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『鬼畜の戯言』菊池乱☆出版社の倒産により現在電子書籍配信ストップ中

秘密クラブからレンタルされる豊胸女装美少年レンタルドールシリーズ(SF/SM/BL/ML/JUNE/GID/女装/TS/etcな小説)言論と表現の自由を守ろう!不当なネット規制反対!不適切な規制は解除すべきです!!

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2015年12月24日

こねこ時計 ver.3

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家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)~プロローグ~ 

 5年前、愛は地元である北海道にいた。
 車の中で、
「愛さん、飛びましょう!」
と担当の蒼に言われた時、
「何言ってるの?」
と何も知らずにいた愛は鼻で笑った。
 冗談だと思ったのだ。
 当時、愛はすすきののクラブのNo.1ホステスで、売り上げはダントツだった。
 送りの車で二人きりになった時に、愛の担当だった蒼がそんなことをいきなり言い出しても、愛には冗談としか思えなかった。
 ところが、
「愛さんを一番ご贔屓にして下さっている田沼様の会社はもうダメなんです。田沼様は今日飛びました。うちの店の売掛金も払わずに」
と車の運転をしながら蒼は真顔でそう言った。
「え!?そんなこと蒼ちゃんどこから聞いたのよ?」
 さすがに愛も自分の売上の半分ほども売掛で飲みに通って来ていた太い客であった田沼の名前が出て焦った。
 田沼に飛ばれたりしたら田沼の売掛分は本指名の愛の借金となるのだから、のんきにかまえてなどいられない。
 蒼はしばらく困った顔をしていたが、消え入りそうな小さな声で、
「田沼様から直接聞いた話なので確かです。ベッドでの話なので間違いありません」
と答えた。
「え?どういうこと?ベッドでの話って……」
 愛の反応に肩をすくめて、
「僕、田沼様の愛人やってたんです」
と蒼は言った。
「うそ!だって前に田沼様にあたし口説かれたのよ!!」
「そうですね。でも、愛さんに断られたから、田沼様は愛さんの担当の僕に声をかけてきたんです。あの人バイだったから僕のことも狙ってたらしいんです。なんか見られていてやな感じはしていたから、やっぱり…とか思いましたけどね」
と言った蒼は乾いた声をたてて笑った。
「そんな…」
 愛は後部座席から茫然と力なく笑う蒼の顔をミラー越しに見ていた。
 整ったきれいな顔立ちはしていても、蒼は男なのに……。
「田沼様に言われたんです。『愛に振られたから指名替えでもするか…それとも、今度からはよその店に行くか』って。引き止めました。そしたら、『きみが愛の代わりに私の相手をすると言うのなら、今まで通り愛指名でこの店に通ってやってもかまわないが、どうする?』と言われて『わかりました』と答えてしまいました。桁違いな売上金額が頭の中でちらついて、何をされるのかなんて考える間もなく気がついたらそう答えてました」
と言う蒼の台詞に、
「あたしの身代り?うそでしょ?そんなこと…」
と愛は狼狽しまくっていた。
「気にしないで下さい。田沼様、やさしかったし、お手当もいただいてましたから」
と蒼が淡々とした口調でそう言うのがなぜか愛は悲しかった。
 50代の腹の出たハゲオヤジで、ベッドのお相手は絶対したくないと愛が思ったような男に男の蒼は抱かれていたのに恨みごと一つ言わないのだ。
 最初は愛の身代りにと半ば脅されるようにして田沼と関係することを承諾させられたというのに……。
「愛さんのマンションに着いたら貴重品とすぐに必要な物だけ鞄に詰めて戻って来て下さい。残りの荷物はあきらめて下さい。明日には田沼様が飛んだという情報は店にも入るでしょうから、今日はどこかホテルに泊って朝になったら一緒に飛びましょう」
と蒼に言われるままに愛は支度した。
 どうして「一緒に飛びましょう」なんて蒼が言うのかわからないまま、パニック状態の愛は自分の部屋に入ると必死で金目の物を旅行鞄の中に詰め込んでいた。(続く)

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Posted on 2009/09/05 Sat. 23:29 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)1 

 あれから5年の月日が経過していた。
 昼頃、公園内に設置しているテントの中で目を覚ました愛は、公園のトイレへ向かい用をたすと、洗面所で顔を洗い化粧をした。
 仕事柄化粧ははげやすいので、出勤の時の化粧は薄い。
 ファンデーションと口紅だけでも、元が清純そうな美人顔なもんだから、男ウケはいい。
 はっきり言って愛はモテる。
 出勤途中にコンビニで朝昼兼用の弁当を買って外に出れば、ほんの数歩で、
「すみませ~ん」
と男に声をかけられる。
 お茶や食事に誘われても、
「これから仕事だから、私と遊びたかったらお店に来てね」
とニッコリ笑顔を浮かべて、愛は店の名刺を男に手渡す。
 男は、吉原と呼ばれるソープ街の住所と某風俗グループの社名が印刷されている白い角に丸みのある名刺を見て目をぱちくりさせていた。
 名前は手書きで『愛』と書かれているだけで、わかる人にはソープ嬢の名刺であることはわかる。
 驚いている男をその場に置き去りにして、さっさと歩いて行き、愛はタクシーを拾った。
 吉原内を歩けば他店のスカウトがうるさいからだ。
 タクシーで店の前まで乗りつける。
「お釣りは取っておいて下さい。それと…お店探してるお客さんいたら、よろしくお願いしますね」
と愛はタクシーの運転手に名刺を数枚渡した。
 愛は店の外でも常に名刺を持ち歩きこんな感じで営業している。 
 この不景気なご時世には、これくらいの努力をしないと客を引っ張れないからだ。
 だまって店で待ってるだけじゃ稼げない。
 風俗嬢やってる意味がない程度の稼ぎじゃバカバカしいと思うなら自己努力が必要だ。
 ブログや風俗サイトにホームページを持っている娘もいるし、愛も営業用サイトは持っている。
「おはようございま~す!今日は予約入ってますかぁ?」
 午後2時前に店に出勤した愛はフロントに座っているボーイに予約状況を確認してみた。
「愛さんは…3時にダブルで杉山様のご指名ご予約入ってますよ」
という答えにちょっとだけほっとした。
「じゃあ、お風呂入って食事して待ってるから、ご指名の前にフリーつけないで」
「はい。部屋セットしたらご指名のお客様がいらっしゃるまでのんびりしてて下さい」
「営業メールとサイトの更新しなきゃならないから、のんびりしてもいられないよ~。指名落ちたら部屋持ちも無しになるしさぁ」
「そうですね、がんばって下さい」
「は~い」
と答えると愛は更衣室兼控室へと向かった。(続く)

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Posted on 2009/09/05 Sat. 23:36 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)2 

 コンコンとドアをノックしてから、
「おはようございま~す」
と控え室兼更衣室へと入って行った愛に、
「おはよう!」
「愛さん、おはようございます!」
とこたつに入っていた待機中の女の子たちが口々にあいさつをする。
 先輩か後輩かによってあいさつがちょっとだけ違っている。
 今日着る仕事用のコスチュームを自分のロッカーの中から取り出して着替え、仕事道具の入ったスーパーの買い物かごのようなでかいかごを持つと愛はさっさと控え室から出て行った。
 今日も昼はひまなようで早番の女の子たちはほとんどこたつに入って、テレビを見ながらどうでもいいような話やら、客の愚痴やらその場にいない他の女の子の悪口などを言い合っていた。
 風俗店の控室にはなぜか夏でもこたつが置かれている。
 年がら年中こたつがある。
 薄着の嬢が風邪をひかないようにという配慮なのだろうか?
 今日の愛のコスチュームは、本物より薄手の生地で下着が透けて見えるような白衣だった。
 ナースキャップもピンで頭に固定している。
 ソープではこういったコスチュームは自前で買いそろえる。
 お金を使いたくない子は洗い替え程度にしか仕事用の衣装を持っていない。
 が、愛の場合はプレイによっては一日に数度着替えることもあるため、イメクラ並みのラインナップの自前のコスチュームがロッカーの中にぎゅうぎゅうに詰まっている。
「今頃、あたしの噂だか悪口で盛り上がってるんだろうなぁ」
 小さくため息つきつつ愛は階段を上った。
 短期間で店のナンバーワンになった愛のことを、あれこれ陰で噂やら悪口やら言っている娘たちがいるのは、客から聞いたりして知っている。
 控え室だけでは止まらず、客にまで愛の噂話や悪口を吹きこむ娘もいるのである。
 愛がその客につけばバレバレなのにくだらないことをする人もいたりする。
「控え室で人の悪口言ってるひまがあるのなら、営業メールや営業電話でもしてればいいのに」
 愛はさっさと自分の持ち部屋のセットを終わらせると、コンビニ弁当を食べたら歯磨きをして化粧直しをし、携帯の充電をしながら営業メールを始めた。
 自分のサイトに、
『出勤しました!今日のコスチュームはなんでしょう?気になる人はお店へGo!』
と書き込んでミニスカ白衣の裾あたりから太ももら辺を写メで画像添付して餌は捲いておいたし、サイトのメールボックスに着ていた質問メールの回答もした。
『自分は体重が130キロもあるのですが、ソープに行っても大丈夫でしょうか?愛さん指名しても迷惑じゃないでしょうか?』
というメールに愛は、
『大丈夫ですよ!全然迷惑なんかじゃないですよ!お相撲さんだってソープに来ますから』
と回答した。
『予約して行きますので、よろしくお願いします』
とメールが着て愛はニヤリと笑った。
 サイト営業の方の新規指名を一人ゲット出来たからである。(続く)

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Posted on 2009/09/06 Sun. 02:24 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)3 

 仕事が終わった時、体は疲れているはずなのに、なぜか愛は元気だった。
 これから、愛のお楽しみの時間が始まるからだ。
 今日もほとんどご指名ご予約で次々客についたから、出勤してきた時に食べた弁当が最初で最後の食事でひどく空腹だった。
 愛が今在籍している店は格安店であった。
 低料金短時間サービスで回しているから、朝からラストまでの通し出勤すれば売れっ子は一日10人以上接客することも珍しくはない。
 ただし、愛のようにご指名ご予約で回っている売れっ子の場合は、馴染みの客はダブルやトリプルといった形で、一回の来店で二回、三回分の時間を予約しておきゆっくりしていくので、稼ぎは良くても接客している人数は他の女の子よりも少ないくらいだったりする。
 たまに貸切という形で一日店外デートに出かけることもある。
 これは店によって異なるが、愛が在籍している店は6時間分以上の料金を客が支払えばその時間分外出可能になる。
 だから、
「外で会おう」
と客に誘われても、
「わぁ!貸切して下さるんですかぁ?うれしい!」
と店外の誘いは愛はかわしてしまう。
 金にならないなら外で客となんか会いたくないというのが風俗嬢の本音である。
 同伴やアフターが嫌だから、水商売ではなくて風俗やっているという女の子もいるくらいなのだから、営業スマイル浮かべて見せたところで金にはシビアだったりするのである。
 営業時間内にお金になる接客しかしたくないという女の子は多い。
 商品は自分の体と時間なのだ。
 仕事以外で股広げて何の得がある?
 金にならないのに好きでもない男に付き合ってやるなんて時間の無駄でしかない。
「仕事終わったら電話して」
と言った明らかに店外目的の客には電話することなく、愛はシャワーを浴びてよく体を洗い、出勤前よりもバッチリ化粧を済ましてから、控え室兼更衣室へと降りて行った。
 この店は回し部屋制で個室の固定割り当てである「持ち部屋」は指名トップ3のみに与えられる。
 指名トップ3から落ちれば回し部屋を転々としなければならない。
 自分が客に付く時になると控え室から自分の荷物を持って、他の女の子がさっきまで使っていた部屋に自分の私物である商売道具各種をセットしなければならないのである。
 終われば片づけて次に部屋を使う女の子に部屋を明け渡して控え室に戻らなければならない。
 そんなこといちいちやっていたら慌ただしいし、ロスタイムも大きくもったいない。
 それに、愛には持ち部屋を死守しなければならないわけがあった。
 今現在公園内を転々と場所を移しながらもテント暮らししている愛は、仕事前にただで風呂に入るために必死で持ち部屋死守しているのである。
 ナンバーワンの愛が早めに出勤して、持ち部屋で風呂に入り支度することは容認されていた。
 テント暮らししていることは内緒だけれども、銭湯行く金ももったいないというのが愛の本音だった。
 風呂に入り放題な仕事していて、わざわざ自分の体を洗うために銭湯へ行くなんて馬鹿げている。
 愛は、ある目的のために無駄を省きまくった結果、公園でのテント暮らしまで行きついたのだ。
「おつかれさまです。今日も一日ありがとうございました。明日もよろしくお願い致します」
と礼儀正しく店長におつかれさまのあいさつをした愛は店の前で待っているタクシーに乗り込んで行先を告げた.。(続く)

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Posted on 2009/09/07 Mon. 04:48 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)4 

「クラブCyberへ」
 愛がタクシーの運転手に告げたのは、愛の行きつけのホストクラブの店名だった。
 店に着くと店内で愛を出迎えたオーナーは、
「愛ちゃん、おつかれさま~。いい子入ったんだけど、どう?今日入りたてのほやほやなんだけど?」
と言った。
「どうせ、あんた忙しいんでしょ?いいよ、新人のヘルプ君よこしな。あたしが教育してあげるから」
「いつもすみませんね~、愛先生、お願いしますよ~」
 愛が仕方がないな~というニュアンスでそう言うのをおどけた口調でオーナーは返す。
 自分の店を持ってオーナーになってもまだ現役ホストやってる男なんて食えないもんである。
 そんなやりとりの後に新人ホスト君が愛の席にやって来た。
「いらっしゃいませ。はじめまして、マコトです」
 そうあいさつしたハタチ前後くらいの若い男に、
「お座り」
と愛は言った。
「は、はい、失礼します」
 やけに緊張しているマコトは、座ると何をしたらいいものかとテーブルの上を見回した。
 愛はさりげにマコトのことを観察していた。
 イマドキの若い子みたいに中途半端なヒゲは生やしてないし、昔懐かしのテクノカットの黒髪には天使の輪。
 前髪サラサラなのは愛のツボにはまってる。
 清潔感良し.。
 おそらく日サロで焼いたのではなく自然と日焼けしたであろう健康的な顔色は好感がもてる。
 こういう店にはいないメガネかけてなくても真面目そうに見えるタイプはある意味貴重種だ。 
 既に開けられた白ワインを冷やしているアイスぺールの中からワインボトルを抜いて、ほとんど空になっている愛のグラスに注ごうとしたマコトに、
「そこに添えられている白い布でボトルの水滴を拭かないとダメよ。寄こしなさい」
と言ってワインボトルを取り上げると布でボトルについた水滴を拭ってから、
「きみのグラスを持って来なさい」
と愛は言った。
「はい!」
とマコトはグラスを取りに席を立った。
「OK?」
 愛の隣でその様子を黙って見守っていたオーナーがそう訊ねると、
「ま、いいんじゃない?」
と愛は答えた。
 気にいらないヘルプは席につかせたくないから帰るとごねることもある愛がそう答える時は、気に入ったということだったりする。
「じゃ、またあとで。ちょっくら出稼ぎ行かせていただきま~す」
と本来本指名のはずのオーナーが席を立つと、
「よその席でがっつり稼いでおいで~。あたしは安ワインでゆったりのんびり飲んでるからさ」
と愛は笑って手を振り見送った。 (続く)

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Posted on 2009/09/08 Tue. 01:48 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)5 

 ワイングラスを持って戻って来たマコトにワインを注いでやりながら、
「水商売初めてでしょ?」
と愛は訊ねた。
「はい」
と答えたマコトに、
「注いでちょうだい」
と愛は言った。
「ワインはね、注いでもらう時にグラス持つもんじゃないの。でも、こういうお店だとね、お客様が注いで下さる時にはコースターにそっと片手添えて置いた方がいい。これが好意を受ける姿勢ってやつ。ホストは客に接待されちゃダメなのよ。勘違いしてるやつ最近多いけどね」
 マコトが愛のグラスにワインを注いでいる間、愛は右手の先をコースターに添えていた。
「覚えておいてね。あたしはあたしが教えたことをちゃんと出来ないホストはヘルプでもいらないって言うから」
と言う愛の顔を困った顔して見ているマコトに、
「とりあえず、乾杯!」
と愛はワイングラスを掲げて乾杯を促した。
「お酒は強いの?」
と愛が訊ねると、
「いえ…あまり」
とマコトは答えた。
「こういう店は飲めないと勤まらないよ。ヘルプなんてボトル空にするための兵隊みたいなもんだからね。トイレで吐いてきてもっと飲めって先輩に言われるわよ」
「そうなんですか…」
「なんでホストやろうなんて思ったの?」
「金が必要なんで」
「そっか、じゃあ、短期間でのし上がんないとね。新人ホストの月給なんてサラリーマンより安いってきみ知ってる?」
「いいえ」
「二日酔いや風邪で欠勤すれば罰金取られるし、用事があったり具合が悪かったりで遅刻や早退したってやっぱり罰金取られる。グラスやボトル割ったりすれば弁償。給料日に給料袋の中に現金じゃなくて請求書が入ってるなんてこともある。こわ~い仕事なんだよ?」
「そうなんですか?」
「成功するより挫折してくやつの方が多いよ。売れない下っ端ホストやってるよりは、出稼ぎ行くか鳶とか日雇い仕事してる方がまだ稼げるし」
「それじゃ足りないから……」
とボソリとマコトがそうつぶやいたのに愛は反応した。
 そして、
「ちょっと手を見せて」
と言って手を握って裏返させてマコトの手のひらを見た。
 顔に似合わず意外とごつい手をしている。
 よく見ると肉厚な手指にはタコやマメが出来ているし握ってみた手のひらは固かった。
 これは、つい最近まで肉体労働してきた人間の手だ。
「マコト君、月いくら稼ぎたいの?」
「出来るだけたくさん…最低でも月50万は稼ぎたいです」
 愛の質問にマコトはそうはっきりと答えた。
 それを聞いて愛はおもしろいと思った。
 最低でも月50万稼ぎたいということは、最低でもそれだけの金が必要なわけで、ハタチやそこらの若造が切羽詰まってそれだけの金を必要としているということは間違いなくわけありだ。
 借金か?それとも家族に入院や介護の必要な病人や老人でもいるのか?
 そこらへんの事情までは本人が言いださなければ訊く気はないが、愛はマコトに興味を持ち始めていた。
「すぐには難しいね。無遅刻無欠勤、ペナルティー無しで月15万から20万くらいだったかな?ここの最初のお給料は。それはオーナーから聞いてるでしょ?」
「はい」
「この仕事は本指名のお客呼んでニューボトル入れさせてなんぼのもん。お金が欲しいならカタギの仕事以上に稼げるとこまでのし上がれなきゃホストやる意味無いわよね?」
「はい」
「稼げるホストにしてあげようか?」
「え?」
「弟子にして確実に稼げる仕事のやり方を教えてあげる。あたしの言う通りに出来るならね。最初はちょっとだけ手伝ってもあげる」
「どうしてそんなこと言うんですか?」
 マコトは不思議そうな顔をして愛に訊ねた。
「あたしの正体はシンデレラの魔法使いのおばあさんだからよ」
と愛は愉快そうにそう言って笑った。(続く)

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Posted on 2009/09/09 Wed. 00:43 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)6 

 愛は毎晩クラブCyberへ通うようになった。
 新しい弟子の教育のためである。
「愛ちゃんってホスト狂いなんだって?この前付いた女の子が言ってたよ」
と客に言われても、
「たまに息抜きに知り合いの店に飲みに行きますけど、それってホスト狂いになりますかぁ?」
「いや、そんなことないと思うけど……」
「ですよね~?誰ですか?そんなこと言ってたのは?」
「早紀ちゃん」
という具合に噂を広めている張本人の名前を客から聞き出してしまう。
 愛は客に「嫌われたくない女」と思わせるのが得意な女だから、邪魔者の名前を聞き出すのはたやすかった。
 こういうことは、男に惚れられる女を演じられる女の勝ちなのである。
 風俗嬢であっても、尊敬に値する女や惚れ込んでいる女には、嫌われたくないものだから、客も味方したり嫌われないように気を遣ったりするようになる。
 店のナンバーワンになるような女とは、客をそう仕向けさせられる女。
 噂の出所を知った愛は、早紀に罠を仕掛けることにした。
 愛は観音様でも仏様でもないから、営業妨害されたら報復はすることにしていた。
 仕事が終わってから、いつもより早く控え室へと向かった愛は、
「これから飲みに行かない?」
と親しくしている店の同期や後輩数人に声をかけ、
「早紀ちゃんもたまには一緒に行こうよ~」
と最後に本命ターゲットである早紀に人懐こい笑顔を浮かべて誘いをかけた。
 早紀は客ルートで、自分が客に「愛ちゃんはホスト狂いなんですよ~」と言いふらしていたのが愛にばれているとは知らないから、特に予定もないので、
「ん~、行こうかな?」
と答えた。
 愛は心の中でニヤリと笑った。
 早紀は愛が仕掛けた罠に足を踏み入れてしまったことには気づいていない。
 急に飲みに行くことが決まって、控え室の座布団の上に座って念入りに化粧直しをし始めた早紀はかなりの見栄っ張りである。
 持ち物は嫌味なほどにブランド物でそろえている。
 愛の半分も稼げているかどうかあやしいくらいの稼ぎしかないのに新作ブランドバッグは次々買っている。
 早紀は愛と同期であるが、売れっ子の愛と違って指名本数も後輩に抜かれてひねてきていた。
 他の女の子の足を引っ張るために、悪口や噂話を客に吹き込むようになってきたあたりで心の腐れ具合がわかる。
 ルックスは悪くはないのに、話が理屈っぽいところが客に敬遠されがちだった。
 本人は心理カウンセラーの資格を持っているというのだが、わけしり顔するわりにはまったく相手の身になって気持ちをおもいやるということが出来ていなかったりする。
 私はわかってるのよと言わんばかりの妙に偉そうで小生意気な態度は、客からも女の子からも煙たがられていた。
 風俗店で客を理詰めでやり込めるのがそんなにおもしろいのだろうか?
 金払って遊びに来ているお客様を不快な気分にして帰して指名が取れないのは早紀の自業自得であった。
 月間本指名数が最低ノルマ本数もクリア出来なくなったらクビにしようという話もそろそろ店側では出てきていた。
 ルックスに助けられて写真指名は取れているが、リターンが取れない早紀は本指名は増えるどころか減ってきているからだ。
 それでも、あやういところで首がつながっているのは、出勤率の良さと、店長や店のスタッフに対する愛想の良さのおかげなのだろう。(続く)

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Posted on 2009/09/09 Wed. 23:54 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)7 

 結局、飲みに行くメンバーは、愛も含めて合計6人になった。
 他の女の子も誘ったのは、早紀が警戒して愛の誘いを断らないようにするためだった。
 同期とはいえ特別親しい仲とは言えない早紀だけ誘えば、何か二人きりでしたい話しがあるのではないかと勘繰られる可能性が高かった。
 なんせ早紀には愛に対して後ろめたいことはあれこれあるのである。
 同期でナンバーワンの愛のことを妬んで、あることないこと客に吹き込んでいる。
 店をみんなで出たら、タクシー2台に別れてクラブCyberへと向かった。
 タクシーでは愛は早紀とは別れて乗った。
「愛さん、なんで早紀さんなんか誘ったんですかぁ?」
とあきらかに不服そうな声で後輩の留美は言った。
「こらこら、人のことを『なんか』なんて言っちゃダメだよ~。早紀ちゃんはあたしの同期の仲間なんだから、仲良くしてあげてね」
「あ、はい、すみません」
 愛に諌められてあわてて留美は謝った。
 留美は素人新人で店に入って来た娘だった。
 その頃、まだ部屋持ちまではなっていなかった愛は、何も知らない留美にあれこれ仕事や業界のことについて教えてやり、たまに飲みに連れて行きストレス発散させてやったりもしていた。
 そのため、留美は愛のことを姉のように慕っている。
 愛が誘う飲み会では、愚痴は言っても、嫌なお客をいいお客に変えるコツ、いかにしてアクシデントをチャンスに変えるか?といったポジティブに仕事をがんばっていくための勉強会と普通に楽しい会話が主体で活気があった。
 最後は、「また明日もがんばりましょう!」と明るい気持ちになって帰れるのが特徴だった。
 そのため、愛が誘う飲み会には参加したがる娘が多いが、愛は滅多に誘わないし、大人数になるのも好まない。
 久しぶりに誘われて女の子たちは喜んでいるが、今夜は愛の報復のついでなのである。
 とは言っても、実行要員とは既に連絡を取り指示済みなので、早紀さえ店に連れて行けば、後はいつも通りの飲み会を愛は楽しめばいいだけだった。
 クラブCyberに着くと愛の本指名のオーナーは、愛の指示通りのホストを愛たちの席へと送り込んだ。
 その中にはマコトの姿もあった。
 さりげなく早紀にマコトをつけた後、いつも通り飲み始めたが、愛は早紀の様子を気にしていた。
 愛が刺客に仕立てたのは、弟子のマコトだ。
 ただし、愛は枝を連れて行くから、次回の本指名に繋げるためがんばるようにとしかマコトには伝えていない。
 枝とは他に本指名のホストがいるお客様が連れてきた新規のお客様のことをいう。
 そういう席に着いたヘルプのホストにとっては、自分の指名客を作るチャンスなので当然がんばる。
 愛の仕掛けた罠は、早紀がマコトにはまるかどうかが問題だった。
 早紀は機嫌良く飲んでいるし、声のトーンも普段より高めではしゃいでいる感じであった。
 ひっかかったと愛は確信した。
 後は放って置いても思惑通りにことは進むだろう。
「愛さ~ん、聞いて下さいよ~」
 留美にそう声をかけられ、
「ん、どうしたのかな?」
と愛は留美の方を向いた。
「今日のラストのお客さん全然しゃべってくれなくて、まいっちゃってプレイで攻めまくったんですけど、60分で三回もイッたのにしゃべってくれなかったんですぅ~。どうしたらしゃべってもらえるんでしょうか?」
 留美が言うようなこういった仕事で困ったことを愛はよく訊かれる。
 それは愛自身経験してきたことだから、
「そういう無口なお客さんは、とにかく笑顔でアイコンタクトね。口下手だったり、訛りが出るのを気にしてしゃべりたがらない人もいるから、無理にしゃべらさなくてもいいよ。『気持ちいい?』『触って』『これ好き?』とか言う時は必ず笑顔ね。目は合わせて一緒に笑ってくれてるか確認して。女の子の話聞いてるのが楽しいって人もいるから楽しい話をするといい。ボケて笑わすのもあり。とりあえず、笑顔でアイコンタクト取れてればいいよ。指名でまた来てくれたらだんだんしゃべってくれるようになるから、はじめましてで無理にしゃべらすことはないよ。根掘り葉掘りを嫌がる人もいるからね」
と愛が答えると、
「あ、そうですよね!無理にしゃべってもらっても、お客さんに嫌な思いさせたらダメですもんね?」
と留美は納得した。留美は元々勘のいい娘であるから愛の言ってることの本質を理解するのが早い。
「そういうこと。うちらの仕事は、ボディコミュニケーションだから、言葉は少なくても笑顔とサービス内容でお客さんが満足してくれたらいいんじゃない?無理して会話しなくちゃってがんばられると居心地悪くなるって人もいるからケースバイケースね」
「さすが愛さん!」
「勉強になります!」
「ありがとうございます!!」
と留美や他の女の子たちが口々に言っていた時、早紀はすっかりマコトと二人の世界に入っていた。
 どうやらメアドと携帯番号の交換をしている模様。
 愛はふっと不敵な笑みを一瞬浮かべた。 (続く)

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Posted on 2009/09/10 Thu. 04:49 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)8 

 愛の思惑通り早紀はマコトにはまった。
 早紀がクラブCyberに来ていない時を狙って飲みに行っては、
「しばらくはわざと安物の時計していなさい。いれあげてきた女は必ずそういうところに目が行くし、きっとマコト君に時計をプレゼントしたがるから。そしたら、最初はそれほど高すぎないブランドの時計を欲しがりなさい。そうして何人かそういうお客から同じ時計を買ってもらいなさい」
といった具合に愛はヘルプで席につかせた弟子のマコトの教育をした。
「なんで同じ時計なんですか?」
と不思議そうな顔して訊ねてきたマコトに、
「同じ時計を複数もらったら、一つだけ残して質屋に売り飛ばせばすぐにお金になるからよ。身に付けてる時計はプレゼントしてくれたお客全員に自分がプレゼントした時計だと思わせておけばいいの。最初のうちはいきなり稼げはしないから、プレゼントを現金換金して足りない分を補いなさい」
と愛は言った。
「そんな詐欺みたいなこと!」
とマコトは憤慨したが、
「お客から物という形でもらったら目に見える物は一つあればいいの。あとはお金に換えてマコト君が必要としているところに使っていいのよ。お客はマコト君のために何かしてあげたくて、物をプレゼントしたりボトル入れたりするわけなんだから、詐欺みたいなことなんて思うことないの。必要な物に形を変えるだけなんだから。だから、気持ちをありがたく受け取りなさい。心から感謝しなさい。それが一番大事なことなんだから」
と愛に言われて、
「はい、わかりました」
と今度ははっきりとマコトは答えた。
 愛は穏やかな微笑みを浮かべると、
「そのうち、もっといい時計をプレゼントしたがるお客も出てくるだろうけど、現物持って来られた場合以外は、『いい時計よりもあなたの時間を下さい。あなたともっと一緒に飲みたいんです』とでも言ってそのお客が飲んでるのよりもちょっと高いボトルを入れさせなさい。店でのし上がってくには、本指名数と売り上げが大事。プレゼントを質に入れて小銭稼ぐより売上上げて上にのし上がることを考えなさい」
とマコトに続けて次の戦略を教えた。
 そうしていろんな客のあしらい方も愛はマコトに教え込んだのだが、よその店で悪い癖がついたりしていないド素人であることと元々素直な性格と記憶力の良さを持っていたことが功を成し、マコトは愛のすすきのNo.1ホステスに登りつめるまでに身につけた水商売の極意をあっという間に吸収していった。
 一方、マコトにはまった早紀は短期間で堕ちていった。
 ソープ嬢になった時点でもう堕ちるとこまで堕ちたと思う人は多い。
 けれども、実際にはまだ堕ちる先はある。
 ここ最近、早紀は店に同じバッグばかり持って来るようになっていた。
 今までは、毎日のように違うブランドバッグを見せびらかすようにして持って来ていた早紀がである。
 実は、早紀は自分の持っているブランド物を質に入れてマコトへのプレゼントや飲みに行く金を工面するようになっていたのである。
 それでも足りなくなって消費者金融からキャッシングするようにもなっていた。
 そして、ついに、
「早紀ちゃん、最近当欠多いし、本指名も今月は最低ノルマ危ういよね?来月もこんな状態続くようなら辞めてもらうからね」
と店長から最後通告まで受けた。
 早紀は毎晩のようにホストクラブ通いするようになったため、二日酔いで当日欠勤したりするようになっていたし、出勤日数が減った分本指名も他の娘に持って行かれてしまって指名本数が激減していた。
 早紀にはもう後が無かった。
 関東近辺の店を転々としてきた早紀が入れる店はあまりない。
 ルックスは悪くないし見た目年齢も若いため、吉原年齢23歳のプロフィールで売ってきたのだが、実年齢は40近いものだから、年齢的に今の店をクビになったら都落ちせざるを得なかった。
 地方のおばはんでも雇ってくれるソープランドへ行くとなると料金も手取りも今より下がる上に、マコトに会いにクラブCyberへ通うことも出来なくなる。
 追い詰められた早紀はとうとう禁じ手を使い始めてしまった。(続く)

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Posted on 2009/09/11 Fri. 01:35 [edit]

(R18)家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)9 

今回はR指定ですので、おこちゃまの目にいきなり飛び込んでしまうとまずいので小説本文は後記にアップしておきます。

(注)おこちゃまはよんじゃダメですよ!


-- 続きを読む --

Posted on 2009/09/12 Sat. 01:37 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)10 

「早紀ちゃん、今日から出勤停止ね。理由はわかるよね?」
と店の事務所で店長に言われ、早紀はがっくりとうなだれた。
 定期検査の検査表を提出した直後の出来事だった。
「はい」
と答えたものの金の心配ばかりしていた早紀は、
「淋病の治療して、完治したら診断書持って来て。それまで出勤不可だからね」
という店長の台詞は上の空で聞いていた。
 指名欲しさに誰とでもナマ本番やってしまった早紀は、客から性病を移されたのが発覚して出勤停止宣告されてしまったのだ。
 店長は早紀がNS営業やってることには気付いていたが、指名呼んで稼いでくれるなら営業スタイルに文句を言う気はなかった。
 店の売上を上げてくれるなら、個人自営業者であるソープ嬢がどんなサービスしようが店には関係ない。
 ソープランドは表向きは個室サウナや個室浴場の部屋を貸すだけという店なのだ。
 名目上は入浴補助で客の体を洗うサービスをすることになっているコンパニオンであるソープ嬢は、店に金を払って個室を借りて仕事する。
 自営業者であるソープ嬢が店から個室を借りて個人営業しているということになる。
 特殊浴場という認可で営業しているソープランドは、そういう営業の仕方で管理売春摘発から逃れている。
 ソープランドのやっていることは、実質は管理売春だし、ソープ嬢がやっていることは売春行為なのだが、暗黙の了解でもって見逃されている。
 公娼制が廃止されてから、素人女性の貞操を守り、性犯罪を出来るだけ予防するためにソープという本番まで出来る風俗を国の方も暗黙の了解でもって見逃さざるを得なかったからだ。
 ソープランドやその他の風俗店が様々な形で存在しているから、防げている性犯罪があるのも事実である。
 なんせ戦時中には「従軍慰安婦」なんてものを国家の軍が要求し、お国のために元はまるで素人の乙女たちを平気で軍人相手の拒否権ゼロな売春婦にしてしまったという歴史を持つ日本である。
 ついでに言うと、敗戦直後には日本女性の性の堤防だかなんだか知らんが、今度は特殊慰安施設協会(RAA)なんて進駐軍用の慰安婦を働かせる売春施設まで用意して、進駐軍による民間人の強姦を防ごうとしたりもした。
 敗戦前は日本側が散々「鬼畜米兵」などとケダモノのような言い様をしていたアメリカ兵たちに、たとえGHQから日本女性の売春宿の提供要求があったにしても、敗戦のわずか三日後には騙すようにしてかき集めた素人女性を慰安婦という売春婦に仕立て上げてしまったのだから、その準備の手際の良さは従軍慰安婦の時に要領を得ていたからであるとしか思えない。
 男の性欲処理の必要性というものを日本という国はよ~く知っているのだろう。
 さて、話がそれたが淋病が治るまでの間出勤停止になってしまった早紀の話に戻る。
「お金、どうしよう?」
 それしか早紀は考えられなかった。
 お金がなければクラブCyberへマコトに会いに行けない。
 もうめぼしい持ち物は質に入れてしまっているし、キャッシングも限度額いっぱいまでしてしまっている。
 支払いや借金の返済期限に間に合わせるには、淋病治る前になんらかの方法で稼いで来なければならない。
 えり好みしている余裕なんかないくせして、
「水商売はアフターや同伴がめんどうだから……」
と早紀はあっさり却下した。
 若い頃にバブルの恩恵でもっていい思いしてしまっていた早紀のバブル崩壊後の人生は下り坂どころか急転落下だった。
 新卒で就職して適当にOLしていた会社が潰れた時には、買い物やエステのローン契約以外に、クレジットカードのキャッシングの方もいっぱいいっぱいな状態になっていた。
 あわててクラブでバイトし始めたが、同伴やアフターで客に連れ回されるのにうんざりして、早紀はすぐに嫌になり水商売を辞めた。
 そして、早く借金返してさっさと足を洗うつもりでソープ嬢になった。
 出勤時間中だけ接客すればいいというところが気に入ったのである。
 アフターで客にホテルに連れ込まれたりするのに嫌気がさしていたから、やけくそで早紀は風俗の中でもそのものずばりなソープという仕事を選んだ。
 しかし、借金返した後も足を洗うことなく、店を転々としながらソープ嬢続けたのは、早紀の浪費癖が悪化していたからなのだが……。
 早紀は出勤停止を申し渡され、自宅に帰ったものの、着替えもせずに駅前でもらった広告入りティッシュを凝視していた。
 しばらく悩んでいたが、結局そこに書かれている電話番号を携帯に打ち込んで、早紀は通話ボタンを押してしまった。 (続く)

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Posted on 2009/09/13 Sun. 03:11 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)11 

「昨日も早紀ちゃん来たの?」
「はい」
 愛の質問に対するマコトの答えに愛は眉をひそめた。
 クラブCyberでは、あいかわらずオーナー本指名で、弟子のマコトはヘルプか場内指名扱いでしか愛は席につけない。
 が、淋病感染で出勤停止くらって仕事を休んでいる早紀を気にして、マコトに時々早紀が店に来ているか訊ねてみたりしていた。
「二、三日に一回ペースくらいでいらっしゃってますよ。売掛けはダメだとオーナーに言われてますから、お支払は現金かクレジットカードでお願いしていますが」
とマコトが言うと、
「そうよ、売掛けはダメ!それやったら間違いなく踏み倒されるわ。踏み倒されればその分マコト君の借金になる。現金やカードで支払できなくなったら早紀ちゃんはもう店に入れない方がいいわ」
と愛は早紀を出入り禁止にすることまで口にした。
「そんなにヤバイんですか?」
と不安そうな顔してマコトが訊ねると、
「ヤバイね。お店休んでてお金なんかないはずなのに……」
と愛は遠くを見るような眼差しでそう答えた。
 そして、
「あのさ、早紀ちゃん、様子おかしくなかった?」
と愛はマコトの目をじっとみつめてそう訊ねた。
「え?別に……」
「トイレ近かったりしない?」
「あ!そういえば、なんか頻繁にトイレに行ってましたよ」
「ヤバイな~」
「なにがヤバイんですか?」
「早紀ちゃんの尿道炎ね、治ってないし悪化してるかもしれない。尿道炎の時はほんとはお酒飲んじゃいけないしね」
「そうなんですか?」
「うん、そうなの。治るまで禁酒した方がいいの」
 早紀の淋病感染はマコトには話していないから、愛は早紀の病気を尿道炎ということにして答えておいた。
 実際に尿道に淋菌感染した場合は淋菌性の尿道炎を患い、頻尿感と排尿時の痛みを感じたりする。
 尿道炎も患っているわけだから愛がマコトに言ったことはまるっきりうそというわけではない。
 ついでにいうと尿道炎や淋病、その他の性病の治療中は禁酒は基本である。
 特に淋病の場合は、飲酒していると治療薬として飲んでいる抗生物質が効かなくなることもあるため長患いしてしまう。
 おとなしく禁酒してきちんと薬を飲んで静養していれば二、三週間で治るものだし、めちゃくちゃ痛いという噂がある良く効く注射を打ってもらえばもっと早く治る。
 淋病患ってる時になんかホスト通いなどすべきではないし、出勤停止くらってから二週間もたつというのに、早紀は不摂生しているせいで治るどころか悪化させていそうだった。
 愛はちょっと考えてから、
「早紀ちゃんから来店予告の電話かメールきたらあたしに連絡して」
とマコトに言った。
「はい」
「早紀ちゃんにはあたしが来ること言わないでね。偶然出くわしたことにして、席も強引に合席しちゃうからさ」
「愛さん、何か企んでますか?」
「まあね」
と愛はニヤリと笑って、
「早紀ちゃんの病気が早く治るようにね」
と答えたが、
『ちょっと荒療治しちゃうけどね』
という言葉は胸の内におさめておいた。(続く)

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Posted on 2009/09/15 Tue. 04:06 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)12 

 ちょっと不機嫌そうな早紀はクラブCyberで飲んでいた。
 隣には強引に相席してきた愛が座っている。
 愛はヘルプ相手にニコニコしながら会話している。
 早紀が指名しているマコトは、指名されて他の席に行っていてこの場にはいない。
 早紀のイライラした様子に怯えて、腰抜けヘルプはもっぱら愛と会話していて、楽しげな笑い声に早紀は益々いらついた。
 ハイペースでグラスの中身を空にする早紀を横目に、愛は冷静に早紀の様子を観察していた。
 さっきから頻繁にトイレ通いして、席に座っている時も落ちつかなげにもじもじしている。
 早紀の様子がおかしいのはあきらかだった。
「あっ!」
 床でガラスの割れる音が響き渡り周囲の席のホストも客も早紀の方を見た。
 酔いが回った早紀が、うっかりグラスを落としてしまったのである。
「おしぼり!」
と席についていたヘルプに新しいおしぼりを要求した愛は、とりあえずテーブルの上にある使用済みのおしぼりで服を濡らしてしまった早紀を拭いてやっていた。
「掃除道具持って来て片づけておいて。ちょっとトイレでしみ抜きして来るから」
と新しいおしぼりをヘルプが持ってきたらそれを受け取って愛は席を立った。
「早紀ちゃん、お手洗い行こう。スカートしみになっちゃうよ」
と言って愛は早紀をトイレへと連れて行った。
 愛はトイレで話をつけるつもりでいたのである。
 女子トイレでは、酔いが回って焦点が合わなくなってきている早紀のスカートの酒じみを、愛は女子トイレの洗面台前でおしぼりで叩き落としていた。
 しみは拭いてはいけない。
 拭けば更に繊維の奥に染み汚れは擦り込まれてしまい、落ちるものも落ちないしみになってしまう。
 今、愛がやっているように裏に乾いたハンカチを当てておき、表から濡れおしぼりで叩き落とすやり方の方が確実に衣服のしみは落ちる。
 トントンと手慣れた手つきで染み抜きをしながら、
「早紀ちゃん、いつ頃からお店出られそうなの?店長、そろそろ治って出て来るはずなのに連絡無いって気にしてたよ?」
と愛は口から出まかせに探りを入れてみた。
 早紀はいつもより少しゆっくりした口調で、
「薬が合わなくてぇ…違う薬で治療し始めたから、まだ出勤出来ないし……お店辞めようかとも考えてるから、ここで会ったこと店長に言わないでね」
と答えた。
 早紀は酔いが回っていなければ、店を辞めることを考えているなど愛に言ったりしなかっただろう。
「え?早紀ちゃん辞めちゃうの?辞めてお仕事どうするの?」
 愛はわざと大袈裟に驚いた振りをして言った。
「休んでる間のつなぎに行ってるバイトが、思ってたより稼げるんだよね~。な~んか、今までが馬鹿らしくなってきちゃってさぁ」
と言う早紀に、
「早紀ちゃん、なんのバイトしてるの?」
と愛は尋ねた。
「デリヘル~」
と答えた早紀はケラケラ笑い始めた。
『デリヘルも風俗だから、淋病持ちがやっちゃいけないお仕事でしょ!』
と内心怒鳴りつけたい気分になっていた愛だったが、早紀からはまだ聞き出したいことがあるものだから、興味津々な振りをして、
「え~?デリヘルってそんなに稼げるの?あたしも転職しちゃおうかな~?」
と言ってみた。
「愛ちゃんもデリヘルやるなら、お店に紹介してあげるよ」
とニッと笑って早紀が答えたのは、店に女の子をお友達紹介で入店させれば紹介料が入るからだった。
 おしぼりと自分のハンカチを両手に持ったまま、
「はい、しみは落ちたよ。いろいろその紹介の話聞きたいから、早紀ちゃんご飯食べに行かない?ここだと知り合いに聞かれたらまずいし……」
と愛は場所を移して話をする提案をした。
 だが、それは口実で、早紀の弱みをしっかりと聞き出すためであった。(続く)

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Posted on 2009/09/16 Wed. 00:11 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)13 

「愛ちゃん、ここのお店ってなんなの?」
 普通の居酒屋や飲み屋とは様子の違っている店の前で早紀はいぶかしげにそう訊ねた。
 クラブCyberを出た後、二人ともお腹は空いていなかったものだから、食事ではなく愛の知っている飲み屋に飲みに行くことにしたのである。
 しかし、その店は今まで早紀が見たことのないような店だった。
 オートロックのドア。
 防犯カメラかと思われるカメラがドア前の天井から、見降ろすように愛と早紀を映し出していた。
「愛です。お友達も連れてきたんですけどいいですか?」
と愛がインターホンに向かってそう言うとドアが開いて、黒服に案内された狭いフロアには高めの受付台があり、
「初めての方は会員証をお作り致しますので、こちらにご記入お願い致します」
と出されたカードに住所、名前、電話番号を早紀は記入した。
 そんな会員制の店などカラオケボックス以外は行ったことのない早紀はわけがわからないまま、黒服の指示に従った。
「こちらのロッカーに靴とバッグや貴重品、携帯電話をお入れ下さい」
「え?携帯も?」
 黒服に言われて早紀は驚いて訊き返したが、
「店内での携帯電話やカメラやビデオの持ち込みは禁止となっておりますので」
と言われ渋々ロッカーの中に靴と荷物全部を押し込んだ。
 鍵はスーパー銭湯のロッカーの鍵のようだった。
 愛と同じように手首に腕時計のようにロッカーの鍵を巻きつけたら、早紀は愛に連れられカウンター席へと向かって行った。
 カウンター席に座ると愛は、
「あたしは、カシスソーダ。早紀ちゃんは?」
と慣れた様子で訊いてきた。
「えー、メニューないの?」
と早紀が言うとメニューが出てきた。
 しばらくメニューをながめていた早紀は、
「ブルドッグ」
と言った。
 店の異様な雰囲気に早紀は落ち着かずにいたが、それを愛に気取られるのがしゃくなものだから、わざと平気な顔をしてみせていた。
 照明暗めの店内には気味の悪い仮面やSMグッズの類がオブジェのように飾られている。
 それぞれの飲み物がきたら、
「おつかれさま~!」
と愛は早紀に乾杯を促した。
 たわいのない話をしながらカクテル数杯飲んでいるうちに、次第に早紀の口が軽くなってきた。
「さっきの話なんだけどさぁ。愛ちゃん、デリやらない?ソープよりはラクだよ~。こっそり本番やればお小遣いもらえて指名も取れるから、今の店より手取りいいくらいだし」
「あれ?デリヘルって本番禁止のはずだよね?」
 そんなことを言う早紀に愛はわざととぼけてそう言ってみた。
「そうなんだけど…みんなやってるよ。指名取れないと稼げないからさ。ソープだったら全部やっちゃうからそれ以上稼ぎようがないけど、デリならうまいことやれば内緒で本番やってもっと稼げるんだから!」
 早紀はそう言い訳したが、愛はにっこり笑って、
「それよりもっと稼げる方法あるのにな~」
とつぶやいてみた。
「え?」
「早紀ちゃんならかなり稼げるだろうに…デリでそんなことしてるなんてもったいないなぁ」
 愛の嫌味ゼロのその台詞におもわず早紀は食いついてしまった。
「そんなに稼げる仕事ってどんな仕事?」
「興味ある?」
「…うん」
 愛の「早紀ちゃんならかなり稼げるだろうに…」という言葉に早紀は、どんな内容かもわからない仕事に興味を持ってしまった。
 金は稼げれば稼げるほどいい。
「じゃあ、試しにバイトしてみればいいよ。今日は新しいメンバーに興味津々な会員さんいっぱい来てるからね。ボックス席に移動しようか?」
「バイトって…?」
 早紀は不思議に思いながらも愛についてカーテンに仕切られた向こう側にあるボックス席へと向かった。(続く)

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Posted on 2009/09/17 Thu. 04:24 [edit]

家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)14 

 カーテンの向こう側は異世界だった。
 この店のボックス席はVIPルームになっており、VIP会員たちは皆仮面を付けていた。
 暗めの照明、低めの革張りのソファー、小さなテーブルの上には丸みのあるグラスの中で赤いアロマキャンドルの炎が揺れている。
 ほのかに香るバラの香りに混じって生臭い匂いが一瞬鼻をついた。
 後者は早紀も愛も仕事で嗅ぎ慣れている淫靡な匂いだった。
 既に今夜のパーティーは始まっていた。
 早紀は異様な雰囲気におもわず後ずさりしてしまったが、愛に肩を抱かれて押し戻された。
「愛ちゃん、こっちへおいでよ」
と愛と知り合いらしい客に声をかけられ、愛は早紀を連れて奥のステージ前に設置されている席へと向かった。
「こんばんはぁ、今日は初めてのお友達を連れてきたんですけど、ご一緒しちゃっていいですか?」
と愛が言うと、
「いいよ、新入りさん歓迎だよ!いつものメンバーばかりだとマンネリになってくるからね」
とその客は言った。
 客は男女のカップルだったが、もっぱら男の方ばかりしゃべっていた。
 連れの小柄な女性は、なんだかさっきからもじもじして顔を赤くしている。
 ボーイがカウンターから愛たちが座った席までグラスを運んで来たら、
「愛ちゃん、トイレ行ってくるから」
と早紀は愛の耳元で小声で囁くと席を立った。
「ご案内致します」
と言うボーイに案内されて早紀は一人でトイレへ向かった。
「ねぇ、たーさん、あの子が前に話してた子なんだけど、どう?」
 席に残った愛は男にそう訊ねた。
「スタイルはいいね。ただ、僕たちの遊びを受け入れられるかどうかが問題だね」
「たぶん、素質はあると思うわよ。あたしの目利きは確かなのは知ってるでしょ?美菜はもうすっかりM女になっちゃってるじゃない。店内に音楽かかっていたってそのモーター音は誤魔化せないんだから」
「ははは、ばれてたかい?店に来る前からずっと入れっぱなしにして歩かせて来たからね」
「じゃあ、もうすっかりぐちょぐちょなんじゃないの?」
「確かめてみるかい?」
「そうね。口で説明するより見せつけて引きずり込んでやった方が手っ取り早いしね」
「ただし、あの子は今病気治ってないから移らないやり方を徹底するから、たーさんも美菜も気をつけてね」
と愛が言うとたーさんと呼ばれている男と、愛のやりとりを男の隣でおとなしく聞いていた美菜と呼ばれた若い女は、
「わかったよ」
「はい、わかりました。お姉さま」
と答えた。(続く)

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Posted on 2009/09/18 Fri. 16:10 [edit]

(R18)家はテントで、仕事はソープ嬢(吉原伝説)15 

今回はR指定ですので、おこちゃまの目にいきなり飛び込んでしまうとまずいので小説本文は追記にアップしておきます。

(注)おこちゃまはよんじゃダメですよ!

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Posted on 2009/09/19 Sat. 00:08 [edit]

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