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秘密クラブからレンタルされる豊胸女装美少年レンタルドールシリーズ(SF/SM/BL/ML/JUNE/GID/女装/TS/etcな小説)言論と表現の自由を守ろう!不当なネット規制反対!不適切な規制は解除すべきです!!
 

怖い女

 また、宏美が泣きついてきた。

 このコ、今までろくでもない男とばかり付き合っている。

 いつも男で泣かされてる。

 中学からずっと友達付き合い続いているけど、男見る目の無さはひどいもんだ。

 いつも「やめときな」って私が言ってもそういう男のとこに行っちゃう。

「泣いてばかりいないで、なんか言いなさいよ。泣いてたってどうにもならないんだから」

 自分から呼び出しておいて私の顔見た途端大泣きして、宏美はさっきから何もしゃべらない。

 しょうがないからしばらくほっといた。

 泣きやまないことには話にならない。

 ひとしきり泣いたらやっと落ち着いて宏美は話しだした。

「あのね、彼の部屋に行ったら・・・女の人がいたの」

「あんた、また浮気されたの?」

 宏美の彼は浮気性で他の女に平気で手を出す。

 なぜか宏美はそういう男によくひっかかる。

「何か言おうと思ったら、彼に『連絡なしでくるんじゃねーよ!』って、玄関から蹴りだされて靴も廊下に放り出されてドアチェーンまでかけられちゃった」

 あ、また泣きそうな顔してる。

「もう、ダメなのかな~?」

 さすがに部屋から蹴りだされたりしたのがショックだったらしく宏美はそうつぶやいた。

「もう、あんな男とは別れな。何度も言ったでしょ、あの男はまた同じこと繰返すって」

「でも…デキちゃったの」

「え!?」

 背中に冷たい汗が流れていくのを感じた。

「まさか子供デキたなんて言わないよね?」

「子供デキた」

 最悪だ。

「避妊だけはしっかりしろ!って言ったでしょ。なんでしくじっちゃったのよ~」

「だって彼が『俺のこと愛してるならナマでやらせてくれるよな?』って言うんだもん」

 うわっ、サイテーだ。

 男がナマでやりたい時の常套句だ。

 もちろんそう言う男は責任取る気なんかない。

「あんたね~、そういう時は『私のこと愛してる?赤ちゃん出来たら結婚してくれる?』って訊き返すぐらいはしておきなさいよ!あんなヤツには『浮気する人とは出来ません!』ぐらい言ってもいいんだから!」

「だって~」

と宏美はまた泣きそうな顔をした。

 彼氏に言えないんだよね、このコ肝心なことが言えない。

 そこにつけこまれるんだろうけど……。

「で、どうするの?私は産むなんていうのは賛成しないけど」

「彼に話そうと思って行ったら、蹴りだされちゃったからまだわかんない」

 あ~、なんでわからないんだろう?

 もうヤツに本カノ扱いされてないし、「そろそろ別れようかな?」とでも思われてる頃なのにまだそんなこと言ってる。

「とりあえずメールしてここに呼び出しな。『私妊娠しました。今後のことを相談したいので来て下さい。友達が妊婦蹴飛ばす暴力男は暴行罪で訴えてやれ!って怒りまくっています。私は訴えるつもりなんてないんですけど、友達が弁護士立てるって言い出してるのですぐ来て下さい』とでも打ってみな。たぶん、血相変えて飛んでくるから。話はそれから」

 宏美は私が言った通りにメール打って送信した。

 ヤツは本当に血相変えて飛んできた。

 思ったより到着早かった。

 そして、私の顔見て一瞬顔をひきつらせた。

 彼女の友達が昔の彼女ならそりゃ驚くでしょう。

 ちょっと付き合ってすぐにイヤになって私から振った男。

 だから、宏美にプリクラ見せられた時にはギョッとした。

 何も言わなかったけどね。

 素知らぬ顔してお互い、

「はじめまして」

と低めの声で挨拶した。

 さあて、これからが正念場だ。

 どうやってこの男に責任取らせるように仕向けてやるか?

 さっきは、宏美には厳しいこと言ったよ。

 でもね、私は昔の男よりも長年の腐れ縁の女友達の方が大事だから、宏美が喜ぶような結果に強引に話を持っていくつもりでいる。

 籍さえ入れてしまえば、ヤツの実家は不動産持ちの金はそれなりに持っているような家だから、たとえ後でダメになって子連れで離婚したって困らないだけの慰謝料だの養育費はふんだくれる。

 ヤツの考えるようなことは私にはお見通し。

「なんか俺の考えてること見透かされてるみたいで、おまえ怖い」

と付き合っていた頃に私は彼に言われた。さすがに当時は傷ついた。
 
 彼氏に「怖い」と言われたら、普通は落ち込むか怒るかするでしょう?彼女なら。

 なぜか私はヤツの思考パターンがかなり正確に読めてしまう。

 自分でも「サトリのお化け」なんじゃないのかと思うほどに……。

『その怖い女が目の前にいるのだから、もう逃げ場はないと思いなさいよ』

 私は心の中でヤツに向ってそうつぶやいた。(Fin)
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Theme : ショート・ストーリー * Genre : 小説・文学 * Category : ショートストーリー(性と心の悩み、SM、BL、ML、JUNE)
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