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『鬼畜の戯言』菊池乱☆出版社の倒産により現在電子書籍配信ストップ中

秘密クラブからレンタルされる豊胸女装美少年レンタルドールシリーズ(SF/SM/BL/ML/JUNE/GID/女装/TS/etcな小説)言論と表現の自由を守ろう!不当なネット規制反対!不適切な規制は解除すべきです!!

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出版社の倒産により現在電子書籍の配信が休止となっております。報告のあったダウンロードのコミッションも私はまだ出版社から一円も受け取っておりません。お金よりも作品の公開権利のほうが大事なのでとりあえず担当の方に相談してみてから電子書籍以外での公開という形での作品の公開を再開したく思っております。

2015年12月24日

こねこ時計 ver.3

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地球の名言Ⅱ


presented by 地球の名言

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変容 

はっきりいって私の住んでいる地域は田舎と呼ばれる場所です。

でも、この田舎から何人も男から女に変化することを望んで、都会に出て行った人がいることは私は知っています。

 GID(性同一性障害)の方々だったわけなのですが、田舎でそういった知識のある人も少ないためか、そういった方々は未だに「おかま」とか「ニューハーフ」とか呼ばれています。

 GIDだのMtFだのFtMだのと言っても、何のことやら皆目見当がつかないという人の方が多いかと思われます。

 セクシャルマイノリティーやトランスジェンダーに対する知識も理解度も低いところですから、周囲にばれる前に彼らは高校卒業と同時に進学か就職するかしてここから出て行きました。

 私の中高時代の同窓生は、建設会社の跡取息子でしたが、大学卒業後、初めて帰省した時には女の姿になって実家に帰ってきました。

 そのことは、またたくまに噂として伝わり、

「ねえ、知ってる?Sくん、女の子になって実家に帰ってきたんだって!」

という話は、私は中学の友人からも高校の友人からも聞きました。

 田舎であるほど噂好きなのです。

 変化のない凡庸な毎日にちょっと変わった話が入ってくれば、すぐにそれに飛びついて、人にあれこれ見たこと聞いたことを面白おかしく話すのです。

 でも、彼らがどうしてそうなったのかなんてことは知らないまま、見た目の変化やそれから連想される事柄のみ噂話としてまことしやかに伝わっていくのです。

 もしも、自分の認識している性別と身体の性別が異なっていたら、あなたならどうしますか?

 自分の認識している性別の身体になりたいと思いはしませんか?

 たとえば、あなたが朝目が覚めたら、今までと異なる性別の身体になっていたとしたらどうしますか?

 そのままの姿を受け入れて、その性別で寿命がくるまで生きていくことが出来ますか?

 元の性別の自分に戻りたいと思いはしませんか?

 GID(性同一性障害)のトランスジェンダーの人たちは、本来そうあるべき性別と自分で認識している性別に戻ろうとしているだけです。

 でも、家族の理解の得られない人もたくさんいてみなさん悩み続けています。

 あるお店の跡取息子は、都会に出てニューハーフショーのお店で働いていました。

 外国で性転換手術も受け、温泉に行っても女風呂に堂々と入れるような姿になってしまっていたので、もう後戻りなど出来ないはずでした。

 ところが、どうしても跡取息子に実家に帰ってお店を継いでもらわなければならない事情が出来たため、身内は強引に説得してどう見ても『彼女』と呼ばれるような容姿の息子に男に戻ることを強要しました。

 優しい人だったのでしょう。

 『彼』から『彼女』になったその人は、お店の跡取息子として『彼』に変容することを選びました。

 『彼』に戻ったわけではありません。

 戻れるわけなどありません。

 『彼』になるために豊胸手術で胸に入れていた食塩水パックを摘出し、胸が男の胸のように見えるようについてしまった脂肪を除去する手術を受けたそうです。

 でも、男性器はもう何も残ってはいない状態でしたから、上半身だけ見れば女っぽい男に見えるかもしれませんが、下半身を見れば女という奇妙な形になってしまいました。

 しかも、ホルモン摂取は続けていかなければ生きてはいけないのです。

 性転換者に元の身体に戻るように言うのは、

「死ね」

と言うようなものです。

 それでも、無知な身内は生まれてきた時の性別に戻ることを望むようです。

 お店を継いだ『彼』は、もう何年も経ちますが、無事にまだ生きています。

 生きていくためにホルモン摂取だけは続けているのでしょう。

 温泉に行っても男風呂にも女風呂にも入れない身体のまま、変容した『彼』は生きていくことを選んだようです。

 とても心の強い人だと思います。

 性転換者の方々は、自殺率が高く、うつや肝臓疾患や様々な病気のリスクも抱え、寿命は生まれてきた身体のまま生きた場合よりも短くなると言われています。

 欲しくて手に入れた乳房を捨てて『彼』として生きることを選んだことは、本人にとってはとても苦い選択だったことでしょう。

 でも、身内はそれで満足したのでしょうか?

 疑問です。

 『彼女』が自分に出来る最大限の譲歩をしたのに、完全に男の身体に戻ることなどとうてい不可能なのに、もしも身内がまだ不服に思っているのだとしたら、私はこう言ってやります。

「くそったれ!殺す気か?」

と。(Fin)


(注)MtF=男の体から女の体に変わることを望むGID(性同一性障害)の人のこと。
   FtM=女の体から男の体に変わることを望むGID(性同一性障害)の人のこと。
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Posted on 2007/04/28 Sat. 00:20 [edit]

さよなら、彼女 

 私、最低だ。

 彼女とつきあうべきではなかった。

 全面的に私が悪い。

 恋愛感情的には男にしかときめかないくせして、快楽求めて女ともセックスしてしまうような私が、女に惚れてしまうような彼女とつきあうなんてことはしてはいけないことだった。

 傷つけた。

 私は彼女と同じ「好き」という気持ちをあげられないくせして、平気でいつもお互い割り切って遊ぶ女の人たちと同じように抱いてしまった。

 今までは、後々めんどうなことになるのが嫌で、夫や彼氏がいるようなバイセクシャルなビアンとしかしなかったのに、真正のレズビアンの彼女に手を出してしまった。

 行きつけのその手のバーで、とてもなついてくれた女の子がいた。

 かわいくなってうっかり誘いに乗ってキスしてしまった。

 それが彼女だった。

 酔った勢いでしてしまったものの、なんだかいつも遊ぶ人たちとは様子が違っていた。

 気まぐれにデートなんぞもしてみたりしてるうちに、彼女がまるで「男はダメ」という人なんだと気がついた。

 どうやら私は彼女にマジで惚れられてしまっているらしいと気がつくのが遅かった。

 鈍感な自分に自己嫌悪した。

 そして、私は、どうやって彼女と穏便に別れようかということばかり考えるようになった。

 けれど、彼女の笑顔見るとどうしても別れ話を持ち出せなかった私は、最低なことをやらかした。

 わざと彼女が確実に目にする場所で男とデートした。

 一緒に飲みに出かけたら、彼女ほっといて他の女の人とキスして見せた。

 願わくば、彼女の方から愛想つかして欲しかったのだ。

 泣きはしなかったけど、彼女の笑顔はひきつっていた。

 そのうち、笑わなくなった。

 でも、彼女の方から「別れる」とは言わなかった。

 私は、怖くなった。

 私は女に恋したことはないけど、男になら恋したことはある。

 彼女は、男と史上最悪の別れ方した寸前の私と似たような目をしていた。

 あの時は、私の方が振られた。

 その後、どれだけ自分が荒んだ生活していたかも覚えているから、彼女のあの目を見てしまったら、もう謝りまくって私の方から別れてもらうようにしなければならないと悟った。

 とにかく謝りまくった。

 そんなこと彼女には無意味なことなのはわかっていたけど、今までの所業を謝りまくって、

「ごめんなさい。別れて下さい」

と私は言った。

「どうして、別れなきゃいけないの?」

 彼女は、不思議そうな顔してそう言った。

 すでに彼女は現実逃避入っていた。

 私は、出来れば言いたくなかったけど、最も効果があるであろう言葉を発した。

「あなたと同じ『好き』は私はあげられない。私は、女とキスもセックスもするけど、女には恋しないろくでもない女。私は、男にしか恋しないし、男しか愛せない。だから、女にしか恋しないあなたとはつきあってはいけない」

 彼女の目はこぼれんばかりに見開かれていた。

 ようやく、彼女が涙こぼしながら言った言葉は、

「恋してくれなくても、愛してくれなくてもいいからそばにいて」

だった。

「ムリ。私は割り切って後腐れなく遊べるような人じゃないとダメなんだ。うっかり手を出しちゃったことは謝るけど、あなたの気持ちが重すぎて私は逃げ出したしたくなっている。これ以上、そばにはいられない」

 ここまで言いたくはなかった。

 でも、マジ惚れされちゃっているから、きっちり振らなければならない。

「あなたが納得してくれなくても、もう私はあなたと会わない」

 そう言い捨てて私は彼女の部屋から出て行った。振り返りもせずに……。

 私は、これから空港へ向う。

 今までの仕事は辞めて、次の仕事に行くために部屋を引き払って荷物は先方へと送ってある。

 かなり遠くへ行く。

 携帯も既に新しいのを買ってあるから、今までの携帯は解約する。

 そこまですることはないのかもしれないけど、私が昔振られた時に取った行動考えると、そこまでしないと彼女からさよならすることは難しいような気がしていた。

 自惚れで済めばいいんだけど、昔の自分と似たようなこと言うような彼女のことだから、なんとなく行動パターンが予測出来る。

「お願いだから、死んだりしないでよ」

 飛行機に乗りこんだ私は、自分の手首に残った傷痕ながめつつ、もう二度と会うことはないであろう彼女に向ってつぶやいた。

 全部私が悪いんだから、自殺なんかするよりも恨んで憎んでやさぐれて、それに疲れたら、また笑って誰かに恋しなさいよ。

 笑顔の彼女はかわいくて、ついついかまってしまいたくなった。

 私は、彼女に恋してなかったし愛してもいなかったけど、なついてくれているペットのようにかわいくは思っていた。

 でも、猫というよりも小型の室内犬のような愛らしさは、ずっと死ぬまで愛して飼ってくれるような相手じゃなければ彼女の方がかわいそうだった。

 私のようなろくでなしじゃダメだ。

「さよなら、彼女」

 離陸して地上が遠ざかっていくのをながめながら、私は小さくそうつぶやいた。

 たぶん、私は、もう男としかつきあわないし、もう女とはキスもセックスもしないだろう。

 もう二度とこんなことを繰り返すことがないように……。(Fin)

Posted on 2007/05/11 Fri. 03:05 [edit]

ムラムラする声 

自分の歌声がそそる声しているということに気づいたのは、カラオケボックスで男友達に押し倒されてしまった時。

終わったら、

「なんかおまえの歌声聞いてたら、ムラムラしちゃって…ごめん」

と言われた。

その男友達は私とつきあう気などはなかったのに、私の歌声に欲情してうっかりやってしまったらしい。

その時は、けっこうショックだった。

二人きりでカラオケ来ちゃうくらい仲良かった男友達だったから、まさかそんなことされるとは思ってもみなかった。

 レイプ同然のことやられたわけなのだけれども、それでもまだ友達とは思ってはいて、友達訴えるようなことはさすがに気が引けて、このことはなかったことにしようということにした。

 その後、その男友達とは疎遠になって会うことはなくなった。

 たまに友達や会社の飲み会でカラオケ行くけど、特に何かが起こるようなことはなかった。

 複数人数で行ってるんだから、押し倒されたりなんかするわけがなかったのだけど……。

 それでも、たまにある特定の曲を歌うと、

「なんかすごい色っぽい声」

と言われることがある。

 キーの高さや曲調で声色変えて歌っていたから、曲によって私の歌声は違う。

 私が歌っている途中でトイレに立つ男の人が多いような気はしていたけど、あまり気にはしなかった。

 ところが、たまたま歌い終わってからトイレに向ったら、男子トイレから話し声が聞こえてきた。

「あの声にはまいるよな~」

「マジで下半身にくる」

「全然タイプじゃないのに、やたらセクシーな声してるもんだから、おもわず反応しちまうよな~」

とぼやいている男友達二人の会話を聞いてしまった。

 彼らは、私が歌っている最中に席を立っていた。

 以前、他の男友達に押し倒された時に言われた言葉が脳裏をよぎった。

「私の歌声って男がムラムラしちゃうような声してるの?」

 私は、茫然としながら女子トイレの中で一人そうつぶやいた。


 最近の私は、いいな~と思っている男誘ってカラオケ行く。

 でも、なかなか落とせずにいる。

 だいたいどの曲歌うと男がムラムラしちゃうような声が出るのかはわかってきていたから、集中攻撃かけているのだけども反応なし。

 業を煮やした私は、

「木下くんって、ゲイ?」

と訊いてしまった。

「えっ?なんでそんなこと訊くの?俺、ゲイじゃないよ!」

 木下くんは、うろたえながらも否定した。

「じゃあ、ED?」

「……」

 黙りこんだ。

 長い沈黙の後、

「俺…ED」

と木下くんはぽつりと言った。

 地雷踏んでしまった。

 私は、どうしたものかと思ったものの、EDごときで惚れちゃってる男あきらめる気にはなれなかった。

「私が歌っている声聞いてて、ここはなにか感じたりしなかった?」

と意を決して木下くんの下半身触りながら訊いてみたら、

「なんとなく…」

と言って木下くんは口ごもってしまった。

「ちょっとは、ムラムラした?」

 無言で木下くんはうなずいた。

「ED治療のお手伝いしてあげる」

 私は、そう言ってカラオケ付きのラブホに木下くん連れこんでベッドの上で歌った。

 おもいっきり男がムラムラしそうな声で歌ってやった。

 そしたら、木下くんの股間のクララは勃った。(Fin)

Posted on 2007/05/15 Tue. 18:01 [edit]

許容範囲 

「絶対、ムリ!」

 私は、先輩がシャワー浴びている間に逃げ出して来てしまった。

 一応、

『ごめんなさい。生理来ちゃったので帰ります』

と書き置き残してきたけど、今後のおつきあいについては二の足踏んでいる。

 会社の先輩でなんかいいな~と思ってた人に誘われて、何度かデートして、今日はホテルまで来てしまったものの、脱いだ時点で怖気づいて、

「あの…お先にシャワーどうぞ」

と言って逃げて来てしまった。

 どう考えてみてもアレは入らない。

 私は処女じゃないし、おとなしそうな見かけとは裏腹にけっこう経験してしまっている。

 その経験上、入るサイズと入らないサイズがわかるわけで…悲しいかな、先輩のは入らないサイズだった。

 女が大きいのを喜ぶなんてウソ。

 ほどよいサイズというのがある。

 大き過ぎると入らない。

 許容範囲を超えたモノは、入り口でシャットアウト。

 にっちもさっちも入らないモノがある。

 個人差あるのだろうけど、私の場合は自分の親指と中指で円を作れる範囲内の直径のモノじゃないと入らない。

 先輩のは過去に入らなかった大きさで、

「あんなの絶対入らない!」

と逃げてしまったものの、もうかなり好きになっていたりするから、どうしたものかと悩んでいる。

 先輩のことは好きだけど、先輩のアレは私のあそこにはたぶん入らない。

 でも、世の中にはアレが入る女の人がいるはずなんだよね?

 入らなかったら、先輩は他の人のとこ行っちゃったりするんだろうな~。

 そう思ったら泣けてきた。

 日曜日、従姉妹が出産して赤ちゃん抱いて帰ってきたと聞いたものだから、出産祝い持って赤ちゃん見に従姉妹のうちに遊びに行った。

「うわ~、小さいね~!」

 産まれて間もない赤ちゃんは、顔はお猿さんみたいだったけど、なにもかもが小さくて、気分的に未知との遭遇だった。

 たまに外で見かけるよその赤ちゃんはもうちょっと人間っぽい。

 でも、身体の小ささのわりに頭はでかいような気がした。

 大人の頭と比べると断然小さいんだけど、

『これがあそこから出てくるのか~』

と思ってしまったら、なんだかとんでもないことのような気がした。

 絶対入らないサイズと思われるのに、これは出てくるのだ。

 私は赤ちゃんの頭をかなり不純な動機でみつめてしまった。

 けれども、あの頭が出てこれる場所なら、先輩のアレが入らないということはないような気もしてきた。

 私は、自分の部屋に帰ってから適当な太さの物をあれこれ物色して入れてみた。

 化粧品の瓶やスプレー缶をあそこに入れようとしていて、かなり情けない気分にもなりはしたものの、やっぱり先輩のアレはいきなりじゃ入らなそうな気がして私はあそこを広げる作業をした。

 徐々に太いの入れてみたら、最初は入り口でつっかえてしまってまるで入らなかったものも入るようになってきた。

「イタイッ!裂ける~!!」

と毎日寝る前に一人で悪戦苦闘している私はかなりまぬけに思えるのだけれども、先輩のアレが入るところまで私のあそこの許容範囲を広げなければ、今後先輩とおつあいしていけない。

 でも、そんなことを毎日しているせいかなんだかあそこになにか入っていないと落ち着かない感じが最近している。

 そろそろ入りそうかな?

「先輩、飲みに行きませんか?」

 自分からお誘いかけた私は、勝負下着身につけてあれやこれやとお手入れも済ませて準備万端。

 お願いだから入って……

 その夜、ベッドの上で私は祈った。

Posted on 2007/05/16 Wed. 16:42 [edit]

せいいっぱいの好き 

 彼が泊まりに来ると私はいつもきちんとシングル布団二組並べて敷く。

 私も彼も体格的に小さい方だし、寝相も悪くはないから、シングル布団一組に一緒に寝ても狭苦しさは感じないけど、布団を二組敷かなければならない理由があった。

 彼は連絡なしでいきなり私の部屋にやってくることが多い。

 お酒に酔って深夜やってくることもしばしばで、泥酔した彼を玄関からおぶるようにして布団の上まで連れて行き、着替えさせて寝かせるようなことも何度もあった。

 そういう時は私の寝ていた布団にとりあえず彼を寝かせてしまっていたから、私は彼を寝かせてから押入れから引っ張り出した客用布団を隣に敷いて寝ていた。

 彼が素面であったりちょっとお酒を飲んでいる時は、布団を敷いたら白いカバーのかかった青い客用布団に彼を寝かせて、私は自分のパステルカラーのカバーがかかった布団に寝た。

 おとなしく眠ることもあれば、彼がこっちの布団に潜りこんでくることもあったものだから、気乗りがしなければ私は、

「そっちの布団でおとなしく寝てちょうだい」

と言って自分の布団から彼を追い出してしまった。

 いつもいつも、勝手にいきなり訪ねて来て、勝手に乗られちゃたまらない。

 私にも都合の悪い日だってあるし、疲れていたり眠かったりしてしたくない時だってある。

 触ってこられてちょっとは感じてしまっていても、布団の上で演技できるほどの気力体力がないような日は断った。

 一つ布団で寝てしまえば断りずらいし、なし崩しにしてしまうのがわかっていたから、したくない日に断りやすくするために、私は必ず二組の布団を並べて敷いて別々の布団で寝るようにしていた。

 中途半端に触られてしまうと火がつきかけた身体の状況的になかなか眠れやしなかったのだけれども、

「眠れないの?しちゃった方が眠れるんじゃないの?」

などと彼が隣の布団から声をかけてきても頑なに私は拒んだ。

 私はセックスの時、あまり声は出ない方だけど、彼は、

「声出して」

といつも言うから、意識して演技してちゃんと声を出せるようなコンディションでなければ私はしたくなかったのだ。

 やれなくてガッカリよりも、やってガッカリされるのが怖かった。

 別に声が出ないからといって感じないわけじゃない。

 私は感覚に集中すればするほど声が出なくなる。

 意識して声を出すようにしていると感覚に集中できなくなるため快感は薄れてしまう。

 それでも、私が演技して声を出すのは私が声を出した方が彼が喜ぶから。

 自分自身の快感が半減したとしても、彼が喜んでくれるのがうれしいから、私は演技して声を出す。

 それができないような日はしない。

 私にとって彼とのセックスは快楽を得るためのものではないから……。

 五感をめいっぱい使って「せいいっぱいの好き」を伝える時間。

 だから、ちゃんと意識して声を出せるような日しか私はしないことにしている。

 それで彼が喜んでくれるのがうれしいと思えるうちは…ね。

Posted on 2007/06/12 Tue. 23:07 [edit]

観賞 

「してるとこ見せて」

と彼に言われてギョッとした。

 ひとりでしてないと言えば嘘になるけど、見せてやるのはなんかやだな~と思った。

 ついでにいうと私の個人的意見としては、スワッピングとかやる方がまだましだった。
 
 それでも、一応して見せてやったものの見られていると思ったら、気が散ってしまってさっぱり濡れなかった。

 普通は逆なのかもしれないけど……。

 見られて恥ずかしいと感じられるような感性の持ち主なら、それで感じて濡れたりもするのかもしれない。

 でも、明るい部屋で大股開いてどうだとばかりに見せつけても、恥ずかしいのはの字も出てきやしない羞恥心が欠如しているような私じゃこういうことは逆効果。

 妙に気分が冷めてしまう。

 なんでこんなことしながらやたら冷静になってしまうのかは自分でも謎なんだけど……。

「気分萎え萎えだよ~。もういいでしょ?見せてあげたんだから、あんたもやって見せなさいよ」

 今度は私の方が彼にひとりでやらせて観賞してやった。

「見られて興奮しちゃった?ずいぶんと元気になっちゃったじゃないの。あんたみたいなのをなんて言うか知ってる?変態っていうのよ」

と言ってやったら、

「俺は変態じゃない!」

とあわてて彼は否定したけど、私の言葉に反応していたのは丸わかりだった。

 私は彼の後ろに回って、後ろから手を回して彼の両乳首をいじってやった。

 わざと私の胸を彼の背中に押しつけて。

 彼がいい声あげるものだから、私は耳から首筋にかけて舐めてやった。

 クスクス笑いながら、

「このまま見られながらひとりでイっちゃいなさいよ」

と言ってやったら本当に彼はひとりでイってしまった。

「やっぱり、あんたの方がMだね~」

と私が言ったら今度は彼は否定しなかった。

「調教してあげようか?」

 そう言った時、私は濡れていることに気がついた。

 彼の反応見て聞いて、私は感じてしまっていたようだった。

 どっちの方が変態なんだろう?

 どっちもどっち?

Posted on 2007/06/14 Thu. 14:18 [edit]

ひとめぼれ 

ひとめぼれだった。

あの人と初めて道ですれ違った瞬間、

「この人こそ僕の理想の女王様だ!」

と思った。

僕はSMのMだ。

変態と言われるマゾヒストだ。

この片田舎からわざわざ東京まで出かけて行ってSMクラブで女王様に調教してもらったこともある。

プレイ自体は刺激的だった。

でも、何人もの女王様に調教していただいてもピンとこなかった。

「この女王様にお仕えしてずっと調教していただくのだ」

という気にはなれなかった。

僕は、僕の理想の女王様像というのを夢想するようになった。

独学で覚えて自宅で自縛しては、理想の女王様に調教されているところを思い浮かべて唯一身につけていた白いブリーフの股間を膨らませてブリーフに恥ずかしい染みを作ってしまったりしていた。

そんなある日、近所に引っ越してきたあの人に出会った。

僕の自宅からあの人の部屋も勤めているスーパーもすぐ近所だった。

初めて道ですれ違った日から同じ時間帯に待ち伏せして、あの人の住んでいるアパートの部屋も勤務先も調べた。

僕は、理想の女王様であるあの人に調教されているところを思い浮かべて見るようになった。

夢にまで見るようになってもう何年もしたことがなかった夢精までしてしまった。

そのうち、僕の頭の中は妄想でいっぱいになってしまった。

仕事中もついうっかり理想の女王様に調教されてしまうという妄想をして、ぼんやりしているところを上司に注意されたりしていた。

そして、とうとう僕は理想の女王様の部屋の前に立ってチャイムを押してしまった。

「女王様、僕を奴隷にして下さい!調教してください!!」

と言う僕の台詞と普通じゃない様子にびっくりしてあの人がドアチェーンのかかったそのドアを閉めようとしていたのに、僕は隙間に足をねじこみわずかなドアの隙間から手を伸ばした。

「何を言ってるんですか!?やめて下さいっ!今すぐ帰って下さいっ!!」

あの人が甲高い声で叫んでいてもその時絶対奴隷にしていただくのだと思い込んでいた僕は、

「お願いします!おねがいします!なんでもしますから女王様の奴隷にして下さい!!」

と懇願し続けていた。

あの人が半狂乱になって、

「その足どけてっ!手も引っこめてー!!」

と叫びながらすぐそばにあった玄関掃除用のほうきで僕の手や腕を叩いても僕にはそれが快感だったりするものだから、理想の女王様にほうきで叩かれてうっとりしてしまっていた。

異変に気づいたそのアパートの住人が通報したようで僕は駆けつけた警官に現行犯逮捕された。

取調室で刑事さんに、

「なんであんなことをしたんだ?」

と訊かれた僕は、

「理想の女王様に出会えたんです!ひとめぼれだったんです。奴隷にしていただきたくてお願いしに行ったんです」

と答えた。

あれこれ訊かれたけれども刑事さんがあきれ返っていることに気づいた頃、ようやく僕は正気に戻って頭に血がのぼってとんでもないことをしでかしてしまったことに気づいた。

僕のやってしまった行為は「ストーカー行為」だと言われた。

妄想と現実の区別がつかなくなっていた僕は、この事件によって「変態」であることが周囲にばれてしまっただけではなく「犯罪者」にもなってしまった。




*実際にあった事件のニュースをネタに書いてみましたが、変態な性癖を持つ人がおこなう変態行為は法に触れないようにやれば問題ないので誤解なさらないで下さい。
変態の方々は、変態するなら他人様に迷惑かけずに合法的に楽しんで下さい。
あくまで妄想は妄想でしかありません。

Posted on 2007/07/18 Wed. 21:34 [edit]

IS~彼女であり彼であり~ 

私が初めて会った時の友人は「彼女」と呼ばれる姿をしていた。

声も高めでかわいい感じで、女性以外のものであるなどとは思えなかった。

けれども、友人はIS(インターセクシャル/インターセックス)だった。

生物学的に男性と女性の特性を合わせ持つ状態の人だったのだ。

ISとは、間性。半陰陽。二形(ふたなり)といった様々なタイプがあり、性染色体・性腺・外性器など身

体の性別(sex)が明瞭でない人々のことを総称する。

外性器のみを合わせ持つ場合や、精巣と卵巣を合わせ持つ真正半陰陽児などにさらに細分される。

友人の場合は、性染色体レベルにおいて男女の別がはっきりしない状態だった。

性器の形も本人は、

「ちょっと変かな?とは思っていた」

と言った。

でも、男とも女ともつきあったことがある友人が、その時の彼氏や彼女に形がおかしいと指摘されたりはしなかったのだから、おそらく外性器の形はそれほど気にすることのない程度の違いだったのだと思う。

 私は、実際に見たことはないのでなんとも言えないのだけれども……。

 いろいろ友人の話を聞いていると子供の頃から、普通の子供とは違っていたようだった。

 あまり他者とは関わることなく一人遊びを好んでいたらしい。

 そのおかげで、友人は他者と比較して自分の性別に疑問を持つことなく成長した。

 ある意味、それは幸運なことだったのかもしれない。

 子供の頃から、

「なんだか私は女の子のお友達とは違うみたい。なんでだろう?」

という風に悩まずに済んだから…。

 自分の性別に疑問を持つことのなかった頃の友人には彼氏がいた。

 そのうち、女の子を好きになるようになって彼女ができた。

 友人は、自分ではレズだと思っていたらしい。

 男とつきあったこともあるから、正確にはバイセクシャルなのだろうけど。

 自分の身体が男性化した時初めて、

「なんだかおかしい」

と友人は不審に思ったらしい。

 私は、友人と出会ってからいろいろと話を聞いているうちに、友人が男性的思考パターンを持っていることに気がついた。

 身体の変化や性的嗜好の変化なども聞いていたものだから、もしかして…と思った。

 友人が、

「もしかしたら、私、ISかも…」

と言った時、

「その可能性はあるかもしれないから、気になるなら病院で検査してみたら?」

と私は勧めた。

 検査の結果、友人は30代になって性染色体レベルでのISであることが判明した。

 でも、とりあえずは今の状態で生きていっても問題がないらしい。

 ホルモン不足のため健康上の問題からホルモン投与を必用とするケースもあるので、友人はその点においてはラッキーだった。

 もしかしたら、いずれ、ホルモン投与を必要とする時がやってくるかもしれないが……。

 ちなみに、今友人が恋をしているのは、友人が女の子と認識している戸籍上は男だけど外見はホルモン摂取して女の子の姿に変化している最中のMtFである。

 MtFとは、男から女へと変わろうとしている戸籍上は男性であるGID(性同一性障害)の人のことをいう。

 友人は、戸籍上は女だけど「彼氏」として戸籍上は男の「彼女」とおつきあいしている。

 最近の友人の身体は男性化が進んでいる。

 一時はFカップまで大きくなった胸はどんどん小さくなっていった。

 身体にはかたい筋肉がつき体臭は男臭くなった。

 父親に、

「男臭い!香水でもつけろ!!」

と言われるほど体臭が変化した。

 そりゃあ、そうだ。

 男性化が進んで30代働き盛りの男の体臭を発しているのなら、すでに男性ホルモンの分泌が低下して男の臭いではなくて、加齢臭発している60代の父親には、自分が失ったものだけにさぞかし気になることだろう。

 けれども、父親が「香水でもつけろ!!」と言うのは、ISであることを知っても、戸籍上は女で女として仕事をしている娘が男臭い体臭発しているのはまずいだろうと思う親心からだと思う。

 友人は、頭の中身は男性寄りだけれども、完全に男の身体になることは望んではいない。

 女性化したり男性化したりを繰返す今の身体のまま、戸籍上の性別も女のままで生きていくつもりで
いる。

「彼女」のいる友人は、「彼氏」でいたいから、

「今の男性化した状態を維持できるといいんだけど…」

とは言う。

 脳内において現在の友人は自分のことを「ボク」とか「オレ」とか認識しているので、恋愛対象は友人が女と認識した人となる。

 友人が女と認識すれば、戸籍上の性別はどちらであってもかまわない。

 戸籍上の性別など、性染色体レベルで男女の区別を明確にできない状態のISである友人には、無意味なものなのかもしれない。

 最近の友人は、男の格好でデートする彼氏モードと彼女にせがまれて、女装して女の子同士でおでかけモードを使い分けている。

 戸籍上は女性の友人がMtF(戸籍上は男性)の彼女のために女装しているのである。

 今の友人の容姿は、二丁目うろつけば小柄な少年と間違われて、男にナンパされてしまうような状態なものだから、女物着ると友人の感覚的にはもはやそれは女装でしかなくなっているらしい。

 そういう容姿であっても、

「たまには女の子同士でショッピングとかしてる感じでおでかけしたいの」

とMtFの彼女におねだりされれば友人は付け毛つけて普段はしない化粧をして女装をする。

 バレンタインデーの前から、

「ホワイトデーは三倍返しだー!」

と言ってせっせとバイトに励んだりもしている。
 
 そういったことを彼女のためにする友人はある意味男らしい。

 今の彼氏時々女友達な感じの友人は素敵なISさんだと私は思う。

Posted on 2007/11/13 Tue. 20:40 [edit]

やっかいなドM 

 昔、合法ドラッグなんてものがあった。

 実際のところは、規制する法がないから取り締まれなかっただけの脱法ドラッグだったわけで、合法なんかじゃなかった。

 使用者は、売り手側がつけた「合法」なんて言葉に騙されていただけだった。

 後に「脱法ドラッグ」と呼ばれるようになり、そして、ついに販売業者は摘発され「合法ドラッグ」と呼ばれたそれは表向きは消えた。

 しかし、裏ではまだ密かに流通しているかもしれない。

 規制摘発後に、ラッシュ吸引してクラッときて倒れてクラブの階段から転落し、救急車で運ばれたなんて友人がいる。

「もう、やめろって言っただろ?」

と俺が言っても、

「ポン中だから仕方がないって~」

と笑っていたヤツが今どこで何をしているかは俺は知らない。

 覚醒剤はやめていたはずだった。

 酒は…アルコール依存症なんてかわいいもんじゃなくて、昔ながらのアル中と言いたくなるような酒量。

 肝臓やられていたのに昼間からポン酒飲んでたりするようなヤツだった。

 きれいなヤツだったんだけどな……

 今、生きてるだろうか?
 
 酒やドラッグに溺れ依存するくらいなら、俺に依存すればよかったのに…と思ったりすることもあったが、あれはかなりやっかいなタイプのドMだ。

 残念ながら、調教師の俺の手にはおえないタイプのMだった。

 普段は奔放に女王様しているくせして、惚れて惚れて惚れぬいた男一人にしか自分のMな部分をさらけ出すことはない。

 享楽的でありながら、自ら生きずらく自分を締め付けてしまうほど一途。

 まわりのやつらには自由気ままに生きているように見えただろう。

 ところが、実は不自由で不器用な生き方をしているヤツだった。

 俺の調教では、心を縛っているなにかから解き放って飛ばしてやることができないタイプの男だった。

 なぜなら、ヤツは俺に惚れてはいなかったから……。

 単なる親しい友人の一人。

 通常の調教には、恋愛感情は必用ない。

 だが、やっかいなドMのヤツは自分が惚れこんだ相手でなければ、調教されることなど許しはしない。

「惚れて惚れて惚れ抜いて、命すら預けても構わないと思えるくらいの男じゃなきゃ、ひざまずいてなんかやらない。私は『たった一人の私の旦那様』にしか調教されてやらないんだから」

と冗談混じりに笑って言っていたあの言葉はおそらくヤツの本音だろう。

 生きていたら……

 まだ、奔放で窮屈な生き方をしているのだろうか?

 それとも、ヤツはみつけたのだろうか?

『たった一人の私の旦那様』

とかいう唯一無二の存在を。(Fin)

Posted on 2008/04/06 Sun. 20:13 [edit]

 

「もっと声出して」

私はカレにそう言われるのが嫌い。

ベッドの上で演技しなくてはならないから…。

AVとかの影響なのかな~?

女はセックスの最中あえぎ声出すもんだと思われているようだ。

声出して演技してイッタ振りしないとマグロだの不感症呼ばわりされる。

本当は、私、一度もイッタことなんかないんだけど……。

自然と声が出ちゃう人もいるのだろうけど私は声が出ない方。

声出さないで息をつめてちょっと息苦しいくらいの方が、触れられている感覚に集中できるから感じる。

声出して演技しているとそっちに意識がいっちゃうからあまり感じなくなってしまう。

途中で濡れなくなってしまってゴムずれして痛いのだけど、カレは気づいてくれない。

早く終わって…といつも思っている。

はっきり言って最近はセックスが苦痛になっている。

なるべくはぐらかしているのだけど、ウチに泊まりに来られちゃうと断れない。

「コスプレとかいいよな~」

とカレに言われたけどどういうのが好みなのかは言わなかったからわからない。

あんまり気乗りしないけど考えてみましょ。

セックスは苦痛でもカレのことは好きだから…。



デパートの催事場で中古の着物販売していた。

ウェディングドレスの一万円均一なんていうのもあったけどそっちはパス。

結婚前にウェディングドレスを着ると10年婚期が遅れるなんてジンクスを友達から聞いたから今は着たくなかった。

着物見てたら一万円でもそれなりのがある。

レンタルショップからの中古品とかいうから物は悪くはなさそう。

持っている帯に合いそうな柄の着物を一着買ってみた。

金曜の夜、試しに買った着物着てみていたらカレが来た。

会社の飲み会があるって言ってたから来ないと思ってたんだけどな~。

あ~、またか。

ドアを開けて納得した。

私のウチの方が繁華街に近いから終電なくなるとカレは酔っ払って転がりこんでくる。

「そこで座りこまないでよ~」

玄関先で座りこまれても困る。

とりあえず靴は脱がしたけどどうしよう?

引きずってく?

こんな時、カレの無駄にでかい図体が恨めしくなる。

身長185センチで体重80キロある男、どうやって運べって言うの?

両脇に手を差し込んで引きずってみようとしたけど無理だった。

あきらめて毛布かけてその場で寝かせておこうと思った。

目が覚めたら勝手に私の布団の中に潜りこんでくるだろうから。

毛布かけたら起きた。

「あ、町娘がいる」

なんだか寝ぼけている。

それとも酔っ払っているせい?

いきなり足元に抱きつかれた。

なんでだろ?私はとっさに逃げてしまった。

あ、追いかけてきた。

「こら!娘、逃げるでないぞ」

やっぱりなんかヘンだ。

カレに捕まえられたらネクタイで手首縛られた。

タオルで猿ぐつわもされた。

「おまえは越後屋からの献上品。代官のわしには逆らえぬのだ~!」

とカレは言った。

どうやら酔っ払って寝ぼけて着物姿の私が町娘で自分が悪代官と思っているようだ。

流されて着物着たまましてしまった。

終わったらカレはいびきかいて寝てしまったので、私は四苦八苦しながらもなんとか縛られていた手首のネクタイはずして猿ぐつわにされていたタオルもとった。

縛られて終わったら放置されるのはイヤだけど猿ぐつわは悪くはないかも……。

唾液でぐちょぐちょになったタオルを見て思った。

猿ぐつわのおかげで無理して声を出さなくてもいい状態だったから触られてるところに意識集中できていつもより感じた。

私は着物脱ぎながら「次からはこの手でいこう」などと考えていた。

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Posted on 2008/07/03 Thu. 00:04 [edit]

ネットカウンセラー春日月透子 

ネット上でネットカウンセラーと呼ばれるようになったものの、私、春日月透子はカウンセラー資格は持っていない。

自分からネットカウンセラーなんて名乗ったことなど一度もない。

けれども、いつのまにか私はネット内の住人たちからそう呼ばれるようになっていた。

最初のうちは、自分のHPを運営したりよそにコメント書き込んだりという感じで普通にネットしていた。

なぜか相談されることが増えアドバイスや情報提供しているうちに、私のHPに来るのはそういう人ばかりになってしまった。

主に心の病を抱える人々やその家族や恋人。

今までのHPの主旨と合わなくなってしまったのとセキュリティー上の問題があったのとで、私は違う携帯HPを開いてそこに人数制限を二人に設定した相談用の内緒話チャットを設置した。

私が設置しているチャットはPCだけではなく携帯にも対応しているから携帯からの相談者が多い。

チャットに入室があると管理人である私の携帯電話におしらせメールが届く。

私は睡眠中以外ならなるべく手が空いている時にはすぐにチャットに入るようにしている。

「あ、チャット入室のおしらせが来た!」

深夜2時14分。

私は急いで携帯で入室して挨拶してからPCからチャットに入室し直した。


透子:入室

透子:お待たせしました。えみさんはいつもこの時間起きているんですか?

えみ:はい、眠れなくて…

透子:そうなんですか。私も眠れなくていつもこの時間は起きていますよ。えみさんはお薬なにか飲んでいますか?

えみ:たぶん、私、またうつになっちゃったと思うんです。でも、看護師のくせして病院に行けなくて…

透子:えみさんは看護師さんなんですか~。病院に行けない理由は自分でわかりますか?

えみ:男の先生は嫌なんです。

透子:もしかして、えみさん、男の先生で嫌な思いをしたことがあります?

えみ:いえ。そういうわけではないんですけど男の人だと話しづらいことがあって…私、子供を堕ろしたんです。それがきっかけでうつになっちゃって…

透子:それは男の人には話しづらいですね。

えみ:そうなんです。それで病院行かなくちゃと思ってもなかなか行けなくて…

透子:えみさん、女医さんが診てくれる病院なら行けそうですか?

えみ:それなら…

透子:えみさん、差し支えなければ最寄の駅など教えていただけますか?通院できる範囲内に女医さんが診てくれる病院があるかどうかPCで検索かけて調べてみますから。

えみ:博多駅周辺なら行けます。お願いします。

透子:じゃあ、ちょっと待って下さいね。

透子:ありました!女医さんが診てくれる病院。○○メンタルクリニックです。住所と電話番号UPしますからメモしておいて下さい。このチャットのやりとりは、えみさんが退室したら全消去してプライバシーの保護をしますから。

えみ:ありがとうございます。

えみ:退室

透子:退室


ハンドルネームえみさんは携帯ユーザーだった。

私のチャットに入室してくる人はパソコンを持っていない携帯ユーザーが多い。

まだPCからよりも携帯から得られる情報量が少ない時代であることが一因。

欲しいのはアドバイスではなくて情報の場合も有り、ネカフェに行ってくれば用が足りそうなことを訊いてくる人もいる。

ネットカウンセラーなんて呼ばれるような者ではなくて、実際の私はお金のかからない情報屋のような者。


ちなみに、これは西暦2000年前半の携帯サイトは見れても、携帯電話からはPCサイトの閲覧はまったくできなかった頃の話である。


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Posted on 2008/07/28 Mon. 15:31 [edit]

 

「オレ、この女好きだ~!」

とMは叫んで抱きついてきたかと思ったら、そのままずるずると崩れ落ちて私の膝の上で眠ってしまった。

 酔っ払ってわけわかんなくなってくると最後はいつもこう。

 弱いくせしていつもMは飲み過ぎる。

 一緒に飲んでた友達と、

「しょうがないヤツだね~」

と言って苦笑いしてはいるけど、実は私の心中は穏やかならず。

 うれしいけど、悲しい。

 Mの言う「好き」は友達の「好き」だけど、私のは惚れたはれたの方の「好き」だから、こんな風に「好きだ~!」って酔っ払って抱きつかれるのも、膝枕で寝かせておいてあげるのも非常に心臓に悪い。

 まわりには平気な顔してみせてるけど、私の手の平はやたら汗ばんでいる。

 絶対にMは私と同じ「好き」という感情を私に対して抱くはずがないのがわかっているのに、何年もあきらめられずに友達付き合い続けている。


 私の好きなMはゲイだ。

 バイセクシャルならまだましだったかもしれないけど、残念ながら、Mは男にしかときめかない男だった。

 物心ついた頃から男にしか興味がなくて、男にしか恋したことがないという男。

 それでも友達としてなら女と仲良くなれるような男だから、

「女の中ではおまえが一番の親友」

なんて残酷な言葉をMは笑顔で私に言う。

 うれしいけど、うれしくない。

 そんなの私の本当に欲しいポジションじゃないよ。

 でも、一番欲しいポジションは女の私が望んでも手に入らないのはわかっているから、本音押し殺して親友面して私はMのそばにいる。

 どんなにそばにいても、膝にMの頭の重みを感じていても、寝息を聞いていても、Mは私の手の届かないところにいる。


 それでも、私はいつも一緒にいたかった。

 ボケとツッコミ繰り返し、

「おまえらコンビで吉本行けよ~!」

と仲間を笑わせたりもしてたけど、私はただMの隣で笑っていたかっただけ。

 Mの笑顔をずっとずっと見ていたかっただけ。

 そう思ってた。

 ううん、思いこもうとしていたんだ。

 だけど、だんだん笑えなくなってきている自分に気がついた。

 大学卒業してもそばにいたくて、Mと同じ会社にまで入ったのに限界きていた。

 泣きそうだった。

 一人で泣くのなんかここ数年しょっちゅうだったけど、Mや友達と一緒に飲んでいる時にも泣いてしまいそうになっていた。

 次に、

「オレ、この女好きだ~!」

とMが酔っ払って叫んで抱きついてきたら、私は泣いてしまいそうな気がしていた。

 Mの前で泣かない自信がなくなった私は、ついに会社辞めて田舎に帰ることを選んでしまった。

 親が以前から「地元に帰って見合いしろ」とうるさかったし……。

 田舎に帰る前にMがゲイだと知っている友達集って、私の送別会をしてくれた。

 いつものメンバーで飲んでいたら、やっぱりお酒に弱いMが一番先に酔っ払って、いつも通り叫んだ。

「オレ、この女好きだ~!」

 みんなはいつも通り笑っていたけど、私は泣いた。

「主賓の膝の上で酔いつぶれるなんて、最後の最後まで失礼なヤツよね」

と泣き笑いしながら私は言った。

 この場でなら私が泣いても不自然ではないはず。

 みんなとお別れなんだもの。

 私は最後まで自分の本当の気持ちは隠し通して田舎に帰った。

 親に勧められるままに見合い相手と結婚したら、携帯は番号変えて買い替えた。

 新居の住所も電話番号もMには知らせなかった。

 こんな気持ち引きずったままじゃ、電話で声聞いただけでも泣き出してしまいそうだった。

 私は、恋しくて苦しくて、とうとうMから逃げ出してしまった。

 隣で笑ってたくても、もう私は笑えなくなっていたから……。


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Posted on 2009/08/05 Wed. 01:31 [edit]

ヒモ 

「ババ、あの子ヤバイよ!たぶん18歳未満だよ。身長はあたしよりあるけど、まだ幼い体つきしてたよ!!」

 新人の講習頼まれたあたしは、講習終わった後、フロントに座っていた店のオーナーに口早にそう告げた。

「ばれなきゃいいんだよ」

 そう言ってババはにんまり笑ったけど、あたしは不安になって悩んだ末、一週間後に何年も働き続けてきた特殊浴場という名のススキノにある大人のお風呂屋さんを辞めた。

 あの子は、店の常連が、

「俺の女、働かせてくれ」

と連れてきた子だった。

 服を着て黙っていれば18、19やそこらに見えたけど、全部脱いでしまったら、どことなく大人の女になりきれていない幼い体つきをしていた。

 もしかすると、本当は中学生くらいなのかもしれない。

 あの子は、毎日男に連れられて出勤して来た。

 客がつくまでは全然お金がないものだから、出前の注文もできずに控え室でお腹をグーグー鳴らしていた。

 仕事終わって店を出れば、男が迎えに来ていた。

「今日はいくら稼げた?全部出せ!」

と男が言っているのを耳にしたことがあった。

 あの子は金づるにされていた。

 あたしがあの風俗店を辞めた後、警察の手入れが入ってババは取り調べに引っ張って行かれた。

 あたしはあやういところで逃げ出してこれた。

 辞める時にしっかり履歴書返してもらってきたから、あたしがあの店で働いていたという確かな証拠は無い。

 在籍中の女の子たちは事情聴取を受けた。

 引っ越して電話番号も替えていたから新聞の記事であたしはあの子のことを知った。

 あの子は家出少女だった。

 あたしの予想通りまだ中学生だった。

 中三の15歳の少女が、気軽にプチ家出とかいうやつをしてみたらしい。

 出会い系サイトで知り合った男の部屋に警戒心ゼロで泊めてもらった。

 それがたまたま悪い男だったものだから、あの子はいきなり風呂に沈められた。

 ソープに無理矢理働きに行かされ男の金づるにされてしまったのだ。

 逃げられないように男に送り迎えされ、部屋の中では紙おむつされて縛りつけられていたといったことも新聞には書かれていた。

「ヒモとしては下の下だね」

 あたしはそうつぶやいて、布団の中で丸くなっている自分の男を振り返ってみた。

 あたしが風俗嬢になったのは、やたらと金のかかるこの男のせいだった。

 普通のOLだったあたしの貯金は、ギャンブル狂いのこの男とつきあうようになってから、あっという間に消え失せた。

 それでも、何年も風俗嬢してまでこの男をヒモとして飼ってやっているのは、体の相性の良さとテクの良さとほんのわずかな愛情のかけらがあるからなのだろうとあたしは思っている。

 あたしは『快楽』という名の見えない枷をはめられて、この男から離れられなくなっている。

 もうこの男でなければ感じることのない体になっている。

 本物のヒモは、縛られてなんかいなくても女が逃げ出そうなんて気にならないようにするもんだ。

「本物のヒモというのは、こういう男のこと」

 そう小声でつぶやいて布団の中に潜りこんだら、さっきまでは確かに眠っていたはずの男の手があたしの体をまさぐりだした。(Fin)


*この話は、ススキノのソープで働いていたことのある泡姫さんから聞いた実話を加工したものです。
(注)札幌市の条例によってススキノのソープランドは18才から働けることになっていますが、18才未満の雇用は児童福祉法などの絡みも含めて違法になるため基本的に身分証明書の提示を求めます。が、昔は採用時の身分証明書の提示を徹底していなかった店もあったため18才未満の従業員が紛れていることがありました。

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Posted on 2009/08/05 Wed. 01:42 [edit]

sadistic girl 

 その本と出会った時、私は自分の密かなる欲望に気がついてしまった。


 それを否定しながらも読み進んでとうとう読み終えてしまった。


 隠さなければならないと思いながらもあやしげな妄想思い浮かべて陶然としている自分をもてあました。


「読むべきではなかったかもしれない」と後悔してみてももう遅い。


 私は知ってしまった。


 自分がどういう属性の女なのかを。


 知るには早かったかもしれない。


 中二の夏、私は自分を知った。


 確かに以前からそういう傾向にはあった。


 友達殴ったり蹴ったり意地の悪いこと言って泣かせるとなんだか気分がハイになった。


 でも「これじゃいじめだ。やめなくちゃ」という思いもあって日々自分との戦いだった。


 友達が言う私の印象は、


「普段はおとなしくて優しい上杉さんなんだけど、たまにくそ意地悪くなるし凶暴になる」


だったりする。


 今じゃ仲の良い友達三人以外は私には近寄ってこない。


 私は気でも狂っているのだろうか?


 不安になることもしばしばあった。


 でも、あの本を読んでわかった。


 私はたぶんサディストなのだ。


 中一の時、男の子と殴り合いのケンカして、馬乗りになってぼこぼこにしてやった時、私は興奮していた。


 なんともいえぬ高揚感にうっとりしながら殴っていた。


 友達に止められなかったらヤバかったかもしれない。


 さいわいその件は先生達の耳には入らず私は何の処分も受けずに済んだ。


 その後も何度か男の子にケンカふっかけたものの、殴っても殴っても向こうが無抵抗だったり逃げてしまったりしてつまらなくなってやめてしまった。


 ある日、


「ちょっと待てよ」


と同級生の男の子に腕つかまれて私はやっと気がついた。


 その子は別に悪意があったわけじゃなくて、用があったからとっさに呼び止めて腕をつかんだだけだったのだけれどもつかまれた腕がとても痛かった。


 その時、もう力では男の子に敵わないということに気がついた。


 同時にケンカふっかけても無抵抗だった男の子が男女の力の差をわかっていて取り合わなかったのだということも理解した。


 もう普通に男の子にケンカふっかけてもムリ。


 でも時々、馬乗りなってぼこった時のことを思い出してはうっとりしてしまう。


 とりあえず、その手の本を読み漁った。


 友達と貸し借りしていた漫画や小説の中にもたまにいいシーンがあった。


 友達はBLものにはまっていたのだけど、私はその手のたぐいは学園ラブラブ系なんかは全然興味が無くて、鬼畜系といわれるたぐいの責めたてているシーンがよくて、私もこんな風に男の子をいたぶってみたいな~なんてことを思っていた。


 持つべきものは腐女子な友?


 なんとか中学卒業するまでは二次元の世界で我慢した。


 高校入ってからもしばらく二次元オタしてた。


 でも、同じ部活ですごくいじめたい男の子をみつけてしまった。


 彼氏作る前に下僕が欲しいと思ってしまう私はやっぱり変態?


 試しに手の甲つねってみて反応を見た。


 私の顔見て赤くなった。


 これって好反応?


 何も言わないものだから、時々他の子が見ていない時狙って足を踏みにじってみたり、殴ってみたり、耳に息 吹きかけてみたり、背筋を下から爪先で撫で上げたり、ほっぺたつねってみたりしていた。


 顔赤くするだけでやっぱり何も言わない。


 でも、部活の時さりげにいつも私のそばにいる。


 私のそばにいれば何されるのかなんてわかりきってるいるはずなのに……。


 もっと、いじめたいな~。


 そう思って昼休みに屋上に呼び出してみた。


「ねぇ、私が部活の時に意地悪してもなんで何も言わないの?」


「わかんない」


もしかして、自分の属性気づいてない?


「あんた、マゾだよ。私にあんなことされて顔赤くしちゃってさ」


 私がそう言ったら耳まで真っ赤になったけど彼は否定はしなかった。


 隠れマゾか~。私も隠れサドだけどさ。


 堂々と言えるもんでもないしね。


「ひざまづいてごらん、いいものあげるから」


 素直にひざまずいた彼の首に100円ショップで買った犬の首輪をつけてやった。


 彼は首まで熱くしていた。


 私の冷たい指先が触れたらビクッとした。


 ハイヒールじゃないのが惜しいな~なんてことを思いながら、


「靴を脱がせて靴下も脱がせて」


 私は右足を差し出した。


 彼は押し頂くようにして両手で丁寧に私の靴を脱がせて靴下も脱がせた。


「お舐め!」


 そう命じてみたら本当に彼は私の足を舐めた。


 足の指一本ずつ丁寧にねぶられて背筋がぞくぞくした。


 なんだか妙な気分。


 足首よりも上まで舐めてこようとしたからあごを蹴飛ばしてやった。


「そこから上はダメ!靴下と靴を履かせて」


 彼に靴下と靴を履かさせて、


「私の足おいしかった?」


と訊いたら、


「おいしかったです、上杉様」


という答えが返ってきた。


 下僕Get!


 高校生活楽しくなりそうだわ。


 心の中でにんまりと笑いながらも、私の靴を履いた足は下僕の股間を踏みにじっていた。




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Posted on 2009/08/05 Wed. 01:48 [edit]

階段 

 「え?」

 一学年下の妹が言った言葉に一瞬私はかたまった。


「だ~か~ら~、山木くんと江藤くんが屋上手前の階段のところでキスしてるの見たんだってば!」


 頭がクラクラした。


 二人とも私と同じクラスの男子だった。


「やっぱり、山木くん、ホモだった」


 妹は先日、山木くんに告ったら何も言わずに走って逃げられたという振られ方をしていた。


 今まで、山木くんがホモなんじゃないかという噂は女子の間で囁かれてはいたのだけれど確証はなかった。


 けれど、あきらめきれずに追っかけしていたうちの妹は、とうとうこっそりと現場をのぞき見してしまった。


「その話、誰にも言ったらダメだからね!」


 私は妹に口止めしながら「ホモじゃなくてゲイと言わないと失礼なんだよ」と言うのはやめておいた。


 腐女子な友を持つ私もやっぱり腐女子な中学生だった。


 BL本の貸し借りだけでは物足りず、友達と一緒に興味本位で表紙に薔薇と言う字が入っている有名なゲイ雑誌を買って来て開いて見たりもした。


 見るんじゃなかった…というのが正直な感想。


 なんだか思い描いていたものとは全然違った。


 乙女のファンタジー撃沈。


 絵空事と現実の違いを知った私も友達もBL本から卒業した。


 でも、机の鍵のかかる引き出しの中にこっそりあの本を隠し持っていた私は時々読んでみたりしていた。


 絵空事からは卒業したものの今度は本当のことを知りたくなっていたのだ。


 最初に見た時のショックは大きかったけれども「いろんな人がいるもんだ」という目線で読んでいるうちに耐性がついてきた。


 それでも、同級生がそうなんだと知ったらどうしたらいいものかとうろたえた。


 とりあえず妹には口止めしたけど、どこから漏れるかわからないし今後も目撃者が出るかもしれない。


 私は教室では普通に接していたけど、見てもいない二人のキスシーンが時々脳裏をよぎったりもしていた。


 やっぱり、私は腐女子卒業しきれていないのだろうか?


 江藤くんはガタイはいいけどわりと普通の男の子。


 前は彼女いたけど今はフリーだ。


 山木くんは背が高くてすらっと手足が長くて線の細い体つきをしていた。


 顔も頭も小さいのにこぼれ落ちそうな大きな目をしていた。


 顔の中で目ばかり目立つような印象だけど美少年の部類かな?私の好みではないけれど……。


 けっこうもててるのに誰とも付き合わない。


 いつも潤んだようなその瞳は時々せつなげな眼差しで江藤くんのことを見ている。


 同じクラスにいるからついつい見てしまう。


 見られていることに気がついたのだろうか?


 山木くんは一瞬キツイ眼差しで私の方を振り返って見た。


 すさまじい目つきをしていた。


 心臓が止まるかと思った。


 威嚇された私はすぐに目をそらした。


 あれは男の目つきではなかった。


 敵を威嚇している女豹か何かのような感じ。


 時折見せる表情は妙に色っぽかったけれどもあれも男の色気などではなかった。


 どちらかというと妖艶な女が浮かべるような笑みを薄い唇の端に浮かべていた。


 なんでみんなはあれに気がつかないのだろう?


 そう疑問に思うのと同時に私は気づかないで欲しいとも思っていた。


 女子の間ではあいかわらず「山木くんはホモだ」という噂が流れていたけれども、噂はそれ以上発展することもなく卒業式を迎えた。


 私は高校も山木くんと同じだったけれども、クラスは別だったからあまり会うことはなくなった。


 たまに廊下を歩いている後姿を見かけたけれども、その背中には男らしさではなくて少女のような愛らしさやはかなげな雰囲気がただよっているような気がした。


 高校卒業してからは誰も山木くんの消息を知らない。


 たぶん、自分の居場所をみつけたのだろう。


 もしかするともう彼ではなくなっているかもしれない彼は、彼なりの大人の階段を昇って行ったような気がしている。(Fin)


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Posted on 2009/08/05 Wed. 01:53 [edit]

サイズ 

「どれくらいのサイズが普通なのかな~?」

と美奈子は言った。

「何のサイズが?」

 何のことだかわからなくて私は訊いた。

「彼氏のアレのサイズ。勃った時の…」

「えっ……」

 一瞬ちょっと引いた。

 私もそういうのはよくわからない。

 うちに遊び来ていた彼氏や旦那持ちの女友達にきいてみたら、みんなそれぞれ、

「これくらいかな~?」

とか言って指で円を作って見せていたけど、なんでわかるんだろう?

 私は部屋の中の円筒形の物を片っ端から握ってみた。

 除光液の瓶が太さ的にはしっくりきたので、

「これくらい?」

とそれを握ったまま言ったら、

「それ、リアル過ぎ~!」

とみんなに笑われた。

 でも、実際に似たような太さの物握ってみないとわからなかったんだもん。

「太いね。定規かメジャーある?」

と言われてメジャー出してきたら、美奈子は除光液の瓶の直径を計り始めた。

「だいたい38mmってとこだよね…やっぱりウチの彼氏の小さいのかな~?あたしは別に不満はないんだけど、困ったことにコンビニで買ったコンドームが途中で抜けちゃうんだよね」

「ウチのはLサイズとか言ってたから、ちょっとだけ大きいと思うけど…」

 あわててフォロー入れてみたけど、

「Lサイズって何?」

と訊かれた。

「コンドームのサイズなんだけど…私もよくわからない」

「ネットで調べてみよう!」

 興味津々でみんなでネット開いて、『コンドーム サイズ』で検索したら、コンドーム専門店のホームページとかいろいろ出てきたからのぞいてみた。

「いろいろあるもんだね~」

 普段は、コンビニでみかけてもサイズ合わないからと彼氏が自分でドラッグストアで買って来ているから、こんなにいろいろあるなんて知らなかった。

「F社のだとSサイズで直径34mm、Lサイズで38mm、LLサイズで44mmだってさ。でも、なんでMサイズのサイズ表示は出てないんだろ?だいたい間を取って36mmくらいなのかな?」

「そんなもんなんじゃない?」

「うわ!なにこれ?D社の長さ215mm、幅57mmの日本最大級とかってヤツ!あたし、こんなでかいの絶対入らないよ~!」

「げっ!あたしもムリ!!」

 大騒ぎしながらネットでいろんなコンドームをみんなで見てた。

 美奈子は、

「ウチの彼氏のはたぶんSサイズより小さいかも…」

とつぶやいてから何か考えている様子だった。

 その後、美奈子は彼氏と別れるどころか出来ちゃった結婚して、次々子供産んであっという間に5人の子持ちになってしまった。

 どうやら子作りするには、サイズは関係ないらしい。

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Posted on 2009/08/05 Wed. 02:00 [edit]

ナンパ 

 あ~、もう、しつこいな~!まだついて来るよ。

 無視しても、

「すみませ~ん」

としきりと声をかけてついて来る男がうざったかった。

 もう何百メートルも車でのろのろついて来られている。

 友達は「ナンパは無視するに限る」と言う。

 でも、家までついて来そうなくらいしつこいやつはどうやって振り切ったらいいの?

 めんどくさくなってしまった私は振り向いてなげやりに言った。

「何ですか?」

 男は、

「カラオケでも行きませんか?」

と言った。

「いいですよ」

 言葉とは裏腹に嫌そうな口調で言ってやったんだけど、気がついていないのだろうか?

「じゃあ、乗って」

と男はうれしげに言った。

 仕方なく車に乗ったら、予想通りの展開。

 車がすーっと入って行ったのは、カラオケボックスではなくてカラオケ付きのラブホだった。

 いつものことだから、どうでもいいやと思って冷蔵庫の中のビールを勝手に取り出して飲んだ。

 こういう時は私はシャワーは浴びない。

 万が一、シャワー浴びている間に現金持ち逃げされたりなんかしたら困るから。

 めんどくさいから服脱がされてもされるままでいる。

 まぐろでよければ、はい、どうぞ。

 早く終わってよとは思っているけど……。

 何やってるんだろうな~、私。

 ナンパ断るのがめんどくさくなってくると簡単に寝てしまう。

 ナンパしてくるような男は、とりあえずやれれば満足なんでしょ?

 終われば帰れるから、手っ取り早くことを済ませてさよならする。

 やってみたらまぐろだったからって失望するのはそっちの勝手だけどさ、私はやる気ないんだからあきらめて。

 私みたいな女にしつこくつきまとったって、いいことなんかないんだから……。

 なんで見ず知らずの人間と一緒にいて無防備に眠ってしまえるのかは私にはわからないけど、終わると眠ってしまう男は多い。

 一度肌を重ねたからといって赤の他人でしかないのにね。

 勘違いもはなはだしい。

 私は、男が寝てしまったら、そぉーっとベッドから抜け出してさっさと着替えて部屋を出て行く。

 そして、家に帰ったらお風呂で肌が赤くなるほどごしごしと体を洗う。

 洗いながら涙がこぼれてくるのは、自分の馬鹿さ加減に泣けてくるからだと思う。

 見知らぬ男に触れられたところも、舐められたところも気持ち悪くて仕方がなかった。

 いつも後から後悔するけど、私はめんどくさくなるとなげやりになってしまって、簡単に体を投げ出してしまう。

 でも、平気なわけじゃない。

 自己嫌悪と男性不振はひどくなるばかりで、まともに男と付き合えなくなっていた。

 いっそのこと、本当に何も感じなくなればいいのに……心も体も。

 その願いが叶った日、私は死んだ。

 いつものようにナンパされて無視してもしつこくついて来られたから、めんどくさくなってついて行きホテルに入った。

 そしたら、最中に男に首を絞められた。

 苦しかったけど、遠のいていく意識の中、私はこれでもうこんなことしなくても済むんだという安堵感を感じていた。(Fin)


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Posted on 2009/08/05 Wed. 02:05 [edit]

視線(前編) 

 背後からねっとりとからみつくような視線を感じて私はいらだっていた。

 毎日そんなふうに見られているとなんだか妙な感じがしてくる。


 あの視線に身につけているもの全部剥ぎ取られて私の裸を見られているような気がした。


 でも、怖くて振り向けない。


 中二になる時のクラス替えで今のクラスになってから感じるようになった視線。


 私は目が悪くて黒板の文字が見えないからいつも一番前の席を希望していた。


 みんなは最前列は嫌がるから私の希望はすんなり通っていつも一番前の席に座っていた。


 背後からの視線の候補なんて多すぎてわからない。


 なんとなく方向くらいは予想がつくのだけど誰だかわからないし、誰なのかなんてことも知りたくもなかった。


 なんとなくあの時のメンバーの一人じゃないかとは思っていた。


 一年の時、私が熱を出してしまって母が車で迎えに来るまで保健室で寝ていた時のことだった。


 昼休みに保健室の先生がちょっといなくなった隙を狙って男子が数人入ってきた。


 なにかガサゴソやっていた。


 最初はバンソウコウでも取りにきたのだろうと私は思っていた。


 でも、狙いは違うところにあったようだ。


 一人が、


「あった!」


と声をあげた。


「見せろよ」


と他の男子が言った。


 何かを回し見しているような様子だった。


「酒井のすげーぞ!胸囲88センチもある」


「あいつ乳でかいもんな~」


 あ、やだ…女子の身体測定のデータ見てたんだ。


 今、私の見られてる。


 見ないでよ~!


 保健室で寝てたのは私一人だけだったんだけどカーテン開けて、


「見るな!保健室の先生に言いつけるよ!!」


とは言えなかった。


 声だけでは誰なのかわからなかったし、しゃべってなかったけどなんとなく雰囲気的に話し声の人数よりも人いたような気がする。


 ただ身体測定のデータ見られただけなのになんだか自分の裸見られたみたいに恥ずかしかった。


 熱がさらに上がったような気がした。



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Posted on 2009/08/05 Wed. 02:19 [edit]

視線(中編) 

 中三になってもあいかわらず背後からの視線は私の身体にまとわりついてくる。

 

 私の身体はますます出るとこばかり目立つようになっていた。


 身長は中二で止まった。


 でも、もう165センチまで伸びてたから止まってくれてよかった。


 胸囲と体重の増加は止まらないけど……。


 私服で街を歩けばAVや風俗のスカウトマンに声をかけられる。


 体つきのせいもあるけど、私は親にも「老け顔」と言われるような大人顔をしている。


 小学生の時はバスを子供料金払って降りようとしたら、


「あんた高校生でしょ!ちゃんと大人料金払いなさい!!」


とバスの運ちゃんに怒られて渋々払っていた。


 どんなに説明してもランドセルしょっていない私は小学生になんか見えなくて信じてもらえなかったから……。


 中学入ってからはいつも妙な噂が流れていた。


『高校生と遊んでいるらしい』


『大学生と付き合っているらしい』


『あの体でやってないわけがない』


『男とっかえひっかえしてるらしい』


といった噂が人づてに耳に入ってきた。


「酒井かなり遊んでるらしいから、俺もお願いしてみようかな~」


なんて男子が廊下で笑いながら話していたのを耳にした時は、カッとなっておもわずそう言った男子につかみかかって殴ってしまった。


「勝手に体は人より育っちゃってるけど、私、全然遊んでなんかないし、彼氏だってまだいないし、やってなんかいないから!一体、私に何をお願いしようって言うのよ!?」


 何度も殴りながら私は泣きながらそう叫んだ。


 また、噂話が一つ増えた。


『酒井が男ともめて廊下で大乱闘したらしい。痴情のもつれか!?』


 最後の噂は根のあたりちょっとくらいは本当だけど、お約束で尾ひれがたっぷりついていた。


 でも、私の言ったことは伝わっていなかった。


 なぜに真実は伝わらない?


 私のことはもうほっといて欲しい。


 そんなに他人の噂話って楽しいもんなの?


 根も葉もない噂流して何が楽しいの?

 

 噂される本人の身にもなって欲しい。


 噂のおかげで告ってくるのは体目当ての男子ばかり。


 当然そんなやつらと付き合うわけない。


 振りまくった。


 おかげで私の中学校生活は灰色だ。


 好きな子はいたんだけど偶然私のことを友達と話してるの聞いちゃった。


 放課後、階段の近くの窓からぼんやり外を眺めていたら、好きな子の声が聞こえてきた。


「おれ、ああいう派手なのは苦手だな~。それに酒井と付き合ったりしたらいろいろ噂されそうだし……」


「そうだよな~。アレはおかず用の女だよな」


 階段の踊り場の方から下卑た笑い声が響いてきた。


 ショックだった。


 好きな子にまでそんなふうに思われていたなんて……。


 もう、中学で彼氏作るのはあきらめた。


 あいかわらず教室で感じる背後からの体中にからみつくような視線は気になってしょうがなかったけれども私は振り向いて見るのが怖かった。


 あんなふうに私のことを見ているのが誰なのかを知るのはおそろしかった。


 視線の主は何を想って私のことを見ているのだろう?


 噂で創りあげられた虚像の私?


 それとも本当の私を見てくれているの?


 とうとう私は振り向くことなく中学を卒業した。


 高校に入ってからは、もうあの視線がまとわりついてくることはなかった。


 時々、あの視線が懐かしくなる私はおかしいのだろうか?


 でも、あの視線は確かに私だけを見ていてくれたと思うから、振り向いて見ればよかったかも…と今頃になって後悔している。


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Posted on 2009/08/05 Wed. 02:23 [edit]

視線(後編) 

 高一の夏休み、渋谷でスカウトされた。


 どうせまたAVか風俗のスカウトだろうと思ったのだけれど、渡された名刺を見るとちゃんとした芸能プロダクションだった。


 有名なグラビアアイドルが在籍しているとこ。


 それでも、もしも事務所の名前騙ってだまそうとしている悪い人だったらヤバイから名刺だけもらって帰った。


「気が向いたら事務所に私あてに連絡下さい」


と言われた。


 いつも声かけられるあやしいスカウトマンやナンパ男と比べるとしつこくなかったし話し方も丁寧な感じだった。


 名刺の事務所の住所と電話番号が実在するとこと一致するかネットで調べてみた。


 一致した。


 本物だった。


 迷ったけど電話して名刺くれた人の名前を言ったらすぐその人が出た。


 言われるままに次の日、事務所まで行ってしまった。


 試し撮りされた時、一瞬あの視線を思い出した。


「おかず用の女」


という言葉も脳裏をよぎった。


 なってやろうじゃないのグラビアアイドル!


 私は『国民的おかず』になってやる!!


 そしたら、きっとあの視線の主もまた私のことを見てくれる。(Fin)



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Posted on 2009/08/05 Wed. 02:27 [edit]

脱線(お水時代の同僚の実話) 

 私は中三の時に家出してからずっと実家に帰っていなかった。

 15才で家出した私が21才で実家に帰ったのにはわけがあった。

 なぜ帰ったかというと本当に切羽詰まった状況に追いやられてしまっていたからだった。
                   
 札幌で住み込みで働いていた店にだまされて、自分一人ではどうしようもない状況に陥っていたし、住んでいた部屋から逃げ出してしまったら寝泊りする場所もなく、金もなかった私は実家に帰らざるをえなかったのだ。

 もうどうしようもない状況だったから、事務所であるマンションの一室に住み込んで風俗店で働いていたけれどもお給料未払いの上、部長の愛人にされかけていて逃げてきてしまったことなんかを親にバカ正直に話してしまった。

 未払い分のお給料を請求する電話をしたら、逆に荷物の保管料の支払いを迫られる始末で、かなりごたごたしたけど、

「未払い分の給料なんかはいらないから、荷物は返してくれ!」

と親が事務所に怒鳴りこんで私の荷物を取り返してきてくれた。

 家出した時には旅行カバン一つで家を出たのに、私の荷物は6年の間にずいぶんと増えていた。

 職を転々としていたけれども稼ぎのいい仕事をずっとしてきたから、服やブランド物のバッグなんかもけっこう持っていた。

 風俗やる前は、援助交際や水商売で食いつないでいた。

 最初のうちは援交でお金と寝場所を得ていたのだけれども、どうしようもなく男とセックスするのが苦痛になってきて、年齢確認のための身分証明書の提示を求めない店に18才と年齢を偽って入店して私はお水になった。

 なんでそんなことを知っていたかというとうちの親が水商売やっていたからだった。

 私が入店した店はマンション寮のあるとこだったから、自分で部屋を借りることができない家出少女だった私は住居も確保できて安心した。

 お金と寝場所を求めて援交し続けることは、レイプされたことがあり、その後輪姦もされて、怖くなってあの町から逃げ出すために家出してしまった私には苦痛だった。

 男性経験は、レイプと輪姦と援交しかなくて、彼氏とやるようなノーマルなセックスの経験は0なんて状態。

 まったく感じないわけじゃないけど、おそらく本当のセックスの快感を知らない私には見ず知らずの男と援助交際とか呼ばれている売春行為を続けるのは精神的苦痛が大きくて耐えられなくなっていた。

 思い返してみれば、私が最初に脱線した日は、中二のバレンタインデーだった。

 中二の時、バレンタインデーに塾帰りに当時好きだった男の子の家までチョコを渡しに行こうとしたら、暗い夜道で後ろからいきなり後頭部強打されて押し倒された。

 顔も知らない男にやられちゃって、道端で処女落っことしてきちゃった私のショックは大きかったけど、そんなこと誰にも言えなかったから、

「あれはなかったことにしよう」

と自己暗示かけ続けて、普通に学校生活送ろうと努力した。

 中三の夏休み、高校生になっていた中学の部活の先輩に、

「バンドやるから、おまえキーボードやらないか?」

と子供の頃からピアノを習い続けていた私は誘われてバンドやることにしたけれども、あれはやめておけばよかったのかも?

 親が「音大出のお嬢さん」というのに憧れていて、人よりピアノが弾けてしまっていた私をゆくゆくは音大に進学させようとしていたことにあの頃は反発を覚えていて、ピアノを弾くことは楽しくなくなっていた。

 親の思惑とは違うバンド活動でキーボード弾くのは、同じ鍵盤楽器であっても楽しんで弾けたからバンド活動にのめりこんでいった私は、一人暮らししているメンバーの部屋にみんなで集れば、泊まって平気で高校生のおにーさんたちと一緒に雑魚寝していた。

 バンドの仲間だと思っていたし、複数人数で泊まっているから、おかしなことはしてこないだろうと考えていた私は浅はかだった。

 ある日、寝てたらなんか違和感感じて起きたらやられちゃってたし、私が起きた後も次々まわされた。

 仲間と信じていたバンドのメンバー全員に輪姦されちゃったら、さすがに私も男性不信に陥った。

 見知らぬ人にレイプされてしまったこともショックだったけど、それよりも顔見知りどころか仲間と信じていた人たちに輪姦されてしまったことの方がショックだった。

 踏みにじられたのは「貞操」や「心」だけじゃなくて「信頼関係」もだった。

「もう男なんて信じられない!」

と思ったのと同時に、

「またこの人たちと会ったりしたらやられちゃうかもしれない」

とも思ったら私は怖くてたまらなくなった。

 またこんなことが繰返されるのは耐えられないと思った。

 私は家に帰ったらシャワーを浴びた後、身支度して旅行カバンに必要と思われる物を詰めこみ衝動的に家出した。

 貯金通帳には貯金がいくらか貯まっていたから、よその街へと電車に乗って行った。

 しばらくの間は昼間はファーストフードやコンビニで本でも読みながら時間つぶしして、夕方銭湯に行き、夜はカラオケボックスに寝泊りするといった生活をしていた。

 だけど、貯金がつきて所持金も残りわずかになって今夜の寝場所にも困った時、私は声をかけてきた男について行ってホテルに入った。

 初めて援交した時の私の値段は5万円だった。

 お金があるうちは援交はやらなかったけど、所持金と寝場所に困るようになるとまた援交やった。

 1万円から5万円の間で金額は一定しなかったけど、せっぱつまっていたから確実にお金と寝場所を得られればそれでいいという感じで私は売春し続けた。

 そのうち、どうしようもなくセックスするのも男に触られるのもイヤになってきた頃にお水になった。

 お水の時はけっこう好き放題してた。

 お客からのプレゼントのブランド物はほとんど質屋に持って行って換金していた。

 遊びまわっていて、ホストクラブなんかも行った。

 そのうち彼氏ができて、初めて彼氏とのセックスっていうのを経験したものの、私の身体はほとんど感じなかった。

 当然、イクわけもない。

 私はベッドの上で演技することなども知らなかったものだから、

「まぐろの上に不感症じゃやってらんねー」

と彼氏に言われてショックを受けた。

 その彼氏と別れてからは、ホストクラブにせっせと通った。

 彼氏よりもホストの方がやさしかったからだ。

 お金で買うやさしさでしかなかったのだけれどもないよりましだった。

 でも、そのうちけっこうつけがたまってしまって、つけの回収をしようとホストは今の店辞めて風俗で働くことを勧めてきた。

 18才になっていた私は、ファッションヘルスに転職した。

 マンション寮に入居して働いて、お店転々としながら21才まで本番なしの風俗店で働き続けた。

 風俗は通常はお給料は日払いで全額支払われるのだけれども、最後に働いた店だけは東京の本店から毎月銀行振込されるようになっていた。

 手元に置いておいて愛人にするつもりで、マンションにある事務所内の一室に私を入居させた部長の魂胆がわかった頃は遅かった。

 仕事でもたくさんイヤな思いして我慢してるのに、仕事終わってからは眠ろうとベッドに入っていた私の布団の中に部長が潜りこんでくるのは耐えがたかったし、お給料の振込みが滞るようになって、私はお金にも困るようになった。

 食事は出されていたから飢えることはなかったけど、携帯料金の支払いとか女の子が使用する必用な消耗品…生理用品やストッキングや化粧品さえも買えない状況に陥った時、たまたまもらったお客からのチップ一万円で電車に乗って実家まで逃げ帰ってきた。

 ごたごたが落ち着いた後の私は、実家ではたまにピアノ弾いてみているけど、すっかりなまってしまっていて毎日練習していた中学生の頃よりも腕は落ちていた。

 時々「もしもあの時レイプなんかされなかったら?」とか「バンドの仲間に輪姦されたりなんかしなければ…」とか考えてみることがある。

 あれが私の脱線のきっかけになったのだけれども、私はピアノは当時は弾けていたけど頭は良くはなかったから、まともに受験して中学卒業してから高校行ったとしても音大になんか入れなかったとは思う。

 だけど、今の私の最終学歴は中卒だからできる仕事は少ないし、私は高収入の夜の仕事しかしてこなかったから、実家に帰ってもやっぱり水商売の求人募集とかをながめてしまっている。

「男とセックスしないで済む仕事ならなんでもいいや」

 おもわずそうつぶやいてしまった言葉は本音。

「男なんて嫌い!」

 心の底からそう思う。

 だから、私はもう二度と援交も風俗もやらないと思う。

 でも、脱線してしまった私の人生は軌道修正きくものなのかは私にはわからない。(Fin)

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Posted on 2009/08/05 Wed. 22:48 [edit]

人工授精 

「おそらくご主人の方に問題があるかと思われますので、一度検査を…」

と医師に告げられた時、私は「やっぱり…」と思った。

 結婚して6年ずっと避妊してなかったのに子供が出来なかった。

 私は、結婚前に検査を受けていて問題ないことはわかっていたのだけれども、もしかしたらこの6年の間に何か異変が起きて、子供が出来ない状態になっているのかもしれない…と不安になって産婦人科の検査を受けに行った。

 その結果、私の方はなんら問題なしとわかったのだけれども、なかなか夫に「病院へ検査に行って」とは言い出せなかった。

 夫が子供の時におたふく風邪にかかって高熱出したことは知っていた。

 もしかしたら…という思いはあった。

 でも、検査の結果、可能性0とわかってしまったら、私はどうしたらいいのだろう?

 夫はどれだけショックを受けるだろう?

 しばらく言えずにいたけれど、お義母さんに、

「孫の顔見るまでは死ねないわ~」

と言われた時に、

「私は検査に行って来たら問題ないと言われたんだけど、でも…」

 そう言いかけて私は泣いてしまった。

「もしかしたら、あの子の方に種が無いのかもしれないね~。あたしの方から病院行くように言っておくから、あんたが泣くことないよ」

と伯母さんは言ってくれた。

 私と夫はいとこ同士で結婚していたから、家族はみんな血のつながった身内だった。

 夫は、お義母さんに言われて病院へ検査に行った。

「無精子症だった」

と無表情で帰ってきた夫にそう告げられた私は何も言えなかった。

 私は最悪の結果は覚悟していたし、それを告げられても離婚するつもりはなかった。

 子供のいない人生でもかまわないと思っていた。

 でも、夫は小さいけれども会社の跡取息子で次期社長。

 皮肉なことに子供の出来ない夫の方が後継ぎを必用としていた。

 家族会議の結果、人工授精で子供をつくることに決定した。

 私と夫はいとこ同士でお義母さんは私の父の姉で私の伯母さん。

 伯父さんは婿養子だけど親戚だから身内。

 本当は父が会社を継ぐはずだったのが、私が母のお腹にいるうちに事故で亡くなったので、伯母さんが伯父さんを婿にもらって会社を継いだ。

 うちの家系はなぜか身内で結婚する傾向にある。

 財産がよそに流出するのを防ぐためなんて計算なんかじゃなくて、好ましく思い魅かれあったのがたまたま身内の異性であっただけ。

 比率的に私と夫の遺伝子はかなりの割合で合致するはずで、私がみごもった子供であれば種は違っても夫と同じ遺伝子も多少は持ち合わせて生まれてくるはずだった。

 どうにもならないことだから、私は同意したけれども、顔も名前も知らない他人の精子を植え付けられて子供を産むことには不安感があった。

 もしも見知らぬ精子提供者とそっくりな顔をした子供が産まれてきたとしても私はそれを知る由も無い。

 得体のしれない不安感に襲われて、私は予約日の前日、出会い系サイトで知り合った人と会ってしまった。

 予定通り、人工授精は病院で受けてきたけど、どちらが当たっているかはわからない。

 もしかしたら、病院の人工授精の前日に私が自然受精作業してきた方のが当たっているかもしれない。

 私が出会い系サイトで会って来たのは、夫に似ている男性だった。

 私はどうせ他人の子供を産むのなら夫に似た子が欲しかったから。(Fin)

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Posted on 2009/08/07 Fri. 00:02 [edit]

片付けられない女 

 学生時代、家庭科の成績はずっと10だったし、料理、裁縫、洗濯、掃除は一通りまともに出来ていると思う。

 だけど、あたしには致命的に苦手なことがある。

『整理整頓』

 これだけはどうしても出来ない。

 掃除と片付けは別物だと思う。

 キッチンもバスルームもトイレもいつもきれいに掃除している。

 水回りはバッチリ。

 なのに、なんであたしは部屋の片付けが出来ないのだろう?

 休みのたびに一日がかりで片付けて掃除するのだけれども、一週間もたたないうちに部屋の中は他人様にお見せ出来ないような状態になってしまう。

 ゴミはきちんと分別してゴミの日に毎回捨てに行っているから、部屋の中にある物は間違いなく必要な物ばかりなはず。

 でも、どれもこれも今すぐ必用な物に思えて、しまうことが出来ずにいる。

 友達の部屋に行ったら、まるで雑誌にでも出てきそうな物があまり見あたらないようなシンプルでおしゃれな部屋だった。

 友達は、一体どこに必用な物を隠しているのだろう?

 別のキティラーの友達の部屋に行ったら、違う意味ですごかったけど、ちゃんと整理整頓されていた。

 あれは、陳列と言うのが正しいのかな?

 キャラクターグッズが壁一面に置かれた棚にきちんと並べられ、埃かぶらないようにビニール張りまでされていた。

 ああいうことがあたしには出来ない。

 読書量すごいのに、本棚一つ持っていないという点も問題有りなのかも?

 今は、収納できるものはダンボール箱くらいしか持っていない。

 たぶん、必用な収納が足りていないのだと思うのだけど、何を買ってきてどう収納すればいいのかわからない。

 実は、あたしは地図が読めない女でもある。

 よく道に迷う。

 右脳がうまく作動していないような気がしている。

 空間把握能力が致命的に欠落しているような気がしてしょうがない。

 一人暮らししていて誰も部屋の中に入れなければ問題ないのだけれども、彼氏があたしの部屋に遊びに来たがっているものだから困っている。

 今まではずっと彼氏の部屋に遊びに行ってはご飯作ったりしていて、あたしの部屋にはあれこれ理由つけて入れなかったんだけど……。

 そしたら、なんか誤解されてしまったようで、

「本当に他に男いないなら、部屋に入れろ!」

とまで言われてしまった。

 他に男なんているわけないよ~。

 この部屋見たら、たいていの男は逃げてくよ。

 長い間、彼氏出来なかったのも、彼氏出来ても続かなかったのも、結局は部屋に入れられない状態だったからなわけだし…実家にいた頃なんかはもっとダメダメだった。

 あたしの部屋だけじゃなくて、玄関からしてもうアウトな感じで。

 片付けられないのはあたしだけじゃなくて、お母さんもだったからだ。

 そして、片付けられない女に育てられた娘は、やはり片付けられない女になっていた。

「休みの日まで待って」

と言っても聞いてくれなくて、金曜の夜、彼は強引にあたしの部屋までやって来た。

 あたしは、自分の部屋の鍵を開けた瞬間「もうこれでおしまいだ~」と絶望的な気分に陥った。

 金曜の一週間の中でピークに散らかっているこの部屋見たら、もうあたしとつきあい続ける気なんか失せるに決まっている。

 あたしは、彼に振られると思った。

 それなのに、なぜか彼はあたしの部屋を見て大爆笑した。

 おもいもよらないリアクションにあたしは呆然としていた。

「…なんでこれ見て笑えるのよ?」

「これじゃあ、他の男部屋に入れたりなんか出来ないよな~。ビニール紐とハサミ持って来いよ」

 あたしがさっさとビニール紐とハサミを他人様には一見ゴミ山のように見えるらしいいつもの置き場所から取り出して来たら、

「これだけ散らかっていてもどこに何置いてあるのかわかるなんて、おまえ、母さんと同じだ~!」

と言って彼はまた笑った。

「俺の母さんは家事はちゃんと出来るんだけど、片付けだけは致命的にダメでさ、おやじと俺が片付けしてたんだよ」

 そう話しながら、彼は手際よく雑誌の山をビニール紐でまとめていった。

「でも、どんなに散らかしてしまってもどこに何があるのかは母さんはわかっていて、俺が片付けたら『どこに何があるかわからなくなった!』とか文句言っていた。まさか彼女までご同類だったとは思わなかったからさ~、ウケた」

 片付けられない女の息子は、なぜか片付け上手な男に育っていた。

 そういえば、彼の部屋はいつもきれいに片付いていた。

 あたしが片付けたら丸一日かかるのに、彼は一時間であたしの部屋を片付け終えてしまった。

「明日は、ホームセンターに本棚と収納グッズ一緒に買いに行くぞ」

と言った後、

「腹減ったから、メシ作って」

と彼は言った。

 どうやら、あたしは振られはしなかったようだ。

「これからは片付けに来てやるから、合鍵よこせ」

とも彼は言った。

 彼のお母さんも「片付けられない女」だったことにあたしは心底感謝した。(Fin)

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Posted on 2009/08/07 Fri. 13:06 [edit]

解放を求めて(前編) 

 昔、合法ドラッグと呼ばれていた物の中で、クリーナー系(吸引系ドラッグ、揮発性物質)は「ラッシュ」が日本では最も広く乱用されていた。
 亜硝酸エステルを主成分としているので、ニトライト系・亜硝酸エステル類とも呼ばれる。
 気化した薬物を鼻から吸引するそれで、性的興奮が高まるという者が多く、セックスやSMプレイ時に使用する者も多かった。
 使用により血圧低下、失神などが起こるのを快感のあまり失神してしまったかのように錯覚していた使用者もいて、本来は依存性はないはずのそれをセックスやSMプレイの際に使わずにいられないなんて依存者もいたくらいだった。
 彼もそうだった。
 調教師の俺のところには、女だけではなく男に調教されたいという男もやって来る。
 あまりおおっぴらに活動できることじゃないから、脱法ドラッグではなくまだ合法ドラッグと本当は違法なそれらが呼ばれていた当時、俺はカウンター席だけの小さなSMバーの雇われマスターをしながら、たまに調教依頼を受けて調教師の仕事をしていた。
 安全にギリギリのラインのプレイを楽しみたいMたちは、調教の知識と技術に長けた者に調教されたがる。
 素人エセサド男に酷い目にあわされて、PTSDやうつ病を患ってしまっても、SMはやめられないという悲惨なM女もいた。
 SM業界には、PTSDやうつ病持ちがけっこういる。
 PTSDやうつ持ちはSもMも女の方が多いか?
 男のM客は、変態でも心身共に健康な輩が多いんだが……。
 日頃縛られている心を解放する方法として、SMプレイを求めることもある。
 体を縛られることによって逆に心は解放できることもあれば、限界まで鞭打たれることによってやっと封じ込めている本当の自分を解き放つことができるという者もいる。
 普段の生活で心を窮屈なところに閉じこめておかなければ生きていけない、そういう人たちには解放する時間も必用なのだ。
 一人で自分の心を解放する方法をみつけられなくて、女王様や調教師に調教を乞う場合もある。
 いろいろ解放の方法はあるが、SMプレイでしか解放されない人たちには、生きていくためにそれは必要不可欠であることもある。
「調教して欲しいんです」
と閉店時間まで黙って飲んでいた彼は他の客が帰り一人になったらぽつりとそう言った。
 俺は、躊躇した。
 なぜなら、彼の鼻周辺はひどくただれていて鼻腔はとけて原型とはあきらかに異なるであろう形になっていたからだ。
 噂では聞いていた。
 吸引系のドラッグを多用・乱用していると「ただれる」「とける」といったことは。
 でも、実際に見たら動揺した。
「きみ、ドラッグ常用してるね?俺の調教ではドラッグは使わないことにしている。それでもよければ調教するのはかまわないけど?」
と平静装って言ってみたものの、
「はい、ラッシュは使いません。だから、お願いします」
とはっきりと答えた彼をどうしたものかと内心迷った。
 必死ですがりつくような眼差し。
 どこにも行き場がなくなって救いを求めて流れ着く者の目だ。
 俺は彼の調教依頼を引き受けることにした。
 あんな目をされちゃ放っておけない。(続く)

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Posted on 2009/09/18 Fri. 07:02 [edit]

解放を求めて(中編) 

 店を閉めた後、近くにあるSMホテルへ二人で向った。
 店の裏はホテル街で普通のラブホは山ほどあるが、SM専用の設備があり男同士で入れるホテルは一軒しかない。
 男女のカップルより部屋を汚さないし、ホテルの備品をパクッていくような真似もしないのに、気の毒なもんだよな。
 ただ、同性愛者であるというだけで差別される。
 こんないかがわしい場所でさえご利用拒否されるなんて……。
 常識のないあるスカトロマニアのカップルが、壁にまで汚物塗りたくっていったのが問題になって、ここらじゃSM関係者も同性愛カップルも出入り禁止のホテルがある。
 そんな非常識なことをやるやつはごく一部なんだが、一般人にはスカトロマニアもSMも同性愛もみんな一緒くたに「変態」と思われているんだからしょうがない。
 ホテルに入る俺たちの姿を見た通行人は、「あ、ホモのカップルだ!」とでも思うのだろう。
 誤解されて困る相手もいないものだから、俺にはどうでもいいことなのだが。
 プレイルームをどれにするか選んで部屋に入ると、それぞれ別々にシャワーを浴びた。
 俺は、プレイは必ず清潔にしてから行う。
 病気予防のためだ。
 プレイのやり方によっては、入るとまずいところに雑菌が入ることがある。
 シャワーの後、お互いガウンを着たままカウンセリングをして、どういうプレイを希望しているのかを俺は彼から訊きだした。
「フィストファックして欲しいんです」
と彼は言った。
 ゲイの彼は、別れた彼氏がサドでフィストまで無理矢理やられてしまったこと、それに耐えるためにラッシュを乱用したことなどをぽつりぽつりと話した。
 俺は、プレイでドラッグを使わない主義なのだが、SM関係者以外に、ゲイにもハードなプレイに合法ドラッグと呼ばれていたそれを使用する連中がいるのは知っていた。
 そんなものに頼らなければ飛ばしてやれないのは三流調教師なのだが……。
 依存性は無いとは言われているクリーナー系ドラッグは、思い込みによる依存が問題となっている。
「それを使わなければ、よくなれない。イケない」
という思い込みが更なる心の自縛を強くして、それ無しでは飛べなくしてしまう。
 お手軽な一時の快楽ってやつは、本当に求めている解放への妨げになることもある。
 プレイを開始した俺は、バスルームでぬるま湯とグリセリンで作った浣腸液を注入して浣腸し、次に適温のお湯で浣腸を二度、その次はシャワー洗浄で彼の内部をよく洗浄した。
 そして、部屋で彼を四つん這いにさせておいて俺はプレイ用の革のベストとパンツに着替え準備をした。
 視覚的にもバスローブよりはこっちの方が興奮するし、俺自身もこのコスチュームを身につけることによって気持ちの切り替えがしやすくなるからだ。
 鏡張りの部屋でわざわざ鏡の壁の真ん前でプレイを始めた。
 その手のプレイが好きなやつなら何もしなくてもそれだけで興奮して反応する。
 彼の股間を見ると既に完勃ちのそれはビクリビクリと震えていた。
 開発されただけじゃなく元々素質有りだったんだろう。
 アナル向きの長時間乾きずらいゼリーを塗り込もうと手術用手袋をはめた右手の人差し指をそこに入れた瞬間、あまりにも抵抗なくすんなり入ってしまってギョッとした。
 ゆるすぎる。
 二本、三本、四本と次々指を増やしても余裕で入る。
 男の指四本も受け入れるのは、本来ならきつい場所なのに……。
 ここまでゆるくなっていれば、もう普通のプレイでも、国内産のおもちゃでも、物足りなくなっているだろう。
「全部入れて下さい」
と彼は言った。
 触れてもいないのにギンギンになっている彼の前の方からは、先端からたらりたらりと垂れている透明な糸が床を濡らしている。
 俺は、親指を最後に入れた。親指の付け根部分で引っ掛かりながらも、ぐりぐりとそこをゆるめながら埋め込んでいく。
 そこさえ通り抜けてしまえばフィストはそう難しいものではない。
 無理矢理やられて括約筋が切れてしまったため、紙おむつが必要不可欠となった哀れなマゾの話も聞いたことはあるが……。
「あぅうう…うぐぅううっ!はぁあああああーーー」
 苦痛を和らげるために息を吐こうとしているが彼は苦しげだった。
 だが、時折、陶然とした表情が垣間見られる。
 これは真性Mか?
 気の毒に……ゲイで真性マゾヒストなら満足させてくれる相手にはそうそうお目にかかれないことだろう。(続く)

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Posted on 2009/09/18 Fri. 18:12 [edit]

乙姫奇憚 

「やったら女になる~!」

 目覚めた男の第一声はそれだった。

 その表情はなにか恐ろしいものでも見たかのようだ。

 難破して生存は絶望的と思われていた漁船の乗組員の一人が、三ヶ月後地元の海岸で発見された。

 最初に運び込まれた病院では、

「乙姫様を抱いた仲間は女になった」

などとわけのわからないことを話していた。

 しかし、精神科のある総合病院に移されてから、ぱったりその話をしなくなったため、夢でも見たのだろうということにされたものの、空白の三ヶ月の謎だけが残った。

「何も覚えていない」

の一点張りで当事者が語ろうとしなかったからである。

 それから五十年後、

「あれは竜宮城だったのかもしれんなぁ」

とじーさんになった男はまだ幼い孫にぽつりと言った。

「りゅうぐうじょう?」

 三つやそこらの孫が、

「うらしまさん?」

と言うと、

「そうだなぁ、じーちゃんは浦島太郎になったのかもしれん。ただ、乙姫様とはやらなかったから男のままで帰って来れた」

と男は答えた。

「じーちゃん、おとひめさまとなにをやらなかったの?」

「おまえはまだ知らんくていいことだ。男と女の仲になるってことだが、乙姫様とそうなってご懐妊させると男は女になっちまう。そうなると次の乙姫様として女になった男が男相手に子作りしなければならなくなる。じーちゃんは女になった仲間をどうしても抱けなくて逃げ出して来た」

 男がそう話すのを孫は不思議そうな顔をして見ていたが、

「おみやげのたまてばこは?」

と尋ねてきた。

「じーちゃんは逃げ出して来たから、そんなものもらっとらん」

と男が答えると、

「だがしやさんのおねーちゃんは『玉手箱持ってるのよ』っていってたよ」

と孫は言った。

「そうか」

と子供の戯言と聞き流そうとしたら、

「それとね、ようへいさんによくにてるねって、ぼくいわれたよ」

という孫の台詞に男はギョッとした。

 男の名は洋平。

 しかし、昔からある駄菓子屋に、最近住み込みで働くようになったとかいうべっぴんさんと洋平は面識がない。

 なにやら嫌な予感はしたものの、気になった洋平は駄菓子屋に行ってみて愕然とした。

 そこにいたのは、なんと乙姫様の身代わりにされた仲間のマサルだったのだ。

「お、おまえ…どうして?」

「俺らと似たような形で種付け男がやってきて、励みに励んでなんとか子供産んだら帰してもらえたんだ。あれから五十年も経っててびっくりしたよ。けど、ここのおばちゃんだけはわかってくれて、住み込みで店番させてくれてるから助かってる」

というマサルの顔を呆然と見つめていた洋平は、

「男には戻れなかったのか?」

と言った。

「男に戻れる方法もあるらしい。でも、女の方が生きやすい世の中になってそうだからこのままでも別にいい。慣れれば女の体で抱かれるのもなかなかいい具合だしな。おまえは『絶対いやだ』と逃げたけど、俺、モテるから男選び放題だしな」

と笑うマサルを気味悪そうに洋平は見た。

 今のマサルの見た目は二十代前半のきれいな娘さんだ。

 しかし、元のいかつい漁師の男のマサルを知っている洋平には、どうにもこうにも性的対象としては見ることが出来なかった。

 五十年前逃げ出したのはそれが理由だった。

「おまえ、玉手箱持ってるんだって?」

 話題を変えようと洋平がそう尋ねてみると、

「持ってるけど……開けてない」

とマサルは答えた。

「開けたらよぼよぼババアにでもなりそうだろ?」

「そうかもな。まあ、ちょっと見せてみろや」

と洋平が言うとマサルは奥に下がって黒塗りの箱を持って来た。

 いかにもな感じの箱だが、振るとカラカラと何かが転げる音がする。

 好奇心から洋平は箱の蓋を開けて見てしまった。

「あっ!」

 マサルはあわてたが、昔話のように白い煙りは出て来なかった。

 箱の中には何か干からびたものと白い紙が入っていた。

 紙には、

『玉にお湯をかけて三分間蒸らして戻したら股間に付けて下さい。男の体に戻ります。 初代乙姫』

と書かれてあった。

 玉手箱の玉の意味を理解した洋平とマサルは、おもわず顔を見合わせてしまった。

 そして、しばらくの間、玉手箱の中の干からびたそれを見つめていた。

 が、なぜかマサルは試してみることなく蓋をして、その後も駄菓子屋の看板娘をしている。

 マサルの男グセの悪さは聞こえてくるのだが、

「あれは本当は男だぞ」

とは洋平は言えずにいる。(Fin)



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Posted on 2010/01/23 Sat. 15:53 [edit]

稼ぐ妊婦 

 誰も友達も知り合いもいないこの土地にやって来て、私は人には言えない仕事をしている。

 もう6ヶ月になった妊婦とあきらかにわかるお腹を抱えて仕事している。

 父親はいるけど、いない。

 彼には妊娠したこと言わずに夜逃げするようにしてこの街へやって来たから。

 彼は独身だけど、子供できたことを喜んでくれるかはわからなかった。

 私の方も彼のことは好きだったけど、結婚とかは考えられなかった。

 お互い誰とも結婚なんてする気がなかった。

 結婚に夢を持てなかった。

 家庭環境のせいにばかりもできないけれども、結婚とはつらく耐え忍ぶものという暗いイメージができあがっていた。

 私も彼も「結婚=幸せ」と思えない人種だった。

 似たもの同士でつきあっていて気がラクではあったのだけれども、計算違いに子供ができてしまった私はかなりあわてた。

「親にばれる前に逃げなくちゃ!」

 そう思った私は誰にも言わずに逃げてきてしまった。

 妊娠したことわかったら、私はあらゆるところでカードを作った。

 クレジットカード、サラ金のキャッシュカ-ド、限度額いっぱいまで作れるだけ作ってから会社辞めた。

 サラ金は最初に申し訳程度借りてすぐ返して利息の付き具合を様子見した。

 本当は、その時点で借りる必要性はなかったのだけれども、借りる必要性のある時にすぐに借りられるように準備した。

 無職じゃカードは作れない。

 一応貯金はあるけど、引っ越してすぐに働けるかどうかはわからず不安だった。

 つわりとかがあるかもしれないし、妊娠初期は流産しやすいとかいうから、身体に負担のかかるような仕事はできない。

 私は一人で産む気でいた。

 親にも彼にも友達にも誰にも言わずに遠くに行って産む気でいた。

 一人で育てられるかは自信はなかったけれども、とりあえず産んでしまえば、いくらなんでも、

「殺せ」

だの、

「捨てろ」

とまでは言われないと思う。

 私は彼や親に、

「堕ろせ」

と言われるのが怖くて逃げて来てしまったのだ。

 怖くて怖くてちゃんと話すことができなくて、こんな遠い街まで逃げてきてしまった。

 最悪の場合、出産してから働けるようになるまで、貯金が尽きたら借金してでも食いつなぐ気で金策だけはなんとかしておいて……。

 私は、こういうところには妙に頭が回る。

 短期間でバタバタと計画的夜逃げをやらかして私はこの街へやって来た。

 コンビニで目についた求人情報誌全部買って、とりあえず入居したウィークリーマンションの部屋で雑誌めくって働けそうな仕事を探した。

 最初は、自宅で無理なくできるので、テレフォンレディーやチャットレディーのバイトをした。

 びっしりパソコンに向っていないとある程度の収入にはならない上に、かなりストレスがたまった。

 でも、お酒を飲むわけにもいかず、ストレス過食に走った。

 おまけに、私のつわりは食べていないと気持ち悪くなるというタイプのつわりで、起きている間はひっきりなしに何か食べるようになってしまっていた。

 バイト代だけではやっていけず、貯金を切り崩しながら生活した。

 5ヶ月に入って、医師に、

「もう少し動いた方がいいですよ。妊娠中毒症予防のために太らないように気をつけて下さい」

と言われて、私はまた求人情報誌を買いこんできた。

 けれども、すでに妊娠前の体重から10キロも太ってしまっていた私は、誰が見ても妊婦とわかるような体型になっていたため、普通の仕事はみんな断られてしまった。

 今はお酒飲めないから水商売はムリだし……。

 悩みながらも高収入バイトの雑誌を見ていたら、気になる求人広告を目にした。

『妊婦さん大募集!身体に負担をかけるようなサービスは一切ありません』

といった文句が目に入ってきた。

 それは、マニア向けのデリバリーヘルスの求人だった。

 風俗というのはやっぱり気持ちの上では抵抗感はあったのだけれども、できる仕事ならなんでもやっていかないとこの先やっていけないとも思った。

 出産後、子供抱えて仕事していかなければならないけど、自分一人で暮らしてきた今までよりも間違いなくお金も手間もかかる。

 仕事の選り好みなどしている場合ではなかった。

 私は、面接に行ったその日から仕事をしてしまった。

 世の中には、不思議なことに妊婦や母乳の出る女性とのプレイを求める男性がいる。

 店の方では、そういったお客さんたちのことを『マニア』と言う。

 お客さんが、何が良くて妊婦との触れ合い求めるのかは私にはわからない。

 ただ時間いっぱい私のお腹を撫でていたおじさんもいた。

 妊婦の身体を見て触ること自体に満足感を得る人が多いようだった。

 だから、風俗店でもまるっきりの素人で妊婦の私はほとんど何もサービスすることなく、ベッドの上に横たわっていればよかった。

 私は、1週間働いてみて出産直前まで『妊婦プレイ』で稼げそうな気がしたので、店のマンション寮に入居させてもらった。

 ウィークリーマンションの家賃は高かったけれども、夜逃げしてきてしまった私には保証人頼める人がいなくて、普通のマンションやアパートは借りることができなかったから……。

 出産後も、身体が回復したら、今度は『母乳プレイ』の方で仕事できることを聞いていたから、子供が乳離れする頃まではそれで稼げる。

 私が入った店はいくつか違った趣向のデリバリーヘルス店を系列で経営していたので、身体の状態によって違う趣向の店で働くことも可能だった。

 私は、いつでも出かけられるように支度しておいて寝て寮待機した。

 仕事が入ったら寮の前まで迎えに来た送迎の車に乗りこんで、お客さんの元へと運ばれて行った。

 次の指名予約が入っているとちょっとの間だけ事務所の待機部屋で待機して他の女の人たちと会話した。

 妊婦や産後の人ばかりだったから、いろいろと出産関係の情報や母子家庭の手当てなどについて話を聞けた。

 夫のいる人もいたけれども、シングルマザーも何人かいたから、話聞いてくるだけでも参考になった。

 だけど、私は基本的には寮待機していた。

 6畳ほどの狭い部屋に何人も待機しているとなんだか息苦しかったから。

 普通の体型の人であっても狭い部屋に複数の他人と一緒というのは、落ち着かないような気もしたけど、お腹の大きい妊婦や産後の太り気味の体型の女性ばかり何人もいれば、なおさら暑苦しく息苦しい感じがする。

 寮とはいえ、電化製品も生活用品も一式そろった1ルームのマンションの部屋で、一人で寝ている方が気が休まった。

 仕事内容はきつくはなかったけれども、やはりお客様相手の仕事だから気はつかった。

 仕事中も待機中も気をつかっていたら、神経やられてしまう。

 仕事の方はなんだか不思議な感じだった。

 指名してくれるお客さんの中には、

「赤ちゃん産まれたら着せてやって」

とベビー服をプレゼントしてくれる人もいた。

 次第に大きくなっていく私のお腹をうれしげに撫でていたおじさんは、いつもわざわざ買って用意していたであろうフルーツをおみやげに持たせてくれた。

 風俗のお客さんのはずなのに、なんだか親戚のおじさんやおじいちゃんみたいに私の身体をいたわって心配してくれていた。

 私は泣いてしまった。

「なんで私なんかにこんなに親切にしてくれるんですか?」

と泣きながらいつも指名してくれるおじさんに訊いた。

「おじさんはね、子供欲しかったんだけど奥さんが流産してから子供産めなくなっちゃってね。奥さんのことは愛してるんだけど、あの時の子供が順調に育っていったらどんな風にお腹がふくらんでいったんだろう?と思ったら見て触ってみたくなったんだ。でも、こうやって大きくなっていくお腹見て触って中で赤ちゃんが動いてるのを感じたら、自分の子供じゃないけど孫くらいにはかわいくなってきて、あんたが元気な赤ちゃん産むのが楽しみになってきた。あんたがいう親切というのは自分の楽しみでやっていることだから」

というおじさんの答えを聞いて、私はようやく自分がとんでもないことをしてしまったことに気がついた。

 自分一人でなんとか産むことばかり考えて、もしかしたらうれしそうに私の大きくなったお腹を優しく撫でてくれるこのおじさんみたいに、私が赤ちゃん産むのを楽しみにしてくれたかもしれない人たちから逃げ出して来てしまったのだ。

 何も言わずに逃げて来てしまった。

 今頃になって後悔しだした。

 とんでもなく身勝手なことをしてしまった。

 妊娠したこと言ってみて、

「堕ろせ」

と言われたらそれから逃げればよかったのだ。

 おバカ過ぎる自分に涙が出た。

 でも、もうこの状態で飛行機乗って移動するのは難しい。

 帰れない。

 予定通りにいけば来週末に私は出産する。

 遠距離移動するのは今は無理。 

 それでも、仕事終わったら、電話してみようと思った。

「私、もうじき赤ちゃん産みます」

 いきなり失踪した私がそう言ったら、彼も親もなんと言うだろう?

 だけど、私はもう何言われてもいいやと思った。

 誰に何言われたって、私の赤ちゃんはもうじき産まれてくるのだから……。(Fin)

Posted on 2010/03/05 Fri. 03:59 [edit]

サービス 

「俺、もうダメ…」

と言うと彼はいきなり路上でしゃがみこんでしまった。

 明け方まで二人で飲み歩いてしまったら、飲み過ぎてしまった彼は足取りもおぼつかなくなってしまい、私は彼に肩を貸して支えるようにしてすすきのの路地を歩いていた。

 飲食店から出されたゴミ袋にたかって、食い散らかしているカラスたちがそこいら中を飛び回っている。

 7センチヒール履いていると彼と背丈があまり変わらない体格の私は、なんとか酔っ払い彼氏をもうじき始発の出る地下鉄の駅まで送って行こうとしていたのだけれども、しゃがみこまれてしまったらもうどうにもできなかった。
 
 私はあきらめて渋々手を上げてタクシーを止めた。

 そして、彼と二人でタクシーに乗り込んで、すすきのからタクシーワンメーターの距離にある私の部屋まで帰った。

 彼は休みだけど私はその日は午後からの出勤シフトだった。

 だから、彼には自分の部屋に帰ってもらいたかったのだけれども、しゃがみこんでギブアップされてしまったら不本意ながらお持ち帰りしてやるしかなかった。

 けれども、私は彼を連れ帰ったことをすぐに後悔することとなった。

 部屋に入ったらさっさと寝ようと思って、布団敷いて、彼のスーツを脱がせてネクタイ解いてYシャツ脱がせて寝かせてから、着替えようと私が服を脱ぎ始めたら彼が手を伸ばして触ってきた。

「やだ!私、今日は午後から仕事なんだからおとなしく寝てよ」

と私が拒否しても彼は触ってきて、

「ちょっとだけ」

と言って立ち上がって抱きついてきた。

 その時、彼の股間がすっかり硬くなってしまっているのに気がついてしまった私は観念した。

 たぶん、彼はやらないとおとなしく寝てくれないし私のことも寝かせてくれない。

 正直言って私の方は眠くてたまらなくなっていて、まったくしたくなかったのだけれども、仕方ないからおとなしく布団の上に押し倒されてやった。

 身体は彼の好きにさせておいても心の中では、

『なんで足腰立たなくなるほど酔っ払っちゃってたクセしてあっちは勃つのよ!?』

なんてことを思っていたし、やたら元気に勃ってしまっている彼の暴君を恨めしく思ったりもしていた。

≪女は睡眠欲が性欲に勝り、男は性欲が睡眠欲に勝る≫

といったことをどこかで聞いたことがあったのだけれども、それは正しいと思う。

 私はしている最中に眠ってしまった。

 だって、明け方まで飲み歩いて酔っ払って眠くなっていたのに、挿れてからイクまでに一時間以上もかかるような遅漏の彼がイクまでなんて起きていられない。

 ちゃんと前戯してくれるから、彼とのセックスはいつも一回終るまでに最低でも二時間はかかる。

 最後まで起きているのは眠気がピークにきていた私には無理だった。

 途中で私の意識はフェイドアウトしていった。

「起きてよ~、お人形さんじゃヤダよ~」

と言う彼の声が遠くに聞こえた。

 彼が目を覚ました時、私も彼も不機嫌だった。

 先に目覚めた私は、私が眠ってしまった後も行為を続けて彼がナマで中出しした挙句にティッシュで拭いて後始末すらしておいてくれなかったことに腹を立てながら、お尻や内股でカピカピにひからびてしまっていた彼のおこちゃまの元を洗い流すためにシャワー済みだったし、後から起きた彼は私が途中で眠ってしまったのが気に食わなくてご機嫌斜めだった。

 やらなきゃよかった…と私は心底後悔した。

 いっそのこと、すすきのの路上で彼がしゃがみこんだ時点で、その場に捨てて来てしまえばよかったかも?とさえ思った。

 それでも私は、彼がすねを掻き始めたのに気づいたら、

「掻いたらダメ」

と言って塗り薬を手に取って彼が掻いていたところに塗り込んでからしばらくさすっていた。

 彼はアトピーで起きている時だけじゃなくて、寝ている時もかゆくなったところを掻いてしまう。

 無意識のうちに傷になって血がにじむ程掻きむしってしまうこともある。

 だから、私の部屋にも彼の薬が置いてある。

 寝ている時も隣で掻いているのに気がついて、目を覚ました私が彼が掻いているところに薬を塗ってしばらくの間さすり続けていることはたぶん彼は知らない。

「はい、これにてサービス終了!」

と言って私がさすっていた手を離すと、

「こっちの方のサービスもして欲しいんだけど」

と彼は股間を指差して言ってきた。

 私はこれからご出勤だっていうのに!

「そちらの方のサービスは承っておりません」

と怒りを押し殺してすました顔して私が答えてやったら、

「もっとサービスしろよ!」

と彼は怒鳴った。

 私は無言で出勤する支度を始めた。

 彼の言葉には傷ついていたけど……。

 私は彼専用の生きたダッチワイフでもなければ風俗嬢でもない。

 私は彼の彼女のつもりでいるのだけれども、彼にとっては私はもしかすると違うものなのかもしれない。

 彼の言う「サービス」がセックスに関することであれば、私はもうこれ以上対応しきれない。

 いつでも彼がしたい時になんかやってられない。

『サービスして欲しかったら風俗行ってよ!』

 喉元まで出かかった言葉をかろうじて私は飲み込んで代わりにこう言った。

「もうじき出かけるからシャワー浴びて着替えて」

 彼がシャワー浴びている間に私はちょっとだけ泣いた。

 彼と別れることも考えたのだけれども、それを考えると泣けてきた。

 たぶん、まだ涙が出るうちは私は彼とは別れられないと思う。

 彼と一緒にいたいけれどもセックスはあまりしたくない私は、この先彼が浮気したとしても見て見ぬ振りしているしかないのかもしれない。

 深いため息をついた私は、泣いていたのを誤魔化すように、いつもよりちょっとだけ濃い化粧をした。(Fin)

Posted on 2010/03/06 Sat. 02:53 [edit]

アンドロギュノス幻想 

 私のなりたい私というのは、女でも男でもないけれども、同時に女でも男でもある者。

 男でもあり女でもある存在というのは、IS(インターセクシャル/インターセックス)として存在している。

 けれども、完全なる両性具有体として真正半陰陽児として生まれてくる人は少ない。

 ましてや正常な女性の身体に生まれた私が、そのような形になることは不可能。

 私は、たぶんプラトンのいう「アンドロギュノス」に憧れているのだと思う。

 アンドロギュノスはあまりにも完全無欠であったために、神に逆らう者として男女二つの性に引き裂かれてしまったという。

 そのため、引き裂かれた半身を求めて、人間の男女は互いに求め合うようになったというのが「エロス」の始まりという説がある。

 私は、自分一人で完全無欠の「アンドロギュノス」になりたいと夢想する、神に逆らう者なのかもしれない。

 この願望は後天的なものだ。

 GID(性同一性障害)の人たちが子供の頃から、自分の身体とは異なる性自認をしてきたのとは違って、私は当たり前に女と自認して生きてきた。

 普通に男の人とつきあったこともあるけど、女の子とセックスしたこともある。

 脳内状況としては、恋愛感情は男性にベクトル向いている。

 女性には恋愛感情を抱いたことはない。

 でも、そんなものなくてもセックスは出来るわけで、興味本位でしてみたら気持ちよかったから、イヤな相手じゃなかったらしてるだけ。

 その一方で、恋愛感情はあっても男の人と普通にセックスしてもなんだか違和感を感じている。

『不感症?』

 そういう疑問が脳裏を過ぎったりもしたけれども、全然感じないわけじゃない。

 なんとなくなにかが足りないような気がしていた。

 ある日、偶然読んだえっちな小説の中の主人公に憧憬のようものを感じた。

 後で知ったのだけれどもその手のストーリーは、青年漫画誌では「ふたなりもの」というジャンルとして存在しているらしい。

 小説の中の主人公の女の身体にペニスが生えて、睾丸は内部に収納されているといった形の両性具有体に憧れた。

 たぶん、私がセックスの際に感じたもの足りなさは、挿れることが出来ないからなのだと思う。

 性自認は女でありながら、性衝動は男に近いものがある。

 彼氏に、

「男みたい」

とセックスの最中に言われたことがあるけど、

『あんたは男ともしたことあるの?』

とはさすがに訊けなかった。 

 私は彼氏には自分の性癖は隠したままでいたから。 

 私はセックスの時は相手が男でも女でもタチの方。

 でも、挿れるモノが自分の身体にはついていない。

 お道具使ってみてもなんだかもの足りない。

『今の身体のままでついていたらいいのに……』

 時々そう思ってしまう。

 アンドロギュノスは私の理想像である。

 望んでも決して叶わぬ理想であることは承知の上で私はそれを夢想し続けている。(Fin)

Posted on 2010/03/08 Mon. 16:49 [edit]

自信 

「俺とつきあって」

と彼に言われた時、私は周りをぐるっと見回してしまった。

私のそばには他に女子はいなかった。

「なにキョロキョロしてるの?」

と言われて、

「それ私に言ってる?」

と訊き返してしまった。

「うん」

と彼はうなずいた。

「からかってる?それとも、友達となにか賭けてるとか?何かの罰ゲームとか?」

 今までモテたことのない私は、告られるなんて絶対ありえないと思っていた。

 目の前に立っている彼は私よりも10センチくらい背が低かった。

 彼が小さいのではなくて、私の方がでかすぎるのだ。

 184センチなんて女としては規格外の高身長の私に男がマジで告ってくるわけがない。

「なにそれ?俺、マジでつきあって欲しいんだけど」

 彼はちょっと怒った口調でそう言った。

 私は彼の目を見て、

「あの、私なんかでよければ…」

と言ってしまった。

 彼の目は嘘をついているようには見えなかった。

 彼がどういうつもりで私なんかとつきあおうと思ったのかは、私にはまったくわからなかった。

 けれども、とりあえずつきあってみようと思った。

 彼は、わりと私の好みのタイプだったし……。

 私は、18にして初彼氏が出来た。

 デッサンの途中で、

「また、昨日帰る途中に地下鉄で女子高生に触られちゃったよ~」

とムカつきながら私が言ったら、

「それで、どっちって言われた?」

と彼はニヤニヤしながら訊いてきた。

「男!」

「上と下とどっちの方触られた?」

「上っ!!」

 彼は私の答えを聞いてゲラゲラ笑った。

 私はむっとしながら、

「どうせ、どっちが前か後ろかわからないような身体してて、顔だって男か女かはっきりしないような顔つきしてるわよ!」

と怒鳴った。

「脱げば区別つくぞ」

 彼はケロっとした顔してそう言ったけど、私の胸は服の上からじゃ所在があやしいような微乳だ。

 私は微乳じゃなくて、ほどよい大きさの美乳の方が欲しかった。

 身長ばかり伸びて子供の頃から大きくて、普通の女の子よりもいつも頭一つ分くらい抜きん出ていた。

 中学高校の頃は、バレー部やバスケ部がしつこく勧誘に来た。

 私はまるっきりの見かけ倒しで、運動神経などは持ち合わせていなかったので、運動部の勧誘は全部お断りして美術部に入部した。

 ウドの大木とは、まさしく私のことだ。

 ほとんどの男子を見下ろすような身長に到達した頃には、彼氏などは出来ないものとあきらめモードに入っていた。

 実際、子供の頃から見た目で、

「男女」

と呼ばれていた私はまともに女の子扱いされたことがない。

 大学に入ってからは、ジーンズはいて登校することが多いせいか地下鉄の車内で、

「ねえ、あの人、男かな?女かな?」

というひそひそと話す声が聞こえてくる。

 友達とそう言いあっていた女子高生は、地下鉄降りる際に出入り口付近に立っている私の身体を確かめるように触って行くことがある。

 触り逃げされた挙句に、

「男だった」

とか言う声が聞こえてきたりするともう最悪。

「私は、女だー!」

と声を大にして叫びたくなるのだけれども、地下鉄車内でそんなこと恥ずかしくて出来ないし、違う場であってもそんなこと出来ない。

 見た目はでかくても私は小心者だったりする。

 自分に自信なっしんぐだし……。

 大学だって、好きな絵を描いていたくて美大に入ったものの、私の描く作品は小さく小奇麗にまとまってしまって、

「もっと自由に伸び伸びと描きなさい」

と教授に言われてしまう。

 向いていないのかな~?

 最近、転科を考えている。

 このまま油絵描いていても、これで食べていけるような才能のない私は、就職に有利な科に転科した方がいいような気がしていた。

 私は彼の絵を見てしまってからは、油絵描く気が失せてしまっていた。

 彼の絵を見て本当に才能のある人の絵とはこういう絵だと思った。

 けれど、才能があるはずの彼はなぜか女性美とはかけ離れたところにいるであろう私をモデルにしている。

「ジーンズ早く脱いじゃって」

と次のデッサンのために彼に言われるままに私はジーンズと靴下だけ脱いだ。

 彼は、私の足ばかり描く。

「おまえ、化粧してスカート履けよ。そしたら、男と間違われることなくなるから」

と彼に言われても、

「今度はおかまと間違われたりしたらどうするのよ?」

と私は自信なさげにそう言ってしまう。

 本当におかまと間違われたりした日には、もう立ち直れないかもしれない。

「スーパーモデルみたいにカッコよくなるから大丈夫だって!」

と言う彼の言葉はとてもじゃないけれども信じられない。

 だけど、彼が描いた私の足はきれいだとは思う。

 不思議。

「おまえは、確かに乳はないが、百年に一人現れるかどうかというくらいの美脚を持っている!マレーネ・ディートリッヒ級の美脚なんて日本人の女ではありえないが、おまえの足は膝下の長さもあるし太股にかけてのラインも理想的曲線を描いている。ただ細いだけの足が美しいとは限らない。本当に美しい女の足とはおまえのような足のことを言うんだ。自信持て!」

 彼はいつもそう熱く語る。

 ほめすぎだとは思うのだけれども、何度も繰り返しそう言われているとちょっとばかしその気になってきたりもする。

 深めのスリットの入ったロングのタイトスカートを履いて行ってみたら、

「すごくいい!」

と彼にほめられたけれども、

「化粧したらもっとよくなる」

とも言われた。

 私は今まで興味なかったから化粧の仕方がわからなくて、友達の中で化粧の上手い子に教えてもらった。

 初めて友達に化粧してもらった顔は、私の顔じゃないようだった。

 ちゃんと女に見える顔になっていた。

「化けたね~。キレイ、キレイ!ちゃんと教えた手順で毎日化粧しておいでよ」

と友達に言われた。

 うれしくなってさっそく彼に見せに行ったら、彼はびっくりした顔していた。

「女は化けるっていうけど、ここまで化けるとは思わなかった。マジでスーパーモデルみたいだ」

 そう言った彼は「キレイ」とは言わなかったけど、たぶん、ほめてくれたんだとは鈍感な私でも感じ取った。

 彼はなぜかそのまま私を靴屋に連れて行った。

 そして、私が履くのを躊躇するような高いヒールのハイヒールを買ってくれた。

 私は身長のわりに靴のサイズは大きくはなくて24センチだったので、服探しには困るけど、靴探しには困らない。

 でも、ただでさえも人よりも飛びぬけている身長をこれ以上高く見せるようなハイヒールを履くのはためらわれて、いつもローヒールの靴ばかり履いていた。

 12センチのピンヒール履かされても立っているのがせいいっぱいで歩けやしなかった。

 彼の頭は約20センチ下にあった。

 とりあえず7センチヒール履いて歩く練習するように言われた。

 なぜか12センチヒールの方も彼は買っていたけれど……。

 化粧してスカート履いてハイヒール履いているだけなのに、周囲の反応は大変わりだった。

 以前とは違った意味で人が振り返るようになった。

 なんだかいい気分になった。

 7センチヒール履いて歩く私の身長は190センチ越えてしまっていて、男でも女でも私よりも大きい人なんかはそう滅多にいない状態。

 でも、

「うわっ!でけぇ~!!」

と言われてもあまり気にならなくなっている。

 高いヒールのせいにしてしまう。

「うわ~!あの人、スーパーモデルみたい。カッコイイ!!」

と女の子に言われるとなんだかすごく気分がいい。

 もう、

「あの人、男かな?女かな?」

と女子高生にひそひそ話されることもなくなった。

 そして、彼は最近は、私に12センチヒールのハイヒールを履かせて絵を描いている。

 椅子に座っているポーズもけっこうキツイし、立っている時もキツくて細かく休憩入れてもらっている。

 まだまだ私は女としての修業が足りないようだ。

 こんなヒールの靴履いて平気で歩ける女の人がいるのなら尊敬しちゃう。

 靴屋であたりまえに売っているのだから、これ履いてあたりまえに歩けてしまえる人もいるのだろうけど私には無理。

 休憩中、ふと思いついて、

「なんで私とつきあおうと思ったの?」

と彼に訊いてみたら、

「大学の受験日に時間ギリギリに駆け込んできたおまえの足に一目惚れした」

と言われた。

 高校の制服の短くしていたスカートの裾が乱れるのも気にもせずに、ギリギリセーフで受験会場に駆け込んだ私は、受験に間に合っただけではなくて、どうやら彼のハートもこの『美脚』で射止めていたらしい。

 それ聞いたらなんだか微妙な感じだったけど、彼が私の足に一目惚れしてくれなかったら、私は彼とつきあうことはなかったと思うし、いろんな意味で彼に『女』にしてもらうこともなかったと思うから、それでもいいやと私は思った。

 彼は私に欠けていた、

『女としての自信』

をつけてくれた。

 人から「おとこおんな」と呼ばれるようなコンプレックスだらけの私はもういない。(Fin)

Posted on 2010/03/09 Tue. 01:37 [edit]

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