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 私は中三の時に家出してからずっと実家に帰っていなかった。

 15才で家出した私が21才で実家に帰ったのにはわけがあった。

 なぜ帰ったかというと本当に切羽詰まった状況に追いやられてしまっていたからだった。
                   
 札幌で住み込みで働いていた店にだまされて、自分一人ではどうしようもない状況に陥っていたし、住んでいた部屋から逃げ出してしまったら寝泊りする場所もなく、金もなかった私は実家に帰らざるをえなかったのだ。

 もうどうしようもない状況だったから、事務所であるマンションの一室に住み込んで風俗店で働いていたけれどもお給料未払いの上、部長の愛人にされかけていて逃げてきてしまったことなんかを親にバカ正直に話してしまった。

 未払い分のお給料を請求する電話をしたら、逆に荷物の保管料の支払いを迫られる始末で、かなりごたごたしたけど、

「未払い分の給料なんかはいらないから、荷物は返してくれ!」

と親が事務所に怒鳴りこんで私の荷物を取り返してきてくれた。

 家出した時には旅行カバン一つで家を出たのに、私の荷物は6年の間にずいぶんと増えていた。

 職を転々としていたけれども稼ぎのいい仕事をずっとしてきたから、服やブランド物のバッグなんかもけっこう持っていた。

 風俗やる前は、援助交際や水商売で食いつないでいた。

 最初のうちは援交でお金と寝場所を得ていたのだけれども、どうしようもなく男とセックスするのが苦痛になってきて、年齢確認のための身分証明書の提示を求めない店に18才と年齢を偽って入店して私はお水になった。

 なんでそんなことを知っていたかというとうちの親が水商売やっていたからだった。

 私が入店した店はマンション寮のあるとこだったから、自分で部屋を借りることができない家出少女だった私は住居も確保できて安心した。

 お金と寝場所を求めて援交し続けることは、レイプされたことがあり、その後輪姦もされて、怖くなってあの町から逃げ出すために家出してしまった私には苦痛だった。

 男性経験は、レイプと輪姦と援交しかなくて、彼氏とやるようなノーマルなセックスの経験は0なんて状態。

 まったく感じないわけじゃないけど、おそらく本当のセックスの快感を知らない私には見ず知らずの男と援助交際とか呼ばれている売春行為を続けるのは精神的苦痛が大きくて耐えられなくなっていた。

 思い返してみれば、私が最初に脱線した日は、中二のバレンタインデーだった。

 中二の時、バレンタインデーに塾帰りに当時好きだった男の子の家までチョコを渡しに行こうとしたら、暗い夜道で後ろからいきなり後頭部強打されて押し倒された。

 顔も知らない男にやられちゃって、道端で処女落っことしてきちゃった私のショックは大きかったけど、そんなこと誰にも言えなかったから、

「あれはなかったことにしよう」

と自己暗示かけ続けて、普通に学校生活送ろうと努力した。

 中三の夏休み、高校生になっていた中学の部活の先輩に、

「バンドやるから、おまえキーボードやらないか?」

と子供の頃からピアノを習い続けていた私は誘われてバンドやることにしたけれども、あれはやめておけばよかったのかも?

 親が「音大出のお嬢さん」というのに憧れていて、人よりピアノが弾けてしまっていた私をゆくゆくは音大に進学させようとしていたことにあの頃は反発を覚えていて、ピアノを弾くことは楽しくなくなっていた。

 親の思惑とは違うバンド活動でキーボード弾くのは、同じ鍵盤楽器であっても楽しんで弾けたからバンド活動にのめりこんでいった私は、一人暮らししているメンバーの部屋にみんなで集れば、泊まって平気で高校生のおにーさんたちと一緒に雑魚寝していた。

 バンドの仲間だと思っていたし、複数人数で泊まっているから、おかしなことはしてこないだろうと考えていた私は浅はかだった。

 ある日、寝てたらなんか違和感感じて起きたらやられちゃってたし、私が起きた後も次々まわされた。

 仲間と信じていたバンドのメンバー全員に輪姦されちゃったら、さすがに私も男性不信に陥った。

 見知らぬ人にレイプされてしまったこともショックだったけど、それよりも顔見知りどころか仲間と信じていた人たちに輪姦されてしまったことの方がショックだった。

 踏みにじられたのは「貞操」や「心」だけじゃなくて「信頼関係」もだった。

「もう男なんて信じられない!」

と思ったのと同時に、

「またこの人たちと会ったりしたらやられちゃうかもしれない」

とも思ったら私は怖くてたまらなくなった。

 またこんなことが繰返されるのは耐えられないと思った。

 私は家に帰ったらシャワーを浴びた後、身支度して旅行カバンに必要と思われる物を詰めこみ衝動的に家出した。

 貯金通帳には貯金がいくらか貯まっていたから、よその街へと電車に乗って行った。

 しばらくの間は昼間はファーストフードやコンビニで本でも読みながら時間つぶしして、夕方銭湯に行き、夜はカラオケボックスに寝泊りするといった生活をしていた。

 だけど、貯金がつきて所持金も残りわずかになって今夜の寝場所にも困った時、私は声をかけてきた男について行ってホテルに入った。

 初めて援交した時の私の値段は5万円だった。

 お金があるうちは援交はやらなかったけど、所持金と寝場所に困るようになるとまた援交やった。

 1万円から5万円の間で金額は一定しなかったけど、せっぱつまっていたから確実にお金と寝場所を得られればそれでいいという感じで私は売春し続けた。

 そのうち、どうしようもなくセックスするのも男に触られるのもイヤになってきた頃にお水になった。

 お水の時はけっこう好き放題してた。

 お客からのプレゼントのブランド物はほとんど質屋に持って行って換金していた。

 遊びまわっていて、ホストクラブなんかも行った。

 そのうち彼氏ができて、初めて彼氏とのセックスっていうのを経験したものの、私の身体はほとんど感じなかった。

 当然、イクわけもない。

 私はベッドの上で演技することなども知らなかったものだから、

「まぐろの上に不感症じゃやってらんねー」

と彼氏に言われてショックを受けた。

 その彼氏と別れてからは、ホストクラブにせっせと通った。

 彼氏よりもホストの方がやさしかったからだ。

 お金で買うやさしさでしかなかったのだけれどもないよりましだった。

 でも、そのうちけっこうつけがたまってしまって、つけの回収をしようとホストは今の店辞めて風俗で働くことを勧めてきた。

 18才になっていた私は、ファッションヘルスに転職した。

 マンション寮に入居して働いて、お店転々としながら21才まで本番なしの風俗店で働き続けた。

 風俗は通常はお給料は日払いで全額支払われるのだけれども、最後に働いた店だけは東京の本店から毎月銀行振込されるようになっていた。

 手元に置いておいて愛人にするつもりで、マンションにある事務所内の一室に私を入居させた部長の魂胆がわかった頃は遅かった。

 仕事でもたくさんイヤな思いして我慢してるのに、仕事終わってからは眠ろうとベッドに入っていた私の布団の中に部長が潜りこんでくるのは耐えがたかったし、お給料の振込みが滞るようになって、私はお金にも困るようになった。

 食事は出されていたから飢えることはなかったけど、携帯料金の支払いとか女の子が使用する必用な消耗品…生理用品やストッキングや化粧品さえも買えない状況に陥った時、たまたまもらったお客からのチップ一万円で電車に乗って実家まで逃げ帰ってきた。

 ごたごたが落ち着いた後の私は、実家ではたまにピアノ弾いてみているけど、すっかりなまってしまっていて毎日練習していた中学生の頃よりも腕は落ちていた。

 時々「もしもあの時レイプなんかされなかったら?」とか「バンドの仲間に輪姦されたりなんかしなければ…」とか考えてみることがある。

 あれが私の脱線のきっかけになったのだけれども、私はピアノは当時は弾けていたけど頭は良くはなかったから、まともに受験して中学卒業してから高校行ったとしても音大になんか入れなかったとは思う。

 だけど、今の私の最終学歴は中卒だからできる仕事は少ないし、私は高収入の夜の仕事しかしてこなかったから、実家に帰ってもやっぱり水商売の求人募集とかをながめてしまっている。

「男とセックスしないで済む仕事ならなんでもいいや」

 おもわずそうつぶやいてしまった言葉は本音。

「男なんて嫌い!」

 心の底からそう思う。

 だから、私はもう二度と援交も風俗もやらないと思う。

 でも、脱線してしまった私の人生は軌道修正きくものなのかは私にはわからない。(Fin)

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