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『鬼畜の戯言』菊池乱☆出版社の倒産により現在電子書籍配信ストップ中

秘密クラブからレンタルされる豊胸女装美少年レンタルドールシリーズ(SF/SM/BL/ML/JUNE/GID/女装/TS/etcな小説)言論と表現の自由を守ろう!不当なネット規制反対!不適切な規制は解除すべきです!!
 

あたしを穢して

 決定的に失恋した日、帰り道でナンパされたら見知らぬ男の車に乗ってしまおうと思った。

 誰でもよかった。

 何されたってかまやしないと思ってた。

 完全に自暴自棄になっていた。

 以前からナンパはよくされていたけど、絶対乗らなかったあたしは、振られてもう守る必要のなくなったものを放り出してしまうつもりでいた。

 貞操の大安売り?

 あたしを穢してくれるのなら誰でもかまやしなかった。

 今まで守られてきたあたしの中のおきれいな部分は、めちゃくちゃに汚して壊してしまいたかった。

 あたしの狂気に近いほどの熱愛から逃げ出した男はたぶん正常だったのだろう。

 そして、あたしが思っていたよりもずっとまじめできちんとした男だった。

「帰るぞ。送ってってやる」

 その一言であたしの自暴自棄な計画はおじゃんになった。

 断れなかったから……あいつの助手席に座るのはこれが最後だってわかってたから。

 助手席はあたしの指定席だったのに、なんであたしはあいつの「彼女」にはなれなかったんだろう?

 あたしの方がバレンタインに直球勝負に出るまでは、

「処女はめんどくさいからイヤだ」

などと牽制球放って寄越すようなふざけたやつだったのに、夜道を一人で歩けばナンパか痴漢に遭うようなあたしを一人で帰したりはしないようなやつに苛立ち感じていた。

 あたしが欲しかったのは「保護者」じゃない。

 でも、あいつはあたしのことは「女」じゃなくて「妹」感覚で見ていて、対象外なのに保護はしてくれちゃってたわけで、勘違いしちゃったあたしは必死で気を引こうとあの手この手でがんばった。

 髪を伸ばしてみたり、切ってみたり、清純からコスプレまがいの派手服まであれこれ着て見せ、露出度高めな服装でがんばってみたりもしたけれど、

「肩ひも出てる」

とブラの肩ひも出てるのを指摘され、

「そういうのだらしなくて嫌いだ」

とまで言われた。

 そんなこと言われたって、肩の大きく開いた服着てもブラのサイズがでかいからストラップレスのブラなんかなくて持ってなかったんだからしょうがないじゃない。

 それにしても、あいつしか見てなかったがために迷走しまくりだったこの二年間はなんだったんだろう?

 モテないわけじゃなかった。

 あたしさえあきらめてしまえば、

『とりあえず付き合っている彼氏』

程度なら、わりと簡単に出来たかもしれなかった。

 でも、あたしが他の男にちやほやされるのはお気に召さないようで、機嫌悪くしてたあいつ。

 保護者気取りで「悪い虫つかないように」なんて言うんならよけいなお世話!

 他人だもん。

 受け入れる気がないなら、突き放してくれればよかったんだ。

 そしたら、今お化粧すっかり剥げちゃうほど、泣かずに済んだのに……。

 あたしを振ったばかりの男の車に乗せられて自宅マンションの前まで送られた。 

 帰り道、ずっと無言だった。

「(送ってくれて)ありがとう」

とだけ言って車から降りたけど、あたしは「保護者」気取りで誰かさんが守ってきたものなんか穢して壊してしまうつもりでいた。

 一度部屋に戻って化粧直しをしたら、あたしは通称「ナンパ街道」と呼ばれるナンパ車ガンガン走っている近所の道道へと向かった。
 
 あたしは復讐してやろうと思っていた。

 次に会った時変わり果てたあたしを見て、あいつがどんな顔するかを思い浮かべながら……。(Fin)
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Theme : ショート・ストーリー * Genre : 小説・文学 * Category : ショートストーリー(性と心の悩み、SM、BL、ML、JUNE)
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