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『鬼畜の戯言』菊池乱☆出版社の倒産により現在電子書籍配信ストップ中

秘密クラブからレンタルされる豊胸女装美少年レンタルドールシリーズ(SF/SM/BL/ML/JUNE/GID/女装/TS/etcな小説)言論と表現の自由を守ろう!不当なネット規制反対!不適切な規制は解除すべきです!!

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2015年12月24日

こねこ時計 ver.3

CATS
Sweets
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地球の名言Ⅱ


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秘密の契約(前編) 

 私はとうとう悪魔に魂を売ってしまった。

 身売りしてしまった。


 風俗店で働くのでもないし、売春をするわけでもないのだけれども、半年の契約期間中は私の身柄は拘束されることになる。


 まさか、愛人斡旋している会社が実際に存在するとは思ってもみなかったし、あんな有名な成人女性向の漫画誌にああいった内容の広告が堂々と載っていたことにも驚いた。


 あくまで、高い入会金と紹介料を支払った男性会員に女性を紹介して会わせるところまでしかその会社はしていなかったけれども、どういった内容の契約を結ぶかは本人同士の話し合いによって決まる。


 実質は、期間限定の愛人契約をするようなもの。


 正直な話、性的嗜好が特殊な私に勤まるものなのかどうかはわからなかった。


 でも、私は非常に切羽詰っていた。


 多重債務で自転車操業し続けていた私はもう限界ラインに来ていたのだ。


 支払日になると、


「今月も全ての支払いが出来た!」


という喜びすら感じるようになっていた私は完全に借金ループにはまってぐるぐる回っていた。


 借金を返すために高額時給バイトを掛け持ちし、借金を返すために返しては借り、返しては借りの繰り返しをしていた。


 いつしか期日までに無事に支払えたという達成感から、快感のようなものすら感じるようになっていた。


 私はすでに心を病んでいたのだと思う。


 それでも、ついにどうがんばってお金の循環をさせてみても支払いに間に合いそうにないことに気がついた私は、雑誌の広告で見た番号に電話してしまった。


 ラッキーなことに斡旋会社から紹介された男性会員は、偶然私と性的嗜好の合う人だった。


 その男性会員については斡旋会社から告げられた、


「48才会社役員男性」


 それ以外のことは何も私は知らない。


「半年間、私がプレイしたいという時には、いつでもどこででもプレイのお相手をしていただける方を求めていたのですが、あなたは今までの生活を全て捨てて来ることが出来ますか?」


という問いかけに私は一瞬迷った。


「もしもあなたが今までの生活を全て捨てて来て下さった場合、契約金額は…・・・」


 私のことを値踏みするかのように見据えてからその男性会員が言った金額はとんでもない金額だった。


 半年でその金額はありえない。


 たぶん、ソープの高級店でNo.1になれたとしてもそんな金額は半年では絶対に稼げはしないと思う。


 私の借金全額返済してもまだまだ余る。


 なんでそんな大金をたった半年の契約で払おうとこの人は言うのだろう?


 不審には思った。


 けれど、私はもう全ての借金をイッキに支払ってすっきりしたくなっていた。


 借金を期日までに返せるということに快感を覚えるようになってしまった私の脳は、おそらく返済時にドーパミンやら脳内エンドルフィンでも大量放出しているのだろう。


 全部借金一括返済出来たら私の脳はどれだけの快感を感じるのだろう?


「今までの生活全て捨てます」


と私は答えてしまった。


 たかが半年、人生の中の空白の期間が出来たってかまやしないと思えるほどの高額報酬に目がくらんで私は契約することに決めてしまった。


 私の借金を全て支払える分と今住んでいる部屋を引き払ってレンタル物置に半年間荷物を預かってもらうためのお金を先払いしてもらうことを条件に…・・・。


 準備が出来たら旅行カバンとハンドバッグに詰められる程度の必要最低限の荷物を持って私は迎えの車に乗った。


 その黒塗りの車が外車であることしか車に興味のなかった私にはわからなかった。


 契約主は、3LDKのマンションの部屋を私のために用意していた。


 完全防音で1室は私の寝室。


 あとの2部屋はプレイルームとして設備が整っていた。


 コスチュームや下着、お道具の類もそろっていた。


 生活していくのに必要な物も用意してくれていた。


「半年だけの道楽です」


と契約主はそう笑って言ったけれども、今の不景気なご時世にこんなお金のかかる道楽をする人がいるなんて私には信じられなかった。


 囲われた私は一人で外出することは禁じられた。


 食事の用意や買い物は通いの家政婦さんがしてくれた。


 携帯は電源OFFにして契約主に預けてある。


 身内や友人知人には、私は海外への仕事に出かけているということにしておいて、半年間連絡を断つことにした。


 契約主は自分の素性を知られたくないようで詮索することや、私が今の生活やプレイのことを誰かに話すことも禁じている。


 あれだけの金額支払われたら言われなくとも守秘義務くらい守る気でいたんだけどね、まあ、いいか。


 よっぽどバレたらまずい立場の人なのだろう。


 余計なことは訊かないし、家政婦と迎えの運転手以外と顔を合わすことがない生活しているのだから、当然契約主が話されて困るあのことは誰にも話すことはない。


 プレイする日は、私の住んでいる部屋に契約主がやってくることもあれば、車で迎えの者がやってきて、どこかに連れて行かれることもあった。


 契約主が私に求めたプレイはSMプレイだった。


 私は女王様で契約主がM男だった。


 SMクラブに行くのがはばかられるような立場の人だったとしたら、専属女王様を囲ってプレイした方がいいのかもしれないけれども、一般人レベルの浪費家の私には理解の出来ない桁違いのお金の使い方を契約主はする。


 プレイは、飽きてしまわないように私はノートにその都度どのようなプレイをしたのかを書き綴って、同じプレイの繰り返しにならないように色々と工夫をした。


 でも、プレイをしていくうちに契約主がストーリープレイを好むことに気がついた私は、様々なストーリーやシチュエーションを思い浮かべてはノートに書き綴り、次のプレイの用意をした。


 契約主がフェティシズム的服装倒錯症であることにも私は気づいていた。


 これは、服装倒錯者であるトランスベスタイトとは異なる。


 トランスベスタイトは、自分と異なる性別の衣服を着用し「女装」や「男装」することを楽しみはするけれども、性的には基本的に異性を求めるノーマルな男女である。


 ただし、カミングアウト出来ないGID(性同一性障害)の人たちがまぎれていたりもするのであやしい分類でもある。


 それに対して、フェティシズム的服装倒錯症の場合は、性的興奮を得るために異性の衣服を着用したりはするが、性欲喚起と明らかに結びついていることと、いったんオーガズムが起こり性欲喚起が止めば、衣服を脱いでしまいたいという強い欲望が起こる。


 私は、男が女物の下着をおかずにするのに自分で履くか履かないかくらいの違いにしか思わなかったけど、それで興奮するのならばと契約者に女物の下着や衣服を身につけさせてプレイしたりもした。


 女物の下着を身につけたままイッてしまうと理性が戻って、契約者は激しく羞恥して縛られていても一刻も早くそれを脱いでしまいたがった。


 あまりハードなプレイはしなかったけれども、私も契約者もプレイルーム内の雰囲気作りや互いの身につけるコスチュームにはこだわった。


 契約者は次から次へとコスチュームや下着を購入してきた。


 私が身につける下着はフランスレースの高価で見た目が美しい物を契約者は好んだ。


 契約者が好んで身につけたのは、サテン生地の感触がつるつるした物だった。


 ストッキングも好んだ。


 私にはガーターベルトでつるし上げるストッキングを履かせておいて、契約者はパンティー履かずにじかにパンストを履いてみたりもした。


 ストッキングを履いた足と足をすり寄せてやったり、足の裏で強弱つけて踏みにじりながらすりあげてやると契約者の硬くなったモノから分泌された透明な液体で私の足の裏は濡れてしまった。


「女王様の御み足をおまえの汚らしいもので汚すなんて、なんていけない子なのかしら?」


 私がそう言いながら睨みつけてやると、契約者はおびえた表情で私を上目づかいに見上げる。


「お舐め!」


と私が口元まで足の裏を伸ばして命じてやると、契約者は一生懸命舌を伸ばして舐めてきた。


 自分の分泌した液体を舐め取っている。


 自分がサドだからなのかもしれないけれども、私には自分の下半身から分泌したものを舐めるなどといったことは汚らわしい行為に思えるしそんなことはしたくないし、命令されてもしないだろう。


 でも、そういう屈辱的で汚らわしい行為に興奮してしまうマゾが存在していることは知っているし、現に今私の足を舐めている契約者はそういうM男だ。



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Posted on 2009/08/05 Wed. 02:33 [edit]

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秘密の契約(中編) 

「少しお痩せになりましたか?」


と私が訊ねてみたら、


「痩せたように見えますか?」


と契約者は訊き返してきた。


「ええ、なんだか頬が少しこけたようだし、身体の方も……」


「たぶん、今仕事が忙しいからでしょう」


 私の言葉をさえぎるようにして、契約者は私のグラスにワインを注ぎながらそう言った。


 顔色もよくはなかった。


 それでも、私はそれ以上はそのことについて話すのはやめた。


 プレイ以外の時は、私は契約者とお互い敬語で話している。


 プレイでは女王様でも、私は契約者にお金で半年間買われた身だ。


 お客様相手には臨機応変にその時々に対応した態度をとるものである。


 それはサービス業のバイト掛けもちしてきて身についた。


 プレイが終わってシャワーを浴びたら、契約者はまっすぐ帰っていくこともあれば、一緒にお酒を飲みながら会話していくこともある。


 この部屋に泊まっていくことはない。


 必ず帰って行く。


 たぶん、妻子の待つ自分の家にでも帰って行くのだろう。


 私は、契約者がどこかの会社の会社役員で、おそらく財産家であろうこと以外は、普段の契約者の生活に関することは何も知らない。


 性癖に関してはよ~く知っているのだけれども、それ以外については何も知らない。


 そんなことはどうでもいい。


 私はどうやら普通の女と違っているようで、昔から他人のことをあれこれと詮索したり、噂話をしたりすることに興味を覚えなかった。


 だから、契約者が知られたくないと思っている普段のことなど知りたいとも思わなかった。


 借金は全部片付いたし、残りの契約金もすでに私は現金で全額受け取っていた。


 持ち逃げしようと思えば出来ないことはなかったかもしれない。


 それでも、私は契約終了時までは、契約者がいつプレイにやってくるかも迎えがやってくるかもわからない状態で、プレイの準備をしてこの3LDKの部屋で待っているつもりでいる。


 これは、ビジネスだから。


 私は自分自身を半年間売ることによって、半年間どんなことをしても私が稼ぐことの出来ないほどの法外な金額の報酬を前払いされた。


 私は、サドで誇り高き女王。


 本人同士の合意による契約を途中で放り出して逃げてしまうことは、私のプライドが許さない。


 昼も夜も働いてほとんど眠らないような生活して、自転車操業してでも借金を返し続けてきたのは、そういう意地とプライドのせいでもあったのかもしれない。


 私の借金は私が自分自身の浪費で作った借金だった。


 自分で借りたお金は自分で返すのが筋というもの。


 どんな手使っても自力で返す気でいた。


 そして、返した。


 半年間、自由を手放すことによって・・・…。


 だけど、全部借金返済して来た時、私は自分が予想していたすっきり感ではなくて、さびしさのようなものを感じた。


 今まで掛け持ちでしていた仕事を全て辞め、部屋を引き払い荷物はレンタル物置に預けて、迎えの車が来たら目隠しをされてこの3LDKの部屋まで連れてこられたから、私はここがどこなのかさえも知らない。


 ここから連れ出される時も目隠しをされたまま車で移動するから、自分が今どこにいるのかなんてことはわからない。


 動物園の異国から連れてこられた動物たちはこんな感じなのだろうかと時々想像してみたりする。


 でも、私はこの部屋の中でなら、プレイの準備さえ出来ていれば何をしていようが、何を買おうが自由だ。


 カネならある。


 好きなパチンコの中古台を購入して遊んでみたり、通信カラオケ買って部屋で歌ってみたり、欲しいCD片っ端から買い、読みたい雑誌や本を片っ端から読み漁ってみたりした。


 買い物に関しては、大きい物は代金渡して契約主に頼んで入手した。


 買ってくれるという申し出は断った。


 貢がれるのは好かない。


 そういう物には思い出が残るから手放せなくなる。


 自分のお金で買った物ならいつでも手放せるけど……。


 雑誌やCDや本や化粧品、日用品の類は通いの家政婦さんに頼んで買って来てもらった。


 外部との接触を断つことを条件とされていため、ネットはつなげなかったけれども購入したノートパソコンで思いつく事柄を片っ端から書いていった。


 ブランド物には元々興味がなかったし、自由に外出することも出来ないものだから、服や靴も欲しいとは思わなくなった。


 部屋の中では私はメイクはしっかりしていてもバスローブしか身につけていない。


 ボンデージは長時間着ていると蒸れてしまうので、プレイの際に着用した。


 たまに迎えの者が来て連れ出されるような時は、ボンデージの上から契約者が用意していたドレスを着て出かけて行った。


 プレイのお道具を詰めこんで持って出かけるバッグは、私は誰でも持っているような有名ブランドのバッグは好きじゃなかったので、契約主が私の好みを訊いてオーダーメイドしてくれた。


 私が自分の好きなものの中で唯一控えていたのはお酒だけだった。


 酔払い運転がいけないのと同様に酔っ払いプレイなどもってのほかだ。


 酔っ払い女王が判断力の低下した頭で安全なプレイが出来る保証は無い。


 SMプレイはプレイ内容にもよるけれども、サドの方の頭がしっかりしていなければプレイ中の事故が起こる可能性のある危険なプレイ。


 飲みだすと酔いつぶれるまで飲む傾向に私はあった。


 昔はこんなんじゃなかったはずなのに、気がついたらこうなっていた。


 いつプレイしなければならないかわからない状況下で私はお酒を飲むわけにはいかなかった。


 だから、最近は、契約者がプレイの後に持ってきたワインを開けて私に勧める時以外はお酒は飲まない。


 なんとなく名前くらいは聞いたことがある程度のお高いワインを飲んでいても、庶民な私は缶チューハイが恋しくなる。


 お店で飲めば何十万もする高級ワインを私の好みの味じゃないと思いながら飲むより、コンビニで新発売の缶チューハイの味を想像して楽しみにしながら開けて飲む方がいい。


 私は庶民レベルの浪費家だけれども物の残らないことにお金を使った。


 エステ通いや夜遊びしているうちはまだよかった。


 たぶん、私が今までの人生で一番お金を使ったのはギャンブル。


 パチンコだけやってた時頃はそこそこ勝てていた。


 でも、彼氏につきあってパチスロやるようになってからが最悪だった。


 大勝ちする日もあれば大負けする日もあった。


 次第に負けの方が増えていったけど、私は大勝ちした時のことを思い返しては、キャッシングしてまでもスロット打ち続けた。


「勝てば負け分取り返せる!」


 そう思い込んでしまっていた。


 借金まみれになった頃には、私にパチスロ教えた彼氏とは別れていた。


 会社を辞めて、時給のいいバイトを掛け持ちして夜も昼も働いて、私はほとんど眠らない生活をしていたけど、それが苦にはならなかった。


 私は不思議なくらい睡眠をあまり必要としなかったからだ。


 ナポレオンは4時間しか眠らなかったとかいう話を聞いたことがあるけれど、まさにそういう感じ。


 たまに24時間起きていることもある。


 起きている間、まったく眠気は感じることはなく頭の回転もよく、次から次へと新プレイが思いついたりして、私はノートパソコンに向ってそれをものすごい勢いで入力していった。


 ブラインドタッチ完璧で入力正誤率100%の私は、チャットでも早打ちなら負けたことがない。


 今はチャットは出来ないけど、パソコンの中には私の頭の中に浮かんだことを片っ端から打ち込んでいる。


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Posted on 2009/08/05 Wed. 02:41 [edit]

『秘密の契約』  /  TB: --  /  CM: --

秘密の契約(後編) 

「どこかお体お悪いのではありませんか?」



 私がそう訊ねても契約者はしばらくの間黙ってワインを飲んでいた。



 契約者は、急激に痩せた。



 その痩せ方は病的だった。



 基本的に私は契約者に何か訊ねるようなことはしないのだけれども、あまりのやつれようにプレイの際にムチを振るうのをためらわれる瞬間がある。



 けれども、最近の契約者はハードなプレイを求めるようになっていて、そのやせ衰えた身体に負担がかかるであろうプレイをすることに私は戸惑いを感じ始めていた。



 病身にムチを打つようなことは、さすがに気が引けた。



 プレイは健康だからこそ楽しめるものだ。



 どこか体に悪いところがあるのに無理してやるものじゃない。



 グラスを置いてやっと口を開いた契約者は、



「私は、末期ガンです」



とポツリと言った。



「え?」



 私は、病的に契約者が痩せていく過程を見ていたから、なんとなく予想はしてみたりもしていたのだけれども、本当に本人の口からそう聞かされてみたら呆然としてしまった。



「わかった時にはもう手術の出来ない箇所にまで転移していました。抗がん剤治療を一応勧められたのですが、完治はしないし体力奪われ余生を楽しむ時間を持てないかもしれないと聞いてやめにしました。病院では日常生活に問題のないように苦痛を取り除く処置だけしてもらっています」



 契約者のその言葉を聞いて私は訊きたくても訊けない言葉を飲みこんだ。



 私の表情から察したのだろう。



「あなたと契約した時、私はガン告知と同時に余命半年と宣告されていました。もうじき死ぬのならば人生の最後に好きなSMプレイを好みのタイプの女性ととことん楽しんで、思い残すことなく死んでいくつもりでいました。でも、好きなことをして楽しんでいたせいか少しばかり余命が延びてしまいました。人生最後のいい道楽になりましたよ」



 契約主はそう言って笑った。



 実に、晴れ晴れとした笑顔だった。



 これから死んでいく人間がこんな風に笑えるものなのだろうか?



 今月いっぱいでこの秘密の契約は終了する。



 でも、余命が延びたとはいってもいつ死んでもおかしくはない状態の人間に最後まで私はムチを振るうことが出来るのだろうか?



 黙りこんだままの私に、



「この先、私がこの部屋に来ることがなくても、あなたは今月末になったら出て行って下さい。迎えの者は手配してありますから、お持ちになりたい物全て持って行って下さい」



と契約者は言った。



 私は、何を思ったのやら自分でもよくわからないけれども、



「ボディピアスしても大丈夫ですか?」



と唐突にそう言ってしまった。



「大丈夫です。妻とはもう何年も前に離婚しましたし、子供もおりません。私が死んでも顔を見に来る者はいても身内に身体を見られる心配はありませんから……」



 私は、ピアッシングに必要な物を契約者に用意してもらうことにした。



 そして、



「ピアッシングの儀式をおこなうまでは、死ぬことは絶対に許さぬ!」



とプレイモードの女王の口調で私は命じた。



 契約者は、



「はい」



と答えて帰って行った。



 もしかしたら、契約者にとって次が最期のプレイになるかもしれない。



 私は必死で今出来る最高のプレイを考えた。



 冥土の土産に私が持たせてやれるのは、契約者が好きなSMプレイの想い出くらいしかない。



 私が心を鬼にして病身にムチ打ってやることが契約者の望んだ人生最後の道楽というものなら、最後まできっちりつきあってやるつもりでいた。



 契約者がやってくるまで不安ではあった。



 次は無いかもしれなかったから……。



 一週間後、契約者は部屋にやって来た。 



 最後のプレイ中にピアッシンングの儀式をした。



 たぶん、薬の副作用のせいもあるのだろう。



 ここのところずっと契約者のモノは完全に勃つことはない。



 それでも、ダラダラと半勃ち状態のその先から流れ出る分泌液は、SMプレイによって性的興奮を引き起こし身体が反応している証拠。



 私は、よく消毒してからその根元の部分に小さな金色のリングのピアスをつけてやった。



 そして、



「おまえは、永遠に私の奴隷よ!」



と宣言した。



 契約者は感涙した。



「ありがたき幸せにございます」



 涙を流しながらも幸せそうな顔をしていた。



 私が最期に持たせてあげられるのは、プレイの想い出とあの小さなピアス一つだけ。



 でも、そんなものでも冥土の土産になるのなら、迷うことなくムチを振るってやる。



 そうされることを契約者は望んでいるのだから、病身にムチ打つのは心が痛むなんて偽善者ぶってなんかはいられない。



 ムチ打って欲しがっている相手にムチを振るってやらない方が相手に失礼だ。



 いつもなら痕が残らぬ程度にしておくのに、私はその日は思いきりムチを振るった。



 痕が残るほどに……。



 その後、月末まで契約者がやって来ることはなく、私はこの部屋にやって来た日に持ってきた旅行カバンの中に最小限の物を詰めこんだ。



 ほとんどは契約者が買ってくれた下着。



 ボンデージやプレイ用のハイヒールは置いていく。



 たぶん、私はもうSMプレイはしないだろうから・・・…。



 最後の女王様になってやるつもりでいた。



 たかが半年の人生最後の道楽に庶民が宝くじでも当たらなければ手にすることのないような現金ポンと差し出すようなバカなM男のために女王様な私は封印する。



 私は、クローゼットの中の華やかなドレスには見向きもせず、黒のワンピースを着て迎えの者を待った。



 小型のノートパソコン以外はここに来てから買った物は持って行かない。



 持って行けるような物じゃあないし・・・…。



 パチンコ台やら通信カラオケやら、大量にあるSM雑誌やSM小説なんて持ち運べないし、持って行けたとしても私にはもういらない物だった。



 いつも通り目隠しされて車で移動中、



「どこまで行きましょうか?」



と運転手に訊かれた。



「新宿のHホテルまでお願いします」



 私はある高級ホテルの名を告げた。



 車が止まったら、



「着きました。もう、目隠しをお取りになってよろしいですよ。それと、これをお返ししておきます」



と言われて私は自分で目隠しをはずした。



 そしたら、契約中ずっと契約主に預けてあった私の携帯電話を運転手は渡してきた。



「ありがとう」



とだけ言って私は車を降りた。



 契約者の生死は私にはわからない。



 それでも、ひさしぶりに完全に自由になったからといって遊びまわるような気分にはなれなかった。



 私は、ハンドバッグ以外の荷物をベルボーイに渡してホテルに入って行った。



 渡した荷物は旅行カバンとオーダーメイドのプレイ用バッグのみ。



 あのプレイ用バッグの中には現金が詰まっている。



 半年間の契約金は、私の借金を支払い、買い物してもまだまだ残っている。



 私には帰る部屋がない。



 帰る家はあるけど、今はまだ帰りたくない。



 ここのホテルならアメニティもまともな物を用意しているし、ルームサービスのメニューも私好み。



 宿泊料金はお高いのだけれども、しばらく引きこもる気でいるから室内環境の良いところで寝泊りしたい。



 とりあえず、カネはあるからしばらく喪中モードで引きこもる。



 もっとも、まだ、ジョリーは死んではいないかもしれないけど……。



『ジョリー』というのは、私が契約者につけた奴隷名だ。



 ちなみに、『ジョリー』というのはアンジェリーナ・ジョリーのジョリーではなくて、昔テレビで見た外国ドラマの主人公の名犬の名をたまたま思い出してその名をつけた。



 私のジョリーはいい犬だった。



 愛犬として一生覚えていてあげるよ……ジョリー。



 枕に顔をうずめて泣いていた私は、一瞬ジョリーがいつも身にまとっていたウッディー系のバーバリーの香水の香りが香ったような気がして枕から顔をあげた。



 ジョリーがいるわけないのはわかっていた。



 ホテルの部屋の中には私以外誰もいない。



 でも、セクシーなその香りはまだその場に残っていた。



「おやすみ、ジョリー」



と私はかすれた声でつぶやいた。(Fin)


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Posted on 2009/08/05 Wed. 03:24 [edit]

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