけがないのです。

 証拠はみつけました。

 私は、夫の嘘を見抜いてはいましたが素知らぬ顔をしていました。

 夫の携帯は暗証番号でロックかかっていましたが、私は夫の誕生日を入力して一発で解除してしまいました。

 銀行のカードにしてもなんにしても、自分の誕生日なんて暗証番号に使うものじゃないのに・・・バカな人。

 あきれながらもメールをチェックしました。

 そして、私は、夫の浮気を確信しました。

 夫が返信していたあるメールを見て私は激しく憎悪しました。

『あれとは、体裁がいいから結婚しただけ。金のかからない家政婦といったところだ。愛してるのはおまえだけだから』

 おもわず夫の首に手を伸ばしそうになりましたが、なんとか踏みとどまって携帯を元通りにしておきました。

「先に寝てていいから」

と何度言われても私は夫が帰って来るまで寝ません。

 意識して待っているのではなくて眠れないのです。

 遅くに帰って来た夫が眠ってしまった後も私は眠れずに、毎晩夫の枕もとで首へと伸ばしかける手を必死で止めています。

「女の私が素手で男の首を締めても殺せるのかしら?」

という疑問が脳裏をよぎって、夫のネクタイを手に持って、

「これで締め殺してやろう」

と思うようになってしまいましたから・・・。

 浮気相手に、

『愛しているのはおまえだけだから』

とメールするような夫を憎悪しました。

 それと同時に、そんな夫をまだ愛している自分が情けなくみじめにも思われました。

 離婚する気はないけれども、私の中の殺意は日増しに大きくなっていきます。

 もしも、

「別れる」

などと言われた日には殺してやろうと思っています。

 今夜もネクタイ手にして、夫の首を締めてやりたいという殺意と戦って眠れずにいます。

 私の頬をなぜか涙がこぼれ落ちていきます。

 毎晩、殺意をもって妻が枕もとで首を締めようとネクタイ握り締めているのに、夫はいびきかいてのん気に眠っているのです。

 夫が私の殺意に気がつくのは、私が本当に夫の首にネクタイ巻きつけ締め上げた時なのかもしれません。(Fin)

縊死
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Theme : ショートショート * Genre : 小説・文学 * Category : ショートストーリー(性と心の悩み、SM、BL、ML、JUNE)
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