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レミーマルタンVSOP

 学校でだっていじめられていたのに、なんであたしが不登校児にならなかったかというと、母が怖かったからだ。

 休んでも田舎じゃ行き場はないし、学校休んだのがばれたら、母にどれだけ怒鳴られ殴られるかと思うとそっちの方が恐怖だった。

 とりあえず、学校でやられるいじめ程度のことは、あからさまなことをやられればやり返せばよかったわけで、あたしの方も一方的にやられっぱなしというわけではなかった分マシだった。

 殴られたら殴り返せる相手なんか怖くない。

 一方的に殴る蹴るされるなんてことは、少なくとも学校ではなかったから、家にいるよりは学校行ってる方がまだ安全だった。

 生活指導の先生が竹刀持ち歩いていて、教師による体罰なんてあって当たり前って時代だったから。

 当時はうちの学校が市内で一番荒れていて、女子トイレで「女子生徒による全裸にひんむきリンチ事件」なんかもあったとはいえ、毎日のように窓ガラスが割られているという今ほどひどくはなかった。

 当時は、まだ教師の方が強かった時代だったから、何かあればすぐ生徒を処分出来たからだ。

 校内はあたしにはとりあえず安全地帯だった。

 持ち物検査の時の「没収対象物の預かり」を引き受けていたあたしには、当時「不良」と呼ばれていた女子生徒たちは手出しすることはなかったし、いいこちゃんしている偽善者組よりは気さくに友達づきあいしていて、マニキュア落とし忘れて来た子にはよく除光液を貸してあげていた。

 学校指定のかばんの中の巾着袋は、

「生理用品です」

とあたしがうつむいて恥ずかしそうに小声でそう言えば、持ち物検査の時でも中まで見られはしなかったから、校則違反の持ち物を他の子から預かっては手縫いの巾着袋の中に隠していたけど、卒業するまで一度もばれなかった。

「服装や頭髪の乱れは非行の元」

なんて固定観念でもって生徒を見かけで判断している教師には、あたしの化けの皮の下の本性は見抜けはしなかったのである。

 あたしは、服装・頭髪は校則通りのまじめスタイルで、礼儀正しくしてさえいれば、持ち物検査は甘めになるってことを知っていたから、学校内での見かけはまじめにしていたけど、実際には中学生になってすぐに化粧して外出するようになっていた。 

 お酒もタバコも小学生のうちから手を出していたけど、タバコは中学でやめていた。

 不眠に悩まされていたあたしは、お酒は睡眠薬代わりに寝酒に飲む習慣が中一で既に身についていたし、親にばれても家庭内飲酒は親公認になっただけだった。

 理由は、外で飲まれて問題起こされるより、家の中でこっそり飲ませておいた方が問題にならないから。

 それと、我が家は代々のんべの家系であったため、飲酒に関してはわりと寛容な家庭であったから。

 ちなみに、物心ついた頃から、元旦には毎年お屠蘇飲まされ、誕生日には祖母が作ったぶどう酒飲まされて育ったあたしの当時の寝酒は、父が戸棚の奥に隠していた頂きもののレミーマルタン。

 中学生の頃のあたしは、ブランデーを寝酒にストレートで飲んでいたのである。 

 あれだけ、食事に関することでは怒ってあたしを殴った母が、末の妹のチクリによりあたしの飲酒発覚した時には殴らなかったのは、お正月と誕生日にお酒を飲ませて育ててしまったからなのかは不明。

 道徳的観念から子が親に手をあげてはならないと思っていたから、あたしは子供の頃から母に殴られても殴り返そうとは思わなかったし、母は我が家の最強絶対権力者だったから、あたしは母をとても恐れていて刃向かうことなど出来なかった。

 父も怒ると怖かったけれども、父を怒らせないようにするのは簡単だった。

『お父さんがテレビを観ている時にはおとなしくしていること』

『お父さんが家にいる時には騒いだりしないこと』

 この二点さえ気をつけておとなしくしていれば、

「うるさい!」

と父に怒鳴られることはなかったからだ。 

 父は自営業で共稼ぎの母に子育ても教育も家計のこともすべて家庭のことは任せっきりにして、

「知らん!家のことはおまえがなんとかしろ!」

となにかあっても家の中のことは母に全部押しつけて、自分は仕事が終わった後も、それに関係している委員の会議やら、党員として政治活動の応援に出かけて行くことが多かった。

 うちは父親はいても実質父親不在の家庭といっても過言ではない状態だったのだ。

 いや、なまじいるだけに「本当にお父さんのいない母子家庭」よりも始末が悪かったかもしれない。

 いるから母は父を頼りたかったのに頼れなくて、その鬱憤を子供に……一番父に似た容貌と性質を持つ要領の悪いツッコミどころのある長女のあたしにぶつけた。

 いないならいないなりに自分で納得してなんとかしようと思ったのかもしれないけれども、母はいても不在な頼らせてくれない父を恨んで、あたしが小学生の頃から高校卒業するまで子供のあたしに愚痴り続けた。

 あたしは、父の身代りにされたのかもしれない。

 だけど、父や祖母や父方の身内に対する恨みつらみ聞かされ続けて育ったあたしは、

「結婚すると苦労するし、なんだか幸せにはなれないみたいだな。それなら……あたしは結婚はしたくない」

と小学生のうちに「結婚生活」というものに悲観的固定観念を持ち結婚願望を持てない娘になった。

 うちみたいな家庭に自分の子供が生まれてくるのだとしたら、子供がかわいそうだった。

 そんな家庭なら作らない方がいいと思った。

 あたしは母の娘でもあるわけで、子供に母と同じことを絶対にしない保障はないし、もしかしたら同じことをやってしまうかもしれないという不安感もあったからだ。

『自分がやられたから同じことをやり返してやる』

という構図は既にあたしの中にも出来上がっていたし、時々抑えようのない凶暴な自分が顔を出すことにも気がついていた。

 自分が半分同じDNAを受け継いでいる父親やその身内のことを「血筋」という観点で難癖つけられた日には、その父の娘でもあるあたしも同時にダメ出しされているようなもので、子供ながらに自分自身が責められているようないたたまれない思いをあたしがしていたなんてことには母は気づきもしなかっただろうけど……。

 それでも、あたしはそんなかわいそうな母の愚痴を聞き続けた。

 そういう母も外づらは大変よろしく、

「優しそうなお母さん」

とよその人には言われていたが、あたしは誰にも本当のことを言えなかった。

 父が家庭放置して外づら良くよその人のためにあれこれしてきたそのツケは、後日、娘たちが成長してから回って来た。

 子育てに失敗した母は、

「育て方間違えた」

と後に精神を病んだ娘のあたしに向かってそう言った。

 あたしは、製造主の一人に欠陥品認定されたあの瞬間、何かが自分の中で崩れていくような感覚に襲われた。

 そして、もう化けの皮を被り続けるのはやめにした。(続く)

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